いにしえゲーム血風録 十九回表「レイフォース(Con-Human編)」

ゲーム
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 今回ご紹介するゲームは1994年にタイトーから発売されたSTG「レイフォース」であります。…みなさん、タイトーのSTGですよ!もはや説明の必要はないとは思いますが、ことSTGとなると異常に凝ってしまうタイトーです。メタルブラックの回でもお話しましたが、どういうわけかタイトーはSTGとなると中二病炸裂な世界観に突っ走ってしまい、当時のゲーマー達は戦慄と憧憬と畏怖を抱いたものです(オレだけか)。ある意味心に引っ掻き傷を残す、そんなタイトーSTGが私は大好きです(キメ台詞)。そういうわけでお待ちかね、早速ストーリーからご紹介しましょう。

 

 

 遠い未来。人類は「原子配列操作による物質生成システム」を生み出し、ついに資源問題を解決する。このシステムを管理するニューロネットワーク「Con-Human」が開発され、全世界にネットワークを張り巡らせた人類は繁栄を極め、いよいよ外宇宙への進出に踏み出す。

 しかし突如「Con-Human」は人類による一切の操作、命令を拒否、一方的な大量虐殺が開始される。あらゆる機能を「Con-Human」に依存してきた人類に為す術はなく、ついに「Con-Human」は地球を機械惑星へと改造した。もはや人類の住める環境ではなくなった地球を捨て、人類は宇宙へと逃れた。

 しかし「Con-Human」の人類に対する攻撃は止まず、人類は惑星の破壊を決断する。人類は脳と機械を接続した機動兵器「RVA-818 X-LAY」を開発、一点突破による「Con-Human」破壊を目的とした「OPERATION RAYFORCE」が開始されたのだったのだった。

 

 

 …コンピュータの暴走!脳と機械の接続!母星破壊!重てぇ~!相変わらず思春期の少年の妄想をひた走っております。さすがは設定凝り過ぎで定評があるタイトーであります。しかし、それがいい…(とても遠い目)。さて悦に浸るのはこのくらいして、システムのご紹介に移りましょう。

 

 このゲームは縦画面縦シューティング(王道だ!)で、8方向レバーで自機「X-LAY」の移動、ボタン1で対空ショットを撃ち、ボタン2でこのゲームのキモである追尾ビーム「ロックオンレーザー(後述)」を撃つことが出来ます。地形は無いので、敵機、敵弾に当たるとミスとなって残機が1つ減ります。残機を全て失うとゲームオーバー。残機は100万点と200万点で1機増えます(これが非常に重要です)。全7面で構成され、各面最後にいるボスを倒せばステージクリア、最終面の「Con-Human」を破壊すればオールクリアとなります。

 

 ではロックオンレーザーについてご紹介しましょう。自機の前方には照準があり、これを自機よりも低い位置にいる敵機(色調が暗めである)に合わせると「ロックオン」となり、この状態でボタン2を押すと追尾ビームが発射され、ロックオンした敵機に必ず当たります(画面外に逃げられた場合は別です)。

 敵機が上昇して自機と同じ高さや自機よりも高い高度に移動しても、「ロックオン」状態は持続し、ボタン2を押せばその敵に向かって追尾ビームが発射されます。しかし一定時間経ちますとロックオンは解除されてしまいますので、ロックオンしたら出来るだけ早く発射しましょう。また自機より低い位置にいる敵機(砲台とか)はロックオンレーザーでしか倒せないので注意が必要です。

 ロックオンレーザーは対空ショットよりも威力が高く、大抵の敵機は1発で破壊することが出来ます。しかし耐久力の高い敵機の場合は集中ロックオンすることができ、例えば1体の敵機に3発ロックオンした後にボタン2を押せば、その敵機にロックオンレーザーが3発追尾し、命中するのです。また、1発で倒せる敵機を複数同時にロックオンすることもでき、この場合ボタン2を押せば、それぞれの敵機へとビームが発射されます。ロックオンレーザーは初期状態では5発まで同時発射でき、アイテムによって最大発射数が8発まで増えます。

