いにしえゲーム血風録 十七回裏振り逃げ! 「ドルアーガの塔(ブルークリスタルロッド編)」

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 聞いたところによると:晴れて「裏ドルアーガ挑戦権」を獲得したものの、謎の絵文字にちっともさっぱりわからんちんで、1階から途方に暮れるボンクラであったが、無い頭を振り絞り、あるいは悪運に恵まれながら、絵文字の解読に奇跡的に、ホント少しずつ成功する。そして1/3地点である20階。そこで信じられない音楽を耳にし、座りションベンも辞さないボンクラだったのだった

 

 

 

 何故20階なのにドルアーガの曲が流れるのだ!?つまりここでドルアーガが登場するということか?でも、キーアイテムが全然集まってないよ!?勝ち目ないよ!?ていうか、つまりここが最終面!?

 …しかしアイテムリストが60階まであるのですから、フツーに考えてここは通過点で、ちゃんと60階までゲームは続いていくはずです、多分。…そうだ、この階の絵文字はどうなっているのだ?どれどれ…。

 

「逆三角に点、米印、標識、六芒星…」

 

 途中からかすれて読めなくなってるよ!?…よく見ると、リストの一番下に、小さくこんなことが書いてありました。

 

「上記の表はある古文書の複製ですが」

 

 複製なのかよ!かすれている状態まで複製するなよ!ギャラリーフェイクみたく、修復しろよ…。おや、まだ続きがある。

 

「その解読方法や、かすれている部分に何が描かれていたかは、

あなたが見つけ出してください。」

 

 …そうか、オリジナルもかすれていたのか。じゃあしょうがないな。…って、何だよオリジナルって!?こんなところにまで、凝った世界観を持ち込むんじゃない!…クソーッ!!ナムコォー!!でも、そんなナムコ大好きィ!

 

 ともあれ、まずはこのフロアの様子を確認してみましょう(急に冷静)。敵はレッドスライム(呪文を飛ばしてくる)、魔術師ドルイド(壁を破壊する呪文を飛ばしてくる)、ドルイドゴースト(壁を破壊する呪文を飛ばしてくる)、ブルーナイト、以上4種類。…アレ?ドルアーガがいないよ?

 ハッ!ここは表面59階と同様、宝箱の代わりにドルアーガを出現させなければならないんだな!?ということは、ドルアーガを倒さずにドアに入ると、下層階に落とされるんだろうなァ、きっと。よし分かった、もう全部分かった!ドルアーガにカチコミじゃぁ!(2回目)

 

 さてここで改めて絵文字を見てみましょう。「逆三角に点、米印、標識、六芒星…」です。六芒星は17階で初登場した絵文字で、七転八倒の末(時間にして2時間)「敵を全滅させる」ということが分かっています。ですから、この絵文字は「倒す、してはいけない、鍵、全滅」ということになり、通してみますと

「敵を倒さずにカギを取り、その後敵を全滅させる」

 …となります。なるほど!条件としてはむつかしくない!しかしこの後がかすれて読めません。しかし読めない所をいつまでも考えても仕方ありませんから、まずはここまでの工程を実行してみましょう。

 

 とはいえ、「敵を倒さずにカギを取る」というのは思いのほか、むつかしいものです。カギを取るために通る道筋に敵がいることがザラで、マトックによる迂回路の形成を余儀なくされることもしばしば。しかも規定回数以上に壁を壊してしまい(マトックの種類によって、壊せる壁の数が決まっている)、マトックを失くしてしまい、仕方なく下層階でマトックを取り直すという二度手間に陥る始末です。

 そして首尾よくカギを取ったとしても、何しろレッドスライムにドルイドやドルイドゴーストと、呪文を飛ばしてくる敵ばかりですから、少しの油断で呪文の直撃を受けてしまい、「ハイ、やりなおし」となります。もう何本ドクターペッパーを空にしたか分からなくなった頃、ようやく条件をクリアすることに成功しました!

 すると妙に足の速いハイパーナイトが出現しました!…表面の59階でも、コヤツはいたな。さてはコイツを倒せばドルアーガが出現するのか!よぅし、マテー!勇んでハイパーナイトに躍りかかり、キキキンと剣を交わします!が、

 

「ペホペホペホ…」

 

 やられたよ!?エェ!?現在の装備ではハイパーナイトに勝てないの?じゃあ、どうやってクリアするのよ!?…いや、落ち着け、恐らく、この「どうやって倒すの!?」の部分が、かすれた絵文字の部分に相当するのだろうな。ここからは自力か…。ポーズして、しばし思案にふける私。…ふと、私は表面の59階の条件を思い出しました。

 表面の59階では「足の速いハイパーナイトを倒す」、「4人に分身したウィザードを倒す」、「クオックスを倒す」ことでドルアーガが出現しました。そう、59階には宝箱が存在しないのです。ドルアーガが出現する代わりに、宝箱は出現しない…。そしてここ裏面20階は条件を満たすことではドルアーガは出現しません。ならば代わりに宝箱が出現しているのではないか?

 慌てて私は表面の20階の宝箱を確認しました。裏面も表面と同じ階に同じアイテムが出現するからです。果たしてアイテムは「ポーションオブパワー」。効果は「ギルの体力が上昇する」!コレだ!つまり宝箱を出し、取得したアイテムでギルの体力を増やさなければ、ハイパーナイトは倒せないのだ!多分!

 

 早速もう一度、絵文字の条件を行います。そしてスタート地点に戻ると、ありました!宝箱です!そして中身はやっぱり「ポーションオブパワー」!これでハイパーナイトに勝てる!…その後、どうなるかは分からんが、とにかくハイパーナイトを倒すぞ!

 

「ペホペホペホ…」

 

 やられたよ!?エェ!?体力増やしても勝てないの!?もう勝つ方法ないよ!?私はガックリと崩れ落ち(座ってるけど)、呆然と「GAME OVER」の画面を見つめるしかありませんでした。

 

 

 翌日、私は行きつけの書店にいました。そうです、攻略本です。当時の書店は現在のようにビニールやヒモなどで封をしておらず、それはもう、立ち読みし放題の牧歌的時代でした。十分に吟味したうえで購入してもらおうという、いわば書店のサービスだったのです。

 しかしこのボンクラはそんな書店さんの善意を悪用しようと、そう、悪用しようと目論んだのです!なんてダメ人間!ポンコツ!DOH!(DOH:アルカノイドのラスボス『Dust Of Human』の略で『人間のクズ』の意、出典:ゲーメスト)もう自分のコトなので悪口言いたい放題ですが、当時の私は(というか今も)こらえ性のないお子様でしたので、どうぞ生暖かい目でお許し願いたいです(特に書店さんに)。

 それはさておき、早速「ナムコミュージアム攻略法(題名うろおぼえ)」の裏ドルアーガの項、20階を開きます。そこには何と絵文字の完全版が掲載されておりました。…何故、完全な絵文字があるのだ?ハッ、編集部にはナムコから「古文書完全版」が提供されたという事か!?しかしどうやらナムコは思うところがあったのか、急遽製品版の古文書は敢えて不完全にしたようです。…余計にむつかしくしやがったということですね。チックショウ!ナムコォーッ!でもオイラはナムコが大好きさ!

 

 さて正確な絵文字の内容は忘れてしまいましたが、「変な人型、波線、五角形」が描かれていました、確か。全部初めて見る絵文字です。が、このゲームで「人型」のモノと言えば、恐らくナイト族でしょう。しかしその後の「波線」と「五角形」がちっともさっぱりすこしも分かりません。

 仕方ないので、隣のページの解説を読みます。そこには完全な絵文字の翻訳があり、曰く、

 

「敵を倒さずにカギを取り、その後敵を全滅させる。ハイパーナイトと交差し、

その後に宝箱を取り、再びハイパーナイトと交差する」

 

 でした。…「波線」は交差する、「五角形」は宝箱を意味することになります。でも、何故この手順なのでしょう?宝箱を取ってからハイパーナイトと交差するでは…、あ、それでオレはやられたんだ。何か意味があるのか。果たして続く解説には、ドルアーガの塔の独特のシステムについて書かれていました。

 

