今回紹介するのはテクモの「がんばれギンくん」であります。テクモって言うと最近(今はコーエーテクモか)では「デッドオアアライブ」とか「NINJA GAIDEN」とかですが、昔は「スターフォース」のような爽快STGや「ソロモンの鍵」のようなクソ難しいPZLを作ったり、あとはFC世代の方には「キャプテン翼」なんかをやり倒したりして、結構お世話になった方も多いのではないでしょうか。
このようにテクモは幅広いジャンルをカバーし、なおかつ良質なゲームを世に送り続けた素晴らしいメーカーなのですが、とかくどんなメーカーでも暴走することがあります。そしてテクモの暴走こそが、この「がんばれギンくん」なのであります。
さてミニゲーム集というジャンルがあります。このジャンルはセガの「タントアール」やGBAの「メイドインワリオ」なんかが有名ですね。1分~3分程度のゲームを次々とクリアしていくジャンルで、失敗するとライフが減り、全部なくなるとゲームオーバーという内容です。一応ストーリーはありますが(泥棒を追いかける、新しいゲームを開発する、など)便宜的なものであり、当然ハラハラドキドキするわけもなく、あってもなくても同じだったので、むしろゲーム内容の面白さが重要でした。そしてゲームはと言えば、最初のうちは恐ろしく簡単ですが、終盤になると破壊的難易度(到底人間にはクリア不能)になるのがむしろ愉快でした。
そして「がんばれギンくん」もこのジャンルなのですが、最も特徴的なのがグラフィックが「落書きのような線画」であることです。それがアニメーションする様は、さながら教科書の隅のパラパラマンガです。しかしグラフィック技術が向上し、ポリゴンが当たり前となっていた当時としては、そのようなぐにゃぐにゃな線画はむしろ新鮮であり、相当の衝撃を受けました。そしてゲーム内容もどうかしているものばかりで、いろんな意味で心配になる暴走っぷりに、再度私は衝撃を受けました。結果、中坊ながらも「こんなことやっても良いんだ」という当時のゲーム業界のフリーダムさを感じたのでした。
さて主人公である「ギンくん(よい人)」と「ハム(よいカエル)」はライバル「ガツガツ(ワルモノ)」の出す無理難題をミニゲームに挑戦という形でクリアしていかなければなりません。先に「ストーリーは便宜的」と言いましたが、しかしこのゲームは以下の難易度の違う3つのストーリー選ぶことが出来ます。
・かんたんコース:「ゲキトーTV The つらい」
・ふつうコース:「どんまい学園 涙もの」
・きついコース:「緊急出動!ぶらり旅(スパイもの)」
まぁ、どの話を選んだところでガツガツが無理難題を吹っかけてくる展開には変わらないですし、ミニゲームの内容も変わりません(せいぜい難易度とノルマが変わるくらい)。しかしストーリーは相当ふざけた内容なので、ある意味次の展開が気になり、ついついコンティニューしてしまう恐るべき中毒性があるので注意が必要です。
さてシステムはレバーとボタン1つで操作します。操作方法はミニゲームの内容によって変化します。ストーリーはいくつかのセクションで構成され、各セクションにはノルマが設定されています。このノルマの数だけミニゲームをクリアしていけばストーリーが進んでいきますが、ミニゲームを失敗するとお約束通りライフが減り、全てなくなるとゲームオーバーとなります。それではミニゲームの内容を紹介しましょう。
・赤ちゃん危機一髪:複数の赤ちゃんが海に向かってハイハイしているので、ガラガラで呼び戻す。赤ちゃんが海に入ってしまうと母親にブン殴られてミス。レバーで左右移動、ボタンでガラガラ発動。
・牛と赤マント:画面奥から牛が突進してくるので、「オーレ」のタイミングで赤マントを翻して避ける。タイミングが悪いと首を吹っ飛ばされてミス。レバーで構えを変える、ボタンでマント発動。
