いにしえゲーム血風録 引き分け再試合! 「テクニクティクス」

いにしえゲーム血風録
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 私がゲーセン小僧だった頃、くどいようですが世は「格ゲー全盛時代」でありました。もう、あっち行っても格ゲー、どこ行っても対戦台、あおりを受けて消え去る私のお気に入りゲーム、嗚呼、という私にとってはガッカリな時代だったわけですが(コマンド入力を練習しなかった自分のコトは棚に上げる)、この時代、もう1つ流行っていたジャンルがありました。音ゲーです。

 キーボードやギターなどの入力デバイスを操作して楽曲を演奏する音ゲーは、現在でも様々なタイトルがゲーセンに並んでいます。その始祖はやはりコナミの「ビートマニア」であり、その支流である「ギターフリークス」「ドラムマニア」、兄弟分の「ダンスダンスレボリューション」など、実に多くのタイトルが格ゲーと時を同じくしてこの時期に生まれました。現在までその系譜が続いていることからお分かりのように、当時から非常に人気があったのです。

 ということは、どこのゲーセンもこぞって導入することになるわけで、結果ゲーセンは格ゲーと音ゲーばっかりになりました。私はと言えば、音ゲーには全く興味を抱きませんでした。正直、音ゲーはゲームっぽく見えないんですよ。上手くなってグルーブに乗ることが出来れば楽しいのかしら。でも、反射神経テストか何かのように見えてしまうのです(暴論)。ですから当時の私も、今の私も音ゲーは遊びません(一部例外を除く)。ですから、当時の私がいっそうふてくされたことは言うまでもありません。

 さて、ここで「一部例外」と書きました。その数少ない1つが「太鼓の達人」(ナムコのレトロゲームのBGMが楽しめたから)、もう1つが今回ご紹介する「テクニクティクス」なのです(「リズム天国」は音ゲーなのかビミョーなので保留)。このゲームはPS2で2001年にARIKAより発売されました。ARIKAっていうと、昔はポリゴンのストリートファイターを出したり、えらくむつかしいテトリスとか作ってました。今はスマホゲーを作ってるようですが、私はスマホを持ってないのでよく知りません。ともあれ、まずは本作のストーリーからご紹介しましょう。

 

 

 みんなが大好きなおもちゃたち、彼らの秘密を知っていますか?子供たちが寝静まった真夜中、おもちゃたちはおもちゃ箱をステージに、ステキでクールなダンスパーティーを開いているのです。今夜もたくさんのおもちゃたちが集まり、賑やかにステップを刻みます。

 

 

 メルヘンだねぇ。実際、ゲーム画面はものすごくファンタジックでファンシーです。でも本作に収録されている楽曲は全部テクノなんです。それもかなりハードなやつばっかし。ダンスパーティーというよりレイブなんじゃねぇかと思いますが、とにかく、本作の概要から参りましょう。

 

 このゲーム音ゲーですが、いわゆる「楽譜が流れてきて、それに合わせてキーを押す」というゲームではありません。本作はステージであるおもちゃ箱を斜め上から見下ろした形で、この上をおもちゃが歩き回り、曲と共に浮かんでくる円の上で、波紋に合わせてダンスすることで「演奏」となるのです。タイミング良くダンス出来れば「テンションメーター」が上がり、タイミングを外すと下がります。テンションメーターが一定以下まで下がるとリタイヤとなってしまいます。曲の最後まで踊り切ればクリア、となります。

 ではシステムのご紹介です。十字キーでおもちゃの移動、ボタン1でダンス、ボタン2でアクション(後述)を行います。曲が始まるとステージ上に次々と大小様々な円が浮かんできます。この円には最初中央に点があり、これが波紋となって広がっていきます。この波紋が円に接した時にボタン1でダンスすると上手く演奏でき、派手なエフェクトとともにテンションが上がります。逆に波紋が円に接する前や、円を通過して消えてしまった後にダンスすると演奏失敗となり、テンションだだ下がりとなるのです。

 曲の進行に合わせて円は次々とあちこちに浮かんできますから、おもちゃを走り回らせて、波紋に合わせてダンスして反応させていくのです。しかし何も全部の円の波紋に合わせてダンスする必要はありません。中には円がいくつも連なった形で浮かんでくるものがあり、このうち1つでダンスすると、連なった全ての円を反応させていくことが出来るのです。つまり最初の円を上手く反応させれば、連なった残り全ての円も自動的に演奏されるので、テンション維持にも役立ちます。こうして曲の終わりまで全ての円をダンスによって反応させ、演奏していくのです。

