当ブログでは事あるごとにラーメンを取り上げていますが、ご多分にもれず今回のテーマもラーメンです。幾多数多のラーメンの中から今回取り上げますのは、勘の良い方はタイトルだけでお気付きでしょう、笛を吹いているオヤジと言えば是即ち「チャルメラ」であります。
生粋のニポン人ならばご存知の、あるいは想像を絶する程のやんごとなき御方ならば、少年時代にお忍びで、出かけ迷った街中の、ポストの前で知り合った、赤いほっぺの女の子、六畳一間のアパートで、一言「どうぞ」と勧められ、ムッシャモリモリ夢中で食べて、今や屋敷の三階に、独り佇む書斎の隅で、独りコッソリ一口食べて、「あの子は今や、いずこにあらん…。」と嘆息したであろう、ニポンを代表するインスタントラメーン、それが「チャルメラ」であります(長い)。
1966年の発売以来、鉄人衣笠も真っ青のロングランを突っ走る大人気、というか、急に無性に食べたくなる魔性のミール。その人心をむんずと掴み、カールゴッチよろしく無慈悲に握り潰して止まない魅力はやはり、他の製品ではとんと見られない魅惑の味「ホタテ味」という点でしょう。鶏ガラ、にぼし、トンコツと、ラーメンには様々なダシがありますが、ホタテ味はまさに他の追随を許さないチャルメラ一点ものであります。ありますが、そういえば、昔「ホタテラーメン」なんてのがあったな。そうそう、こんなCMでした。
閑話休題。さて、チャルメラには別添された「秘伝スパイス」という秘剣があり、これが脇役ながら絶大な存在感がありました。これがあるとないとではまるで味が違い、スパイスなしでは「シュークリームにシュー生地がない」というか「本マグロの握りにシャリがない」というか、そう、「ドクターペッパーに20種類以上のフルーツフレーバーがない」という感じがシックリ来るでしょう(来ません)。
かく言う私もチャルメラの虜、下僕、奴隷でありまして、時折何かのスイッチが入ったかのように(多分禁断症状)、急に不意に矢も盾もたまらずチャルメラが食べたくなってしまう、ある意味末期であり、そんな時は3玉一気に喰うとか、4玉一気につけ麺にするとか、これでもかと言わんばかりにホタテ味に溺れ、しかし心身はものの見事に浄化され、明日への活力、溢れる魅力、気になる能力としているのです(意味不明)。
さてチャルメラは長らく袋めんで一人無双を張っていましたが、近年カップ麺でもお目見えしています。チャルメリアン(造語)である私ですから、それはもう自動的に購入し、オートパイロットで湯を注ぎ、束の間のエルドラードを楽しむのですが、ここであることに気付きました。つまり、
「…味が違うッ!?」
というわけで、今回は3種のチャルメラを食べ比べ、各々の特徴について誰に聞かれるわけでもないのにお話しようと画策した訳であります(以上、長い前置き終わり)。
まずはスタンダードにしてオリジン、袋めんのチャルメラですが、これは数十年に渡って皆様の舌を楽しませてきましたから、今更詳しい味の説明など不要でしょう。しかし今回の目的は比較でありますので、基準点として簡単に味を説明しましょう。
まずはやはりスープでありまして、ホタテの味がじんわりと口の中に広がり、かと言って魚介臭さなど微塵もなく、ただただ旨味のみで、「うむ、滋味!」と唸らせる美味さです。ここに別添の秘伝スパイスが加わりますと、このスパイスの、何と言うか、コショウとは違う辛みと香ばしさがホタテの甘みを際立たせ、何でか腹が減ります。まぁ、麺はインスタントなので突っ込みませんが、それでもこのホタテ味のスープと良く合う油っぽさで(揚げ麺だから)、妙にどっしりとした旨味を演出しているから分からないものです。
ではカップ麺のチャルメラに参りましょう。まずはコレ。