・オレとジャンプとメタンガス:走り幅跳びの要領で肥溜めを飛び越える。はまるとミス。レバガチャで加速、ボタンでジャンプ。
・カレーの王様:カレーの王様の周りを空中浮遊する。飛んでくる鳥にぶつかると墜落しミス。レバーで移動、ボタンで浮遊。
・くまちゃんムチの味:玉乗りをしている熊をムチでぶっ叩いて落ちないようにする。落ちると食われてミス。レバーで左右移動、ボタンでムチ発動。
・ゲッターギン:胴体を地上に残し、首が上空へスッ飛ばされるので、息をフーフーして上手いこと合体させる。合体失敗で首がどっか行ってしまいミス。レバーで左右に息をフーフーする。
・しかってしかばね:ゾンビがダンスしているので、振り付けの違うゾンビを木槌で殴る。違うゾンビを殴ると食われてミス。レバーで左右移動、ボタンで木槌発動。
・大砲でドン:ひろみが「GO」と言ったら大砲を発射する。違う言葉(COWなど)で撃つとガツガツに撃たれてミス。ボタンで大砲発射。
・だるまさんのふんどし:だるまさんのふんどしの上を歩いて、だるまさんに目を入れる。動けるのはだるまさんがよそ見して「だるまさんのふんどし」と言っている間だけ。動いているところを見つかると、だるまにされてミス。ボタン連打で前進。
・つりばか必死:突然だが、大海原で大物を釣る。画面の指示に従い、レバー回転でリールを巻くか、ボタン連打で釣竿を引く。時間切れで海に引きずり込まれてミス。
・泣いてないよフラメンコ:巨大なハイヒールが踏みつけてくるので、ミサイルで迎撃する。ハイヒールに踏みつけられるとミス。レバーで左右移動、ボタンでミサイル発射。
・ふとうでしとう:ニワトリ型バイクでチキンレースをする。埠頭の突端から落ちるとミス。ボタンでブレーキ。
・ベルギー消防団:爆弾の導火線の火をオシッコで消す。消し損ねると爆発し、何故かワニに食われてミス。レバーで移動、ボタンでオシッコ。
・ユキヤマン:雪だるまを作っている熊を避けながらスキーで滑走する。雪だるまにぶつかると漫画的表現の後、熊に追いかけられてミス。レバーで左右移動。
・ラッコさん部隊:サメの泳ぎ回る海上で孤立している子ラッコを親ラッコの所まで息をフーフーして運ぶ。時間切れでサメに引きずり込まれる。ボタンで息をフーフーする。
・ロケットずし:スゴイスピードの回転ずしで、指定のネタを食べる。違うネタを食べるとワサビ山盛りで火を噴き、爆発してミス。ボタンで食べる。
…書いていて頭痛がしてきましたが、以上が全ミニゲームです。あれ、もっと多いかと思いましたが、16種類しかないですね。あ、でも「タントアール」もそのくらいでしたね。ともあれ、結構同じミニゲームを延々とやることになるのですが、そこは徐々に(コースによっては指数関数的に)難易度が上昇し、コレが良いスパイスに(あるいは苛立ちの原因に)なりますから、まるで大丈夫です。
またミニゲームの中には唐突に「チャンスゲーム」と銘打たれる場合があり、この時ゲームをクリアするとライフが増えます。が、あまり出現しないので気休めです。基本、連コインを覚悟してプレイすることになります。もちろんワンコインオールクリアも無理ではないでしょうが、独創的過ぎるグラフィックと内容は精神にかなりの爪痕を残しますから(良い意味で)、あまり無理をしないことがオススメです。
さてこのゲーム、やはり内容があまりにもアバンギャルド過ぎたのか、恐ろしく出回りが悪く、またあっという間に姿を消したゲーセンも少なくなかったので、どのハードにも移植されてません。どこかの場末のゲーセンで奇跡的に発見されましたら、当方にご一報してくださった後に、有り金全部突っ込んで遊んでいただくことをお勧めします。間違いなく飲み会のネタになります。
さて、中坊の私はこのゲームをやってしまうのでしょうか?十六回裏に続きます。
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