 

 さて、プレイヤーが操作するおもちゃにはいくつかの種類があります。見た目もさることながら、移動速度や先のボタン2による「アクション」が異なります。ここで一部のおもちゃの性能をご紹介しましょう。

 

・ニッティー:全身ニットのぬいぐるみ。移動速度は平均的。アクションは円を持ち上げて移動することが出来る

・ボット:レトロなロボットのおもちゃ。移動速度は平均的。アクションは円を持ち上げると円がどんどん大きくなる。また円を持ち上げている間は移動速度がベラボーに速くなるが、円は小さくなってしまう

・カート:メガネのイケメンのおもちゃ。移動速度はやや速い。アクションは円を蹴ることができ、ボタン2を押している長さで飛距離が変わる

 

 つまり「アクション」で円の位置を動かすことが出来るわけで、したがって円と円を自由に繋げることが出来るわけです。例えばタイミングがむつかしい円に、比較的タイミングが簡単な円を繋げてこちらを上手く反応させれば、むつかしい方の円も自動的に反応させることが出来るわけです。また、円を移動させて繋げれば、1つの円を反応させるだけで10も20もの円を連鎖反応させるようにも出来るわけで、クリアが容易になるのです。このアクションを上手く使いこなせるかが本作攻略のカギになると言え、実はなかなか歯ごたえのある、結構忙しいゲームなのです。

 

 さて音ゲーですから、収録されている曲がカッコ良くないといけません。が、この点は全くスッカリ安心で、というのも本作の楽曲を手掛けたのは、私の大好物レースゲーム「リッジレーサー」の楽曲作った「めがてん」こと細江慎治氏と「AYA」こと佐宗綾子氏、それにやっぱり私の大好物STG「メタルブラック」の楽曲を作ったYack.こと渡部恭久氏などなど、レトロゲーマーは号泣する豪華な面々なのです(彼らの立ち上げた楽曲制作会社「スーパースィープ」は、なんかもう、いろんなゲームやアニメに楽曲を提供しています)。実際、私が本作をゲーム屋で見つけた時、最初は「音ゲーかぁ」としか思いませんでしたが、ジャケットと裏面に彼らの名前を見つけるや「ぅほっ!?」と奇声を発してしまい、気が付くと家でPS2のコントローラーを握りしめていました(誇張アリ)

 元々ゲーム音楽制作はサンプリング音源を頻繁に使用していたので、テクノミュージックはまさに彼らの独壇場。テクノの様々なジャンルを網羅した楽曲群となっています。一例を挙げると、ハウス、ドラムンベース、アンビエント、インダストリアル、ロッテルダムテクノ(めがてんさんと言えばコレ)などなど。とはいえ、私はちっともさっぱり音楽に詳しくないので、これらのジャンルを見てもピンと来ませんが、聞くとホントにカッコイイ曲ばかりです。あんまりカッコイイので、サントラが出ていることを知った私は、すぐに土砂降りの雨の中をCDショップまでチャリンコで疾走したくらいで(事実です)、今でも週1で聞いています。

 

 ということで、ポップでファニーなグラフィックに、エッジの効きすぎたコアなテクノ、そして簡単操作で奥の深いゲーム内容が揃い、テクニクティクスは非常に完成度の高いゲームでした。購入直後は2日くらい徹夜しましたし、その後も暇さえあれば遊んでました(同時に「クレイジータクシー」もやっていたので、実際寝る間はなかった)。で、好評だったのか、続編「テクニクビート」がACでリリースされ、こちらは往年のナムコゲーがリミックスで収録されているという、ある意味ニッチな内容でして、こちらも遊び倒しました。多分、私は一番遊び倒した音ゲーであったと言えるでしょう。

 しかしながら、「文字で読んでもよく分からし、曲も分からん」というもっともな意見もありましょうから、こちらでプレイ画像をご覧ください(何故か本作の動画はネット上に少ないため、非常に貴重です)。「テクニクビート」の方もどっかに落ちてると思います(力尽きた)。もしどこで見かけたら、そして偶然PS2本体を小脇に抱えていましたら、迷わず購入することをお勧めしますよ。あ、あとサントラもね!

 

 

 

 それではまた、十九回表でお会いしましょう。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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