 ロックオンレーザーで敵機を破壊した場合、1発で倒せる敵機に関しては得点に倍率がかかります。1発目のレーザーなら1倍、2発目なら2倍、3発目なら4倍…となり、8発目なら128倍になります。ですから同じ100点の敵機でも、1発目のロックオンで破壊すると100点ですが、8発目のロックオンで破壊すれば12800点となります。先述の通り、100万点と200万点で残機が増えますから、オールクリアを狙うならば高得点を狙うのも手です。

 

 続いてパワーアップです。自機「X-LAY」は赤い敵機を倒すことで出現するアイテムを取ることでパワーアップします。なお、スピードアップやバリアのようなヌルイアイテムはありません(いいすぎ)

・ショットアイテム:正四面体の形のアイテム

 このアイテムには「赤」と「黄」の2種類があり、赤は3つ、黄は1つ取ることでショットレベルが1つ上がります。ショットレベルは最大6レベルまで上昇し、レベルが高いほど威力が強く、幅が広くなります

・レーザーアイテム:「L」と書かれた緑のパネル

 このアイテムを取るとロックオンレーザーの同時ロック数が1発増えます。最大8発まで増えます。

*アイテムを取ると1000点獲得ですが、最大パワーアップ状態で取ると2000点、以後1000点ずつ増加し、10000点まで上がります

 

 

 それではステージをご紹介しましょう。皮肉にも母星を破壊することになった人類の戦いをご覧ください。

・1面:敵前線基地

 人類と「Con-Human」の戦いによって生じた小惑星帯に設置された敵基地。多くの敵機が駐機しており、厳重な警戒が敷かれている。ボスである「デュアルランス」は大口径のレーザーランチャーを2門装備した戦艦であり、小型ながら脅威である。

・2面:惑星軌道上

 敵のステーションが並ぶ宙域。大型戦艦が多数航行しており、単なる物量による攻略は非常に難しいと言える。ボスである「ギラソル」は空間転移装置を搭載した防衛衛星であり、堅固な防壁として機能している。

・3面:惑星上空

 惑星上空に設置された防空システムが舞台。いくつもの浮遊大陸が見られる。ボスである「ギガ」は防空システムにおける中核的存在の大型飛行体であり、レーザーとバーナーを中心とした攻撃を仕掛けてくる。

・4面:惑星地表

 惑星地表に展開された広大な敵基地。無数の対空砲と戦闘機による複合攻撃は苛烈を極める。ボスである「G.P.M.S-2」は大型の四足歩行型兵器であり、誘導レーザーとプラズマ機雷による攻撃を行う。

・5面、6面、7面:???

 これ以降のエリアは惑星中心核へと続いていると思われるが、無人偵察機による調査は不十分であり、「人型兵器」「核融合炉搭載型防衛システム」が存在していることが断片的に確認されているだけである。また「Con-Human」については一切の詳細は不明である。

 

 

 さて、本作は空中敵は対空ショットで、地上敵はロックオンレーザーで倒す仕様となっています。つまり空中敵と地上敵を撃ち分ける必要があるのですが、このようなシステムは過去にもいくつかのゲームで採用されています。伝説のゲーム「ゼビウス」や、「ツインビー」などがそれにあたります。

 しかしこのような撃ち分けはリアリティこそありますが、ゲーム性に一役買うことはあまりなく、せいぜい「地上敵の攻撃は激しいので、倒さないとちょっと厄介」くらいで、乱暴な話、ただプレイヤーに面倒な操作を要求するだけでした。ですから多くの縦シューは空中敵も地上敵も同一のショットで破壊出来るような仕様になっています。スターフォースはその最たるものでしょう。