 このゲームでは、ギルはアイテムを取得することでしかパワーアップしません。この場合のパワーアップとは「攻撃力」の増加と「体力」の上限の増加を指し、具体的には攻撃力は18階の「ドラゴンスレイヤー」と45階の「エクスカリバー」を取ることで増加し、体力は37階の「ハイパーヘルメット」を取ることで上限が増加するのです。それ以外のアイテムでは増加しません。

 ですから、20階のアイテム「ポーションオブパワー(めんどくさいので、以下「回復剤」)」の効果は「ギルの体力が上昇する」ですが、より正確に言うと「ギルの体力が一定数回復する」なのです。当然、上限よりも回復することはないのです。ここが重要なのです。

 ナイト族と戦い、体力が減ったところで「回復剤」を取れば、ギルの体力は上限、あるいは上限近くまで回復することになります。そして当然のことながら、ナイト族と戦わず、体力が減っていない状態で「回復剤」を取っても、上限を超えることはないので、フロア開始時の状態である上限値のままとなります。

 もうお分かりですね?私はハイパーナイトと戦う前に「回復剤」を取ったため、つまり体力満タンの時に回復アイテムを取ったため、全く意味がなかったのです。ハイパーナイトを倒すには、「ハイパーナイトと戦い、ある程度まで体力が減ったところで『回復剤』を取り、体力を回復させてから、再びハイパーナイトと戦う」ことが必要だったのです。

 

 私は攻略本を持って突っ立ったまま、バカみたいに口を開けていました。体力ゲージはないし、数値も表示されないのに、そんなシステム、分かるわけないだろう!いや、当時のプレイヤーは分かってたの…かな?私は当時のプレイヤーを雲の上の存在と考えていたので、即刻「分かっていたに決まってる」としました。スゴイや!(憧憬と畏怖の念を込めて)

 とにかく、これで20階突破の糸口(というかまんま正解)を掴んだ(というか盗んだ)私は、当然のように攻略本を棚に戻し、風のように疾走して家に帰りました(最低)。そして即座にナムコミュージアムを起動。もう一回「ゴールドマトック」を取得し、壁を壊して「裏ドルアーガ」の筐体に座りました(いちいちこの手順を踏まないといけないのです)。

 

 広告の裏にメモした宝箱出現条件を参照しつつ、30分掛けて20階に到達。あぁ、ドルアーガのテーマ再びです。しかし!もう恐れることはない!だって答えを知ってるもん!現金なもので、意気揚々と宝箱を出現させます。すると出ました、足の速いハイパーナイトです!

 …しかし、ギルの体力が全く表示されないこの状態で、どうやって「今が回復剤を取るタイミングだ」と察すれば良いのでしょう。…分かりませんね。ということで、まずは「何回交差するとギルがやられるか」を確かめてみました。そして尊い犠牲の結果、5回ほど交差するとやられることが分かりましたので、4回ほど交差してから「回復剤」を取れば良さそうです。

 さて、改めて20階をやり直します。まず宝箱を出し、同時に出現したハイパーナイトと交差します。いち、にぃ、さん、しぃ!今だッ!私は脱兎の如く戦線を離脱し(おおげさ)、宝箱を飛び付きました。これで回復剤をゲット、ギルの体力はある程度まで回復し、ハイパーナイトに引導を渡すことが出来るはずです。さぁ、今度こそカチコミじゃあ!(3回目)

 

 ハイパーナイトを追いかけ、すぐさま仕掛けます。キキキンと剣を交わし、「ズビャッ」と討ち取ったSEが鳴りますと、ハイパーナイトの姿が消え、そこには宿敵ドルアーガの姿が!しかしドルアーガは扉に向かって逃げていきます。マテー!と追いかけますと、ドルアーガが四方八方に呪文を放ち、うっかり剣を出しっ放しだったために被弾。やられました。

 …モゥ!オレのバカチン!己のポンコツぶりにウンザリしましたが、気を取り直して改めて同様の手順を踏みます。…ドルアーガが扉へと逃げます。今回は剣を収めて盾でしっかりと呪文を防ぎます。が、ドルアーガは足が速い上に壁を通り抜けるので、みるみる引き離され、ドアに入ってしまいました。