「チャルメラカップ・しょうゆ」でありまして、面倒くさいので「チャルメラ・タテ(以後タテ)」としますが、これは袋めんのチャルメラを忠実に再現したブツであります。が、唯一の違いは「秘伝スパイス」が「秘伝スパイスオイル」になったこと。これでスープ全体にスパイスがまんべんなくいきわたるという訳です。
さて、その出来栄えなのですが、スープはいくらかホタテ感がまろやかになり、良く言えば「マイルド」、悪く言えば「薄い」のです。これは各々の好みの問題であり、「うどんは関東と関西ではどっちがウマいか」レベルの答え無き問いであると言えましょう。
次にオイルへと進化した秘伝スパイスですが、確かにスープ全体に混ざってくれますが、それ故にか「スパイス感に乏しく」感じてしまいます。というのも、袋めんの秘伝スパイスは粉末であるが故にあまりスープに溶け切らず、したがって所々ダマになっており、しかしコレがチャルメラ全体に刺激的なアクセントを生み出していたのです。「タテ」ではオイルとなって溶けやすくなったためにこのダマが発生せず、秘伝スパイスのある意味暴力的刺激が薄れてしまったのです。
このようにスープはマイルド、スパイスは控えめになったのが「タテ」であると言えます。ただこれが決して悪いわけではなく、「ソツなくウマイカップ麺」であると言えます。ですから友人が深夜急に押しかけ、何か食わせろとわめいたとしても、コレがあれば万事解決、今日もお江戸は日本晴れと相成るわけです(なにが?)。
次のチャルメラはコレです。
「チャルメラ・中華そば・貝だししょうゆ」であります。これも面倒くさいので「ヨコ」としましょう。こちらは丼型の容器になったのをいいことに機に、チャルメラの新たな可能性へと踏み出そうという企画らしく、この時点で既に「オリジナルのチャルメラではない」ことが丸分かりなのですが、一応味のご説明をいたしましょう。
まずはスープですが、オリジナルが「貝の煮汁」であるのに対し、こちらは文字通り「貝だし」であります。つまり貝の風味がオリジナルに比べて相当弱くなっています。後味の最後の方にほんのりと貝を感じることは出来ますが、横っ面を張り飛ばされるような貝テイストではありません。
またチャルメラのシャドウキャビネットである秘伝スパイスはなくなりました。別添されていないのです。別添されているのはチャーシューとメンマのかやくだけ。どうも粉末スープの中に秘伝スパイスの何かしらは入っているようですが、絶対量が少ないために隠し味程度にとどまっております。
つまりスープもスパイスも「オマージュ」レベルであるわけで(作ってるのは同じ会社だけど)、結局先述の通り「オリジナルのチャルメラではない」わけなのです。とはいえ、コレはコレで美味しいので、オリジナルとは独立して考えれば完成度の高い一品と言えましょう。
さて、ここまでお読みいただいた方ならばもうお気付きでしょう。オリジナルの味の解説はヤケに熱く、血走っていたというのに、タテとヨコでは何だか冷めている様が示す通り、やはり私にはオリジナルの袋めんチャルメラが一番ウマイと思うのです。
しかしヨコの紹介の際にもお話しましたように、タテもヨコもそれ自体は非常に美味しいカップ麺であり、しかもオリジナルの良い部分をある程度継承していると言えます。
つまりタテもヨコも、いわば「オリジナルから暖簾分けされた弟子の店での一杯」であるわけで、師匠の良い所を生かしつつ、各々の味を表現しているわけなのです。まぁ、新商品なのですから、オリジナルをまんまコピーしても意味がないですからね。
ということで、比較しても意味がないことを自覚したところでお時間となりました。また別のインスタントラーメンでお会いしましょう。
そういえばチキンラーメンどんぶりも袋めんのチキンラーメンとは似ても似つかなかったな…。じゃあカップヌードルも袋めんになったら違うのかな…。
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