 しかしながら本作における撃ち分けは非常に重要なフィーチャーなのです。先に「空中敵は対空ショットで、地上敵はロックオンレーザーで倒す」と述べましたが、正確には「自機と同じ高さの敵機は対空ショットで、自機よりも低い位置の敵機はロックオンレーザーで倒す」なのです。この違いは敵機のアルゴリズムに関係しています。

 すなわち、低い位置にいる敵機のうち、戦闘機はしばらくすると自機と同じ高さまで上昇してきて、非常に激しい攻撃を仕掛けてくるのです。過去の作品のように「地上敵の攻撃は激しいので、倒さないとちょっと厄介」なんてレベルのものではなく、ミスしても不思議ではない攻撃をしてくるのです。ですからプレイヤーは敵戦闘機が自機よりも低い位置にいるうちに破壊する方が楽になります。

 この「低い位置のうちに敵機を倒さないとトテモ厄介」という仕様はゲーム全編にわたって採用され、結果プレイヤーは安定して先の面に進むためには、ロックオンレーザーで低い位置の敵機を積極的に倒す必要が出てくるのです。しかしながら後半面になるに従い、低い位置の敵機を一度に破壊するチャンスは少なくなっていき、結果として「どの敵機を低いうちに倒すか」を考えなければならなくなり、非常に戦略的なプレイが要求され、絶妙なゲームバランスを実現しているのです。加えて先の「複数ロックオンによる得点倍率」が絡みますと、もはや難解なパズルとなり、当時のシューターはパターン構築に夢中になったのです。

 

 さて、このようにゲーム内容は非常に優れていましたが、もちろんそれだけではありません。本作はグラフィックも非常に優れていたのです。本作はゲームシステムの仕様上、キャラの拡大縮小が不可欠でしたが、非常に滑らかに表現され、また先述のように「低い位置の敵機は暗めの色調である」ために、敵機の高低差が非常に分かりやすく、ロックオンの面白さを際立たせていました。

 そして忘れてはならないのが「ロックオンレーザー」の表現の美しさです。複数の敵をロックオンした時にはロックオンレーザーは花火のように四散し、耐久力のある敵に集中ロックオンした時には光の束となって収束していく…。光の筋となって敵を追尾するロックオンレーザーは、ただ発射するだけでキレイで楽しいものでした。

 さらにBGMも名曲揃いでした。勇ましく、華麗で、しかしどこか悲しげな楽曲群は「この戦いには痛みしかない」とでも言いたげで、そのクリアな音色により人類の歴史に対する鎮魂歌のようでありました。サントラのノートによれば、本作のBGMは「X-LAYのパイロットの心象風景」というテーマで作曲されたらしく、機械との戦いのために脳と機械を繋いだ、つまり機械化した人間の「機械と人間の間で揺れ動く心」を描いたものだということです。機械化しなければ戦えなかった人類は、確かにヒトとしての終焉を迎えていたのかもしれません。

 

 ということで、システム、グラフィック、BGMの三拍子が揃えば、当然それは良いゲーム。レイフォースは絶大な人気を博しました。そして続編である「レイストーム」、「レイクライシス」と制作され、「レイシリーズ三部作」として歴史に名を残すのです。そして特に本作「レイフォース」はその完成度の高さから、今なお支持され続けているようです。

 現在はSS、PS2、PCでプレイ可能なようですが、え、スマホでも遊べんの?それは知らんかった。しかし!縦シューは!縦画面で遊ぶもの!ですから是非!ゲーセンで遊びましょう!多分秋葉原とかのどっかにあるから!でも「みつからんよ」という方はこちらでタイトーの底力をご覧ください。

 

 さて当時、丁度ゲーセン小僧だった私ですが、クリア出来たんですかねぇ…。多分、またあの雑誌のお世話になったんでしょう。なったに決まってます。本人がそう言うんです、間違いありません。ありませんとも。

 

 

 ということで、続きます。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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