 …逃がしたか。いや、多分、こういう演出なんだろうな。ここで倒しちゃったらゲームを終わっちゃうし。ていうか、キーアイテムがないから、多分勝てないし。ともあれ、ようやく20階を突破した私は、新たなる階層へと足を踏み入れたのです。

 

 

 …が、その後の古文書の解読は困難を極めました。何しろ知らない絵文字のオンパレードな上に、ちょっとトンチを利かさなければ分からない内容になっていったのです。一例を挙げますと、

 

・「かすれていて読めない、うずまき」:ウィスプを柱の周りをグルグル回るように封じ込める

・「マトック、キャンドル、剣、何かが消えているようなマーク」:タイムが7650の時に出現する

・「大きな白丸と周りに小さな白丸と黒丸」:PS本体のフタを開ける(PS本体を上から見た図だった)

・「6体の人型(かすれている)、逆三角に点、五角形、括弧に十字」:特定の順番でナイト族を倒し、宝箱に剣を振る

 

 …なんだよ、「PS本体のフタを開ける」って!?よくゲームが止まらないな、と感心したものです(「ドルアーガの塔」のプログラムは100キロバイトもなく、PSのメモリにプログラムを全部読み込み、それからゲームを開始しているので出来る芸当らしい)。そして59階、ドルアーガとの決戦にいたっては「絵文字が完全にかすれて読めない」というありさまでした。

 まぁ、つまりはお手上げだったわけで、結局、私は家と書店とを往復することになるわけです。そしてとうとう攻略本を買わなかったのですから、本当に悪党です。ごめんなさい。

 

 こうして数々のインチキ(主に立ち読み)を駆使し、私は60階に到達しました。神秘的なBGMの中、ギルは女神イシターに謁見し、石にされた巫女カイの救出に向かいます。この階の絵文字は「括弧に十字(三角形に配置)」で、意味は「カイを中心に三角形の頂点で剣を振る」です。

 剣を振るたびに、ギルは3本あるクリスタルロッドを1本ずつ掲げていきます。全てのクリスタルロッドを配置し、石の元に向かうと、カイの呪いは解かれ、元の姿に戻ります。そして3本のクリスタルロッドが1つに集まり、ついに平和の象徴、ブルークリスタルロッドが復活しました。ファンファーレ!これでクリアです!

 

 表面では静止画だったエンディングは、ゆっくりと文字とドット絵がスクロールするスタッフロールとして生まれ変わっていました。開発スタッフ、登場したモンスター一覧、そしてギルとカイ。BGMもロングバージョンと豪華になり、物語の終幕を彩ります。そして最後に、ギルが剣を天に向かって掲げ、印象的なSEが流れました。

 …終わった。そしてオレの気力も終わった。あぁ、やっぱり自力クリアは無理であったか。そりゃそうだな。しかし…面白かったなぁ。私は完全な敗北を味わいながらも、しかし不思議な満足感に満たされたのでした。

 

 

 さて数日後。私はまた書店を訪れ、攻略本を読み返していました。この本には攻略情報の他にも、開発秘話とかも掲載されていたのです。もうホントに「買っちゃえよ」と、かつての自分を殴りたくなりますが、それでも立ち読みで済ませた私に、皆さん、どんな言葉を投げつけてくださっても結構です。猛省と共に受け入れますので。

 さて、裏ドルアーガ攻略の後に、小さなコラムがありました。そこには

 

「第3のドルアーガの塔!『闇ドルアーガ』のプレイ方法を公開!」

 

 

 エェーェエーエエェェエエッツ!!!!イヤァアァアアァアアアァアッッ!

 

 …この「闇ドルアーガ」、ゲーム設定が出来る「ディップスイッチ」をいじった上に、タイトル画面でアレコレとコマンド入力をすることでプレイ可能になるのですが…。今度はホントにノーヒント。一応プレイしましたが、まぁ、結果は推して知るべし、お話しすることもありますまい。それに今回はホントに長くなりましたので(ごめんなさい)、ここまでといたしましょう。

 

 

 

 

 それではまた、十八回表でお会いしましょう。

 

 

 おまけ:珍しいことに、PS版裏ドルアーガのプレイ動画がありましたので、是非こちらで「マジでムズい」をご覧ください(宝箱出現条件は収録されていません)


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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