「山田~!」
「なんだよ鈴木。」
「久しぶりにセガールごっこしようぜ!」
「お、いいな。先攻は譲ろう。」
「『オレはお前を許さない、お前もオレを許さない。違うか?』」
「『匿ってくれて感謝する。ここは暖かかった。』」
「「言いそう~!セガール言いそう~!」」
「あの~、お二人さん。」
「お、帰宅部キャプテンでリーダーの吉田。どうしたよ。」
「ちょっと疑問に思うことがあってな、二人の意見を聞きたいのよ。」
「まあッ!恋?ねぇ、恋?」
「オレは委員長なんて良いと思うぞ。」
「違うよ。いいから聞け。」
「「分かりました。」」
「この間ドラッグストアで栄養ドリンクを買ったんだがな、ここでフト思ったのだ。」
「こんなもん効きやしねぇよ、オレには愛が必要なんだってか。」
「まあッ!やっぱ恋?」
「黙れ、そして聞け。でな、レジの人の気持ちはどんなんだろうな、と。」
「レジ?」
「きれいなおねえさん?」
「おばあさんだったがな、もしかしてオレの事を疲れてる人と思ってやしないかと。」
「は?」
「オレはドリンクのあの味が好きで飲んでるだけで、疲れてるわけでないのよ。」
「はぁ。」
「でもレジの人から見れば、オレはクタクタに疲れてる人と捉えられているわけだよ。」
「ははあ、何を買うかで自分の状態を見透かされてるのではないか、と。」
「そう。みんなはどうなのよ。鈴木はそんなこと考えないか?」
「確かにエロ本を買う時は、自分がエロス人のように思われないか気になる。」
「いや、エロ本買うのはエロス人だろう。間違いない。」
「そうか、すまん。山田はどうだ。」
「そうだな、参考書とかかな。スゲェ賢い大学のヤツを買う時は滾る。震える。」
「『この人賢い人だわ!』みたいな?」
「いや、『この身の程知らずが!』みたいな。」
「そんなに自分を卑下するのはおよしよ。」
「そういえば姉ちゃんもバイト先のスーパーでレジやってるんだが。」
「おおぅ!オレの女神!どこのスーパーだ!?」
「鈴木はホント、オレの姉ちゃん大好きだな。」
「え?オレも好きだぞ、山田の姉ちゃん。」
「吉田もか。写真いるか?」
「そこまでじゃない。」
「なんだとぅ!」
「すまん、鈴木、悪かった。だから山田の姉ちゃんはお前に譲る。」
「やった!」
「…でな、おっさんが惣菜とかカップ麺とか買ってるのを見るとな。」
「この話の流れだとディスってるな…。」
「いや、『もっとちゃんとしたもの食べれば良いのに』と可哀想になるそうだ。」
「優しいなァ。惚れ直しちまうよ。」
「恋するのは自由だが、愛にはさせんぞ。」
「いけず。」
「で、吉田部長の言う事も一理あるようだ。」
「オレは部長ではないが、ともかく、みんなあるわけだ。」
「他はどうだろう。あ、委員長!聞いてくれ!」
「だから私は委員長じゃないってば。」
「実はコレコレシカジカ。」
「…思春期の自意識過剰でしょ?そもそも『買う=欲求』なんだし。」
「「「…むぅ。」」」
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