さて今回はカプコンの隠れた名作シューティング「バース」をご紹介しましょう。
現在カプコンと言えばモンハンで、その前は格ゲーの雄だった訳ですが、そもそものスタートは「バルガス」という縦シューティングでした。このゲームは通常ショットとは別に回数限定の貫通弾が使える事が特徴で、複数の敵を貫通させると高得点というものでした。また敵の出現、攻撃パターンも実にいやらしいものが多く、対処法を知らないとあっという間にミス、という厳しい内容でした。それというのも、この時は既に「グラフィックがキレイ」というだけではインