1/8計画の巻

くらし
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「山田~!」

「はんはよ、ふふき。」

「『なんだよ、鈴木』じゃねぇよ。オレが来るまで飯食うの待ってくれよ。」

「へしはへえ、ほくほのほはひは。」

「食後のお菓子ねぇ…。だからうまい棒なのか。」

「んがんぐ。そうだ。」

「サザエさん以外で『んがんぐ』言う人初めて見たぜ…。」

「まあ座って腹をくちくしなさい。」

「それではいただきます。」

「おぉ、こんなところでコトネを見ることになるとは。」

「こないだ買ったコトネのランチョンマットだ。これはいいものだ。」

「やっぱり爆発アフロなんだな…。」

「やらんぞ。」

「いるか。さてもう一本…ふむぅ。」

「どうした。やっぱり欲しいのか?」

「いや、最近のうまい棒なんだがな、細くなった気がするんだ。」

「…なってるよ。」

「エッ!?やっぱり!?」

「値上げしない代わりに細くなっているのは大百科でも常識だぞ。」

「うむぅ、お値段据え置きなのはありがたいが…ふむぅ。」

「最近は、ゲフゥ、そんなのばっかりだよ。」

「あぁ、ペットボトルのジュースも500mlから430mlに内容量が減ってるしな。」

「ウチのオヤジはこのご時世に未だ煙草を嗜む剛の者だが、これも短くなってるらしい。」

「不景気なんだか物価高なんだか、企業も必死なんだろうね。」

「いや…。果たしてそれだけだろうか?」

「へ?」

「実は世の中のありとあらゆるものが少しずつ小さく、少なくなっているのではあるまいか。」

「鈴木さん?」

「なぁ山田よ、お店って『コレコレでイクラです』って値札を出すだろ?」

「出すねぇ。」

「基本的に『コレ』の部分、つまり量に関しては客は信用しているよな?」

「つまり『100g』って書いてあったら、その商品は『100g』だと思う、ということか?」

「是!しかしそれが真実であるとは限らない、そうではないか?」

「いや、値札ってそういうもので…。」

「バカ!このおバカ!」

「ごめんよ兄さん!」

「お前がそんなに性善説かつ鵜呑み小僧であるとは夢にもとんと思わなかったぞ。」

「面目ない。ない面目…。…が、ナイショで少なくなっているって、例えば?」

「そうだな、最近の車は燃費が良くなった、と言われているな?」

「そうだな。リッター30㎞は当たり前の世界となったよ。」

「その割には、スタンドに行く回数は変わっていないような気がしないか?」

「…そういえば。ハッ、まさかのもしや!」

「そう、世のスタンドは我々が気が付かないくらいのガソリンを誤魔化している!」

「ほほほほ本当かい?」

「恐らく5%、つまり30ℓ注文したとしても、実際は28.5ℓしか給油されていないのだ!」

「…一応公共の場だからな、滅多なことはお言いでないよ。」

「…かもしれない。」

「うむ、それならよかろう。他には?」

「そういえば、陸上部のタノムサクがぼやいていたよ。」

「あぁ、交換留学生の。」

「日本のスパイクはすぐに擦り減ってしまって困る、とな。」

「まままままさか、先生ェ!?」

「ウム、恐らくスパイクの底の素材も薄くなっているのだろう。」

「そんな、選手の生命線にまで手を伸ばすとは…。」

「さて、ここまで考えたなら、ペテンの効く君なら気が付いたことだろう。」

「…なにを?」

「つまりな、どういう商品がコッソリ誤魔化されているのか、ということだよ。」

「ううむ、うまい棒、ガソリン、シューズ…。そうか、使ったら無くなるもの…!」

「そう、消耗品ということだ。」

「ということは、現在市場にある消耗品は…。」

「まず間違いなく、少しずつ誤魔化されていることだろう。」

「エッ、エッ、そんな恐ろしい…。」

「夢野久作風の驚き方、ありがとう。しかしこれは事実なのだ。」

「…滅多な事を…。」

「…多分。特に食料品は注意だ。それこそ消え物だからバレにくい。」

「なるほど!」

「そのうち『5個パック』なのに4個しか入っていない事態になってもおかしくない。」

「…いや、それはバレるだろう。」

「しかし一時期流行った『アハ体験』も、少しずつの変化だったから気が付かなかっただろう?」

「5個と4個では大違いだろう。」

「い~や!気が付かないね!群衆はブタだもん!」

「時々お前が怖くなる時があるよ。」

「さて、まさかこれで終わりだとは思うまいな?」

「まだ続きがあるんですかい?」

「消耗品で味を占めた彼奴らのこと、他の商品にも手を伸ばすことは想像に難くない。」

「と、言いますと?」

「例えば電化製品ならば安価な基盤を使って耐用年数を短くする。」

「ヒィッ!」

「例えば医療機関ならば効き目の弱い薬を処方する。」

「阿鼻!」

「例えば通信回線ならば少々ナローにして消費電力を増加させる。」

「地獄!」

「な?挙げればきりがないのだよ。」

「これが奴らの…やり方ッ…!真に倒すべきは…会長…ッ!」

「まさに『カイジくんは勝ち得ない』ッ!」

「何と周到な…、悪魔的奇手!」

「素晴らしい計画だね。さながら『ウルトラQ』の『1/8計画』だよ、悪意に満ちた。」

「我々は、我々庶民はどうすれば良いんです?」

「え?」

「…いやいや、だから対処法は?」

「バカ!このおバカ!」

「ごめんよママ!」

「あのな、ありとあらゆる製品の質が誤魔化されるとなると、どういう事が起きると思う?」

「…みんな困る。」

「そう、困るな。恐らく誤魔化した製品を作っている企業自身も。」

「…あッ!?」

「そう、製品の原料も誤魔化されてしまうことになる。」

「すると質の悪い製品しか作れなくなる。」

「質の悪い製品は売れず、売り上げは激減。」

「そして社員は路頭に迷う。」

「結局、巡り巡ってツケが自分の所に回ってきてしまうワケさ。」

「因果応報、天唾の術、ということか…。」

「さて、ということは?」

「ということは?」

「そう、ということは?」

「…あ、ダマしたな!」

「結局誰も得をしないなら、誰も誤魔化そうとはしない。みんな正直に宣言するさ。」

「なんだ、結局珍言妄言に過ぎなかったのか…。」

「それに1/8計画は人間の大きさも1/8にするしな。」

「…でも煙草は明確に『短くしました』とは書かれていないぞ。」

「…逆風の商品だからな、アレは。」

「…逆にコッソリ増量している商品はないものだろうか?」

「商品ではないが、案外税金かもしれん。」

「うわ、陳腐な風刺だ。」

 

 ~終劇~

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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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