私達は日々の生活を送る際、色々なことを考えます。仕事の段取り、夕飯の献立、野球の結果、ハナクソのほじり方など、色んなことを考えます。その中でもよく行うのが「○○だから××になるだろう」という推論です。これまでの経験から先の見通しを予測するのです。月末は注文が多くなるだろうから多めに仕入れしておこう、秋刀魚が旬だからスーパーで安いだろう、この投手は速球勝負だから後半は疲れたところを狙い打ちされるだろう、これ以上指を突っ込むと鼻血が出るだろう、などなど、私達は思ったよりも未来を予測しています。
しかし時にこの推論が間違ってしまうこともあります。傘を持たずに出掛けて、ずぶ濡れで帰宅する、あのやるせなさです。何が間違っていたのだろう?私達は考えます。つまり「○○だから××になる」という「因果関係が間違っていた」ことが原因であるわけで、私達はここで初めて因果関係の修正し、新たに推論を行うのです。実際私達は誤った因果関係を多く抱いています。「暗いところで本を読むと目が悪くなる」「牛乳を飲むと太る」「好きな人の名前を消しゴムに書き、誰にも見つからずに消しゴムを使い切ると恋が叶う」など、多くの錯誤に見舞われています。
そこで因果関係の正しい捉え方をおもしろおかしく学んでいこう、というのが、今回ご紹介する番組「考えるカラス」なのであります。
「考えるカラス」は科学の基本的な考え方を、実験映像やアニメで分かりやすく解説してくれます。科学の基本的な考え方とは、「観察する」「仮説を立てる」「実験する」「考察する」ことで物事の因果関係を突き止めようというものです。
まずある事柄を「観察」します。そしてその事柄の仕組み(モデル)を考えます。そして「このモデルが正しいのなら、Aという行動をすればBという結果が生じるだろう」、という「仮説」を立てます。そして実際にAという行動を行ってみてどうなるか「実験」を行って、仮説が正しいかどうかを確かめます。実験を終えて、仮説通りならばモデルがどのように応用出来るかを考え、仮説通りにならなかったら、何が違うのかを考える「考察」を行います。これらの一連の流れにより、物事の因果関係を突き止めていくのです。
具体例を見てみましょう。まず彼女の作った目玉焼きを食べます。美味い、じゃなくてどうやって作ったか考えてみましょう。まず目玉焼きを見てみますと、白身はキレイに固まり、黄身は半熟です。しかし黄身は黄色ではなく、ピンク色になっています(観察)。
ここで「黄身がピンクなのは、黄身の表面にも熱が加えられたからだ。したがって、この目玉焼きは両面が焼かれたものである」というモデルを考えます(仮説)。
それでは早速両面焼きの目玉焼きを焼いてみましょう。油を引いて、卵を割り、フライ返しでひっくり返して、出来上がり。しかし黄身はピンク色ではなく黄色ですし、半熟ではなく固くなってしまいました(実験)。
どうやら両面焼きではないようです。では少量の水を注いで蒸し焼きにするのはどうでしょうか(考察)。再び目玉焼きを焼くことになります(再度実験)。
これを繰り返し、最終的に美味しい目玉焼きを彼女にご馳走出来ればめでたくAルートの真のエンディング因果関係が解明されたことになります。これを繰り返して、世界の法則を見出そうというのが科学の考え方なのです。
では番組内容をご紹介しましょう。番組は「考える観察」「デデニオン」「考える練習」の3つのパートで成り立っています。
「考える観察」では、日常にごく身近な現象を「なんでそうなるの?」という視点の元、ひたすら観察するコーナーです。「電車の『ガタタンゴトトン』って何の音?」「カメの甲羅の模様はどう成長するの?」「水槽の底の砂に映る影がなんかヘン」など、何が原因で問題の事柄が起こっているのか、様々な視点から観察していきます。ここでは観察とは単に眺めるだけでなく、ちょっとした変化も見逃さず、それが何故起こったのか、仮説を立てることを前提とした姿勢で観察することの重要性が示されています。
「デデニオン」では、仮説を立てることが大好きな3人組が、様々な不思議な現象に出会い、互いに仮説を出し合う様子をアニメーションで描くコーナーです。「土管にボールを入れたら色が変わったよ」「変な形の穴があるよ」「おかしな形の足跡があるよ」など、3人はあーでもない、こーでもないと仮説を立てていき、最後に意外な真相が明かされます。ここでは正誤はともかく、多くの可能性を考えることの楽しさが示されています。
「考える練習」では、蒼井優さんによる実験コーナー。身の回りのありふれたものを使って、奇想天外の実験を行います。「水の入ったビーカーに指を入れるとどうなる?」「アルミの板の上を磁石の振り子が通ると?」「秤に乗った斜面にボールを転がすと?」など、直感的に分かりそうで、しかしよく考えると分からない実験が繰り広げられます。そしてあっと驚く実験結果が示されますが、さてどうしてそうなるのか?それは最後まで語られません。ここでは実験結果からどのように考察するのか、その方法とコツが示されています。
「考えるカラス」は理科の番組ですが、しかしむつかしい数式はなく、素朴な驚きに満ちています。ですから教科書を暗記するのではなく、自分の頭で考える力を養う、素晴らしい構成になっています。毎週火曜日10時からの放送で、わずか10分の番組ですが、内容は非常に濃いと言えます。Webでも閲覧出来ますので、興味のある方はこちらをどうぞ。是非皆さんも頭を悩ませてみてください。
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