今回はシューティング界の鬼教官、アイレムより「R‐TYPE」をご紹介しようと思います。それまで今ひとつヒットに恵まれなかったアイレムを一躍一流メーカーに押し上げた、いわば待望の場外ホームランであり、シューティング好きなら誰もが知っている名作であります。それではストーリーからご紹介しましょう。
「西暦2163年、一つの宇宙ステーションが連絡を絶った。宇宙ステーションは次元の狭間より現れた、見たこともない異形の生物によって制圧されてしまったのである。あらゆる生物、鉱物、電子機器と融合するこの生物を、地球側は『バイド(BYDO)』と呼び、調査隊を派遣するも全滅。唯一、無人調査船が小さな高エネルギー体『バイドの切れ端』を持ち帰っただけであった。地球人はこの切れ端を次元兵器である『フォース』に転用し、人類初の次元戦闘機『R‐9』に搭載すると、バイド殲滅のために飛び立ったのだったのだった。」
と、なんかもう、ガチのSFです。そしてシリーズを重ねるにつれ、設定はズンドコ重厚になり、非常に複雑なものなりましたが、発表当初はこんな感じでした、確か。ともあれ、プレイヤーは次元戦闘機「R-9」に乗り込み、バイドの巣窟へ殴り込みを掛けるわけです。それではシステムの紹介です。
ゲームは横スクロールの全8面。ジョイスティックで8方向移動、ボタン1でショット、ボタン2でフォースの射出と収納を行います(後述)。ボタン1を長押しすることで画面下のゲージが溜まり、離すと高威力で貫通する「波動砲」を打つことが出来ます。敵、敵弾、地形に触れるとミスになり、残機を全て失うとゲームオーバーとなります。
さて、パワーアップですが、基本的にR-9はパワーアップしません。道中に出現する「POWアーマー」を破壊し、出現するクリスタルアイテムを取ることでフォースをパワーアップしていく、という形になります。このフォースが非常にクセのあるシステムで、これを上手く活用出来るかどうかが攻略のカギとなります。それではフォースの特徴を詳しくご説明したしましょう。
まず、R-9は最初はフォースを装備していません。クリスタルアイテムを取得することで、初めて画面後方よりフォースが出現します。この時自機の前方、あるいは後方からぶつかることで、フォースを装着することが出来るのです。フォースはクリスタルアイテムを取り続けることで成長し、第3段階まで成長します。もちろん、育ったフォースの方が高い攻撃力を誇ります。
次にフォースの操作方法です。フォースが自機に装着している際にボタン2を押すと、フォースは水平方向に射出され(自機の前に装着されていれば前方に、後ろに装着されていれば後方に射出される)、その後、自機の横軸を追尾するように移動します。
フォースと自機が分離している際にボタン2を押すと、今度はオートでフォースが自機に近寄ってきます。この時、先述のように任意の方向から近付けば、フォースを装着することが出来るのです。
そしてフォースの最大の特徴は「敵と敵弾を防ぐことが出来る」ということです。ですから、例えば自機の前方にフォースを装着すれば、前方からの攻撃に対して鉄壁の防御が可能になりますし、後方に装着すれば、後ろからの攻撃を気にしなくて済みます。またフォース自体にも攻撃判定があるので、例えばボス敵の弱点に上手くフォースを重ねることが出来れば、何もしなくてもダメージを与え続けることが可能になるのです。
それではフォースの攻撃方法について説明しましょう。フォースは「自機に装着した時」と「自機から分離した時」では攻撃方法が異なります。自機に装着した場合、フォースは最後に取得したクリスタルの色により、以下の3種類の攻撃が出来ます。
・赤:対空レーザー:赤と青のレーザーを水平に発射する。威力高。
・青:反射レーザー:3方向(斜め上、水平、斜め下)にレーザーを発射する。地形や敵に当たると反射する。威力低。
・黄:対地レーザー:自機の垂直上下方向にレーザーを発射する。レーザーは地形に沿って進んでいく。威力高。
ただし、発射方向はフォースが自機のどちら側に装着されているかで異なります。つまり前方に装着されていればレーザーは前方へ、後方に装着されていれば後方へ放たれます。これにより、例えば、自機の後方の敵を撃ちたい時には、フォースを後方に装着して攻撃をすれば良いわけです。
