今回も懲りずにEテレからのご紹介。しかしネタは誰もが知っている超有名どころの「PEANUTS」であります。え?聞いたことがない?そうですね、「PEANUTS」というタイトルよりも「スヌーピー」という方がより有名かもしれません。この番組は1950年の連載開始から実に50年に渡る長期連載で、世界中に多くのファンを生み出した「PEANUTS」のショートアニメーション番組なのです。
ところでみなさん、「PEANUTS」の原作って読んだことありますか?スヌーピーやチャーリー・ブラウンは知っていても、原作がどういう内容なのか知っている方というのは日本では相当のファンくらいで、ほとんどの方は知らないのではないかと思います。まぁ、そのくらいスヌーピーのキャラクターが立っているということなのですが、ここは今一度、「PEANUTS」の内容について簡単にご紹介しましょう。
「PEANUTS」は…、うぅむ、「主人公であるチャーリー・ブラウンが飼い犬であるスヌーピーや仲間達と過ごす日々を描いています」としか言いようのない作品です。いや、実際「PEANUTS」はカンタンに説明出来る作品ではないんですよ。何と言うか子供たちが主人公の割にはやけに人生の辛酸や機微に触れる場面が多く、妙に哲学的な内容があったかと思えば、爆笑必至のお子様置いてきぼりのナンセンスネタが炸裂することもあります。もはやジャンル分けは不可能と考えて良いでしょう。事実、私も原作は十数本くらいしか読んだことがありませんが、この少ない本数をして「これはかなりキてるマンガだ」と、腕とかスネとかが「ざわ…ざわ…」としたくらいです。
それもそのはず、「PEANUTS」は元々新聞の日曜版に連載されていたマンガだったのです。「フジ三太郎」みたいなもんですね(例えが古い)。ですからオトナもコドモもおねーさんも楽しめる内容でなくてはならなかったわけです。とはいえ、最初からエスプリの効いた内容だったかと言えばそういうわけではなく、連載当初はどこか日本の落語のような内容だったと聞きます。それがスヌーピーが喋るようになってから(正確にはスヌーピーの考えが文字として表現されるようになってから)、内容はエスプリとウィットに富んだものになっていったのです。
さて、ここまでお読みいただいて「なんだかむつかしそうな内容だなァ」と感じられた方、ご心配には及びません。先に「人生の辛酸」とか「哲学的内容」など小難しく述べましたが、「PEANUTS」は決して堅苦しいものではありません。そもそもエスプリやウィットは洒落なのですから、まずは笑いが生まれなければならないのです。そしてその笑いは読者である私達の経験から湧き起ってくるのです。
すなわち、「PEANUTS」の作中には、どこか自分の人生に重なる場面が多々あるのです。そしてそれらがナンセンスな笑いとなっていて、読んでいる自分も笑ってしまうのです。つまりこの作品は「人生あるあるネタ」であり、共感出来る内容であるからこそ、多くの読者の心を掴み、何度読んでも笑えてしまうのです。
さて、そんな「PEANUTS」は連載開始直後からたびたびアニメ化されてきましたが、今回ご紹介するショートアニメは2014年にフランスで制作されたもので、どういう経緯か分かりませんが、今年の10月からEテレで放送されることになったのです。
これまでのアニメ化では原作のエピソードを繋げて1本のストーリーとしており、言ってみれば「サザエさん方式」の内容でしたが、今回のアニメ化は「原作に忠実に」をモットーとして作られたため、1本が非常に短いストーリーとなっており、その「忠実に」がどうやら激しく加速したらしく、劇中ではマンガのワク線の中でキャラクター達が動き回っています。なるほど、原作をそのまま動かしてみた、というわけなのです。
内容の方は「PEANUTS」の真骨頂である「人生あるある」のフルスイングの嵐が吹き荒れます。加えてチャーリー・ブラウンのヘッポコさとスヌーピーの自由人っぷり、その他のキャラクター達の「私は自分の足で人生を歩いてるぜ」とでも言うような自信に満ちた唯一無二の生き様など、キャラクター全員のキャラが立ちすぎていて(ヘンな日本語)、もう誰が主人公でもどうでも良くなり、どのエピソードも最高に笑えます。
思うにこの作品、ストーリーは原作を忠実になぞっているから問題ないとして、作画が非常に重要な役割を担っていると思います。これが一般的なカートゥーンアニメのようなものだと、キャラクターの個性が強調されすぎて、ドタバタ色が強いだけの内容になってしまったのではないかと思います。
今回のように「原作のマンガがそのまま動いている」という作画にしたことによって、この我の強いキャラクターたちを上手く作品世界に包み込んでいるように思えます。すなわちワク線が適度にキャラクターの個性を制限しているため、つまり、そのコマでのみ、そのキャラクターの個性が強く発揮されるため、コマごとのキャラクター色が明確になり、結果としてキャラクター同士のやりとりにメリハリが出ているように思えます。本作におけるワク線は原作以上に効果的に機能していると言えましょう。
それというのもデジタル技術の進歩のおかげでしょう。昔ながらの手書きでは本作の手法はむつかしい、というか、作画が非常に面倒くさいと思われるからです。デジタルで処理出来たからこそ、この手法が採用され、デジタルなのにアナログ感たっぷりの作品に仕上がって、先述のような効果が得られたのでしょう。デジタル技術というのは、なにも派手なCGやエフェクトにばかり使うものではなく、本作のようなさりげない表現でこそ、もっとも効果的なのではないか、と思った次第であります。
さて、この番組は毎週土曜日の9時27分からの3分番組です。この短さも原作に忠実と言えましょう。詳細はこちらの公式サイトにてご確認ください。妙にクセになること、請け合いですよ。
読んで頂いてありがとうございます!
↓↓このブログ独自の「いいね!」を導入しました。少しでもこの記事が気に入って頂けたら押して頂けるとうれしいです。各著者が無駄に喜びます(・∀・)イイ!! よろしくお願いしますm(__)mtodome
最新記事 by todome (全て見る)
- ショーの裏側見せますの巻 (映画「地上最大のショウ」) - 2021年2月20日
- きになるお年頃の巻 - 2021年2月17日
- 甘い生活の巻 - 2021年2月8日
- 冬のお供といえばの巻 - 2021年2月3日
- いにしえゲーム血風録 二十二回表 「イメージファイト(ポッド編)」 - 2021年1月30日
コメント