「やぁまだぁ~!」
「おっ、岩鬼だな!?グワラグワラギコーン!あぁ、大甲子園…。」
「行ったこともないのに感慨にふけるなよ、山田。」
「…で、今日は何用だ、鈴木よ。」
「この間な、ガリガリ君のシークワーサ味を食べました!」
「あ、オレも食った!あれ相当ウマいけど、『奈々と重一』でしか売ってないのよな。」
「何故なら限定販売だからです!ワタシの所にしか売ってないヨ!すわ、いい商売なり!」
「道理で近所の駄菓子屋にないわけだな。さ、明日から通うかな。」
「で、ここからが本題です。」
「コトネの声優さんが引退でもしたか?」
「たとえネタでもその言葉、オレの前では二度と口にするな…。」
「すまん。」
「あのな、当たらんのよ。」
「…もしかしてひょっとして、ガリガリ君が?」
「YES!物心ついてから幾星霜、買いに買いに買ったというのに!当たらない!こはいかに!」
「…一説によると1/100の確率らしいが。1ケースに一本の割合だそうだよ。」
「いきなり答えを言うな!下郎!」
「すみません。」
「…そもそも私が問題にしているのは、確率の問題ではないのだよ。」
「エッ!じゃぁ、どういうワケなんで…?」
「何故アイスには当たりがあるのか?これは我らアイス食いが長年に渡り頭を悩ませ…」
「…購買意欲を促すためだろ?もう一本食べられるかもしれないなら、当たり付きを買うだろ。」
「だからいきなり答えを言うな!クソ虫!」
「クソ…!」
「よいか、山田よ。世の中は正論を吐けば良いというわけではないのだ。」
「はぁ。」
「ミッキさんの国で『あのミッキさんの中には人間が入っているのよ』と君は言うかね?言わないだろう?」
「う、ぬぅ…。」
「『「ひらめきマテリアル」のコトネの声を充てているのはこういう人だよ』と君は言うのかね?え、言うのかね?」
「それはお前の方が詳しいだろう。」
「ちなみに今、35周目です。えぇ、飽きません。」
「そうですか。ともあれオレが悪かった。」
「うむ、半分許す。」
「半分…。」
「さて、何故当たりはあるのか?それは当たりがあれば、それを目指して多くの人が買ってくれるだろうという戦略だ。」
「さっきオレが言ったじゃんか!」
「士郎、貴様のは物事の表面、上っ面だけをなぞった小賢しい悪知恵に過ぎん。以後慎め!」
「…お前、ホントに当たらないの怒ってるんだな。」
「げに。まぁ、つまりは広告なわけだよ。」
「…いきなりフランクになったな。まぁ、確かに広告の一種だろうね。」
「しかしこの広告、ある種諸刃の剣だと私は思うのだよ、大泉君。」
「どういうことだ、ヒゲ。」
「このアイスは当たり付きである。しかしこの店でいくら買っても当たりが出ません。さ、プレイヤーはどう考える?」
「…オレは運が悪いから、アイスなんて買わないでお湯でも飲んでれば良い。」
「そこまで己を卑下するな、山田よ。あとでブラックサンダーアイス買ってやるから。」
「ごちそうさまです。」
「多くのギャンブラーは、そのように自分の運の無さを責めたりはしない。市井の雀荘にはアカギよりもニセアカギの方が多いのだよ。」
「分かりにくいたとえだが、分かった。ならどう考えるのだ。」
「この店には当たりがない。」
「なッ!?」
「もっと言えば、『この店は意図的に当たりを隠している』。」
「そんな八百長が…ッ!?」
「あるかどうかはひとまず置いといて、そういう風に考えるものなのだよ、人間は。」
「…つまりお前もそう考えているわけだな?」
「…あの駄菓子屋ッ!二度と行かねぇ!」
「…オレも行ってる駄菓子屋かな?」
「そのような噂が立っては胴元としてもたまらないだろう。となると、山田君、どういう手を打つかね?」
「え、要は『当たりが多く出る』っていう噂が立てば良いんだから…。まさか…!」
「さすがに君は賢い子だ。」
「街に噂を流し、噂システムによって噂を現実化させるんだな?」
「…それは『ペルソナ2』だねぇ。今やってるの?」
「カジノから出られません。」
「分かる…ッ。しかしあながち間違いではない。要は『当たりが多く出れば良い』…。」
「塾長!それはまさか!」
「そう、当たりを多く入荷すれば良いのだよ。」
「まさに…ッ!八百長…ッ!真に倒すべきは会長ッ…!ていうか、やっぱりオレのは間違いじゃね?」
「良いかね?メーカーが完全にランダムで1/100の確率で1ケースを梱包しても、当然ある程度の偏りが出る。」
「ふむふむ。」
「『当たりが出る店である』という噂は、胴元にとって願ってもない広告。それが完全なランダムで全国の胴元に振り分けられるとは考えにくい。そうだろう?」
「いい加減、胴元っていう呼び方止めない?」
「メーカーにとしては、胴元が有利になる条件はメーカーに貢献した胴元にこそ与えられるべきと考えるだろう。」
「メーカーに貢献?…そうか、たくさん仕入れた店に…?」
「そう、大量に仕入れた胴元に当たりのアイスが多く振り分けられる。これこそ理に適っているだろう?」
「確かに…。ん?待てよ?ということは…どれが当たりなのかが…?」
「そう、メーカーは多くの当たりを確実に梱包するため、胴元は確かに当たりが送られてきたことを確かめるために…!」
「何かしらの形で、パッケージから当たりを判別する方法が…ある?」
「ついに辿り着いたな、人の子よ!アイスの当たりは人為的に操作されているのだ!」
「なんということ…!」
「だから君の答えは上っ面だと言ったのだ。」
「…しかし、ならば敵の逆を突けば…勝てる?」
「ひょ~おッ!その通りだよ兄さん!」
「坂崎のおっちゃん…。」
「ということで、だ、山田君、協力してくれるかね。」
「は?」
「いや、だからね、当たりの袋とハズレのの袋には違いがあるはず、という答えになったわけだろ?」
「…うん。」
「この二つを比較するためには、当たりの袋を何とかして調達しなければならないわけだよ。」
「うん?」
「つまりな、これからアイスをバカ買いして、当たりを引いて、袋をオレに寄越せ、と、こういうわけだよ。」
「…え~~~~~~~。」
「ほら、足で稼げってよく言うだろ?」
「…あ、アイスといえば、『運とはなんぞや』ってどうなったの?」
「…あっ。」
「…近日やります。」
いろいろとおわり
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