カタカナの魔力について

くらし
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 今回は日本語についての私感雑感でありまして、タイトルにもありますように「カタカナ」についてのお話であります。



 グローバル化だかなんだかの影響により外来語の輸入が頻繁な昨今、様々な外来語が次々とカタカナで表記され、その数は実に実に多く、気が付けば周りはカタカナだらけであり、もしかしてひょっとして、ひらがなや漢字よりもカタカナの方が多いのではないかとすら思えてしまうのであります。



 そんなカタカナだらけの世の中にあり、私はカタカナにある種の魔力を感じています。いや、魔力よりも常軌を逸した、平たく言えば狂気を感じてしまうのです。



 といっても先述の外来語のカタカナ表記にではなく、普通ひらがなで表記するであろう言葉がカタカナになると、途端に狂気を感じてしまうのであります。



 一例として「とても」という言葉を挙げてみましょう。この言葉は強調の意味合いを持ち、例えば



とても美しい とても困っている とても耐えられない



のように使われます。並外れて美しい、これまでになく困っている、度を越していて耐えられない、などなど、通常よりも一段上の状況であることを示しています。



 まぁ、これならば表現として普通です。しかしこの「とても」がカタカナだったらどうでしょう。



 トテモ美しい トテモ困っている トテモ耐えられない



 この世ならぬ美しさ、絶望とも言える困窮、生き地獄のような責苦…。もぅ一段どころか数段上の、ある種の非常事態であるような雰囲気が感じられないでしょうか。



 さらに、これが会話文で使われますと、いよいよ狂気が滲み出てくるように思えます。すなわち、



「君は美しい、トテモ美しい。」



「こっちがトテモ困っているのに…!」



「ああぁあああそんなのトテモ耐えられない!」



 …なんか言い方の問題である気もしてきましたが、しかしカタカナに置き換えることによって狂気が感じられる言葉はたくさんあります。以下羅列しますと、



 じっと見る ジッと見る



 ずっと以前から ズット以前から



 恐ろしい考え オソロシイ考え



 ものすごい量 モノスゴイ量



 ネ?常軌を逸しているニュアンスが感じられはしないでしょうか。思うにカタカナはそもそも漢字の略字であることから(「ア」は漢字の「阿」の編を抜き出して作られている)、どちらかと言えば子供向け、ひいては幼児性、飛躍すれば自己のみが最優先され善悪の概念が欠如している、つまりは狂気を感じさせるのではないかと勝手に思っております。



 マァ、そもそもの始まりは、私が高校生の時に読んだ夢野久作氏の「ドグラ・マグラ」に端を発しているのでしょうがネ。この作品はある精神病患者の狂気を題材にした「探偵小説」でありまして、内容のエログロさに意図的に分かりにくくした構成が相まって、発表当時(昭和10年)「読んだ者を一度は狂気に陥れる」とまで言われた、日本三大奇書の一つであります。



 しかし文体は決して難解なものではなく、むしろ非常にリズミカルで読みやすく、その分堂々巡りを繰り返しているような異常な内容が浮き彫りとなり、当時の私もヒドク引き込まれたものです。



 特にこの作品、というよりはむしろ夢野久作氏の文章にはカタカナが多く使われており、それこそ普通はひらがなで表記するであろう言葉がコトゴトクカタカナで表記されており、それが作品世界の幽玄さというか、アヤシサというか、まさに常軌を逸した内容を描くにはピッタリであったと言えたのです。



 ですから私がカタカナに感じる狂気というのも、案外夢野久作氏の薫陶と言えなくもないワケで、トモすれば私は未だ「ドグラマグラ」の狂気から抜け出せていないのかもしれませんネ。



 とはいえ、今回のお話を読み終えた皆さまは、既にカタカナに潜む狂気をを垣間見てしまったのですから、この先何でもない日本語も、無意識のうちにカタカナに直して、そのニオイ立つような狂気を愛でることになるやもしれません。



 ナァニ、単なる言葉遊びに過ぎませんよ。ドウゾご心配なさらぬように。



 エフフフフフ…。





 ~コケオドシで完~


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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