フォースが自機から分離した時にはバルカンで攻撃します。攻撃範囲はフォースの成長度合いに比例し、「第1段階:前方のみ」、「第2段階:斜め上下2方向」、「第3段階:上下2方向+斜め上下2方向」となります。これは例えば、前方に敵の集団がいる場合、そこへフォースを射出し、ショットを撃てば、自機は安全な場所にいながら攻撃することが出来るのです。
このように、フォースは非常に多彩、かつ複雑な攻撃が可能となっています。これらの特徴を良く理解し、時には盾に、時には強力な武器として活用しなければなりません。この他にも、以下のパワーアップアイテムが存在します。
・S:スピードアップ:R-9の移動スピードがアップする。
・M:ミサイル:ホーミングミサイルを撃てるようになる。一度に2発撃てる。
・ビット:R-9に護衛の球体が装備される。敵を防ぐことは出来るが、敵弾は防げない。
特にビットは非常に強力な装備ですので、逃さず取得したいものです。
それではステージをご紹介しましょう。どの面も特徴的で、フォースシステムを生かした面となっています。
・1面:宇宙ステーション:ステーション内は、既にバイドの手に落ちていた。あらゆる機械類はバイドに浸食され、R-9に襲い掛かる。そして最深部、次元の狭間より、巨大なバイドが姿を現した。
・2面:生体洞:次元の狭間より侵入した異層次元は、肉塊と骨に満ちた洞窟だった。天井や床から襲い掛かる歪な生物群。やがて巨大な心臓のような生物が見えてきた。
・3面:巨大戦艦:次の異層次元には、地球人の開発した巨大戦艦が航行していた。しかしこれもバイドに侵され、地球を目指している。動力炉中心に巣食うバイドを駆逐しなければならない。
・4面:宇宙基地:異層次元より抜け出すと、そこはバイドに浸食された宇宙基地。不思議な胞子で満たされていた。その胞子を喰らうのも、またバイドである。奇妙な生態系を統括するのは、やはりバイドに浸食された地球の戦闘機だった。
・5面:バイドの巣:再び異層次元に潜り込むと、無数の鞭毛たなびく空間に出た。巨大な蛇型バイドが踊り狂い、電子機器と融合したバイドがレーザーをまき散らす。その様子をじっと見つめる巨大な肉塊があった。
・6面:輸送ライン:異層次元を出ると、巨大なコンテナが高速で移動する、狭い輸送トンネルだった。バイドに侵された監視システムが容赦ない攻撃を繰り出す。輸送ラインの奥、無数のコンテナがR-9に襲い掛かる。
・7面:宇宙都市:バイドに占領された都市。あらゆる隙間からバイドが這い出し、また都市の壁に仕掛けられた爆弾が爆発、崩落を繰り返す。辿り着いた先は、ゴミ処理場であったが、そのシステムも既にバイドの手にあった。
・8面:バイド帝星:最後の次元跳躍の末、遂にバイドの本拠地に到達する。そこは成長途中のバイドが舞い踊り、謎のエネルギー体が牙を剥く空間。そして全てのバイドを生み出す存在を発見する。
…このように、どの面も敵が上下左右から襲い掛かり、また複雑な地形も相まって、非常に歯ごたえのある内容となっています。つまり優れたアイデアの塊であり、面毎に明確なテーマが示されています。それらは「異形の存在との戦い」という本作のメインテーマを堅固に形作り、唯一無二の世界観を打ち出しているのです。それはBGMにも表れており、1面の印象的な導入部や、4面の壮大なイメージ、また7面の重苦しい雰囲気など、どの面の曲もゲームを盛り上げてくれます。
しかしながら難易度も相当なもので、基本「ミスって覚えろ」という側面があることも否めません。それでも面構成を学習し、パターンを掴めば、必ず解法が見つかるように設計されています。つまり理不尽なミスは存在せず、敵の戦術に対して適切な戦略を練ることが、このゲームを攻略する上での最大の方略でしょう。プレイヤーはバイドの仕掛けた周到な罠を攻略し、それはあたかも「人類VSバイド」の戦いを体験していると言えるでしょう。こちらで素晴らしい戦いが繰り広げられていますので、是非独自の世界を味わっていただければ、と思います。
…しかしこのゲームの難易度は、ゲーセン小僧の私には荷が重い気がします。クリア出来たんですかね?四回裏に続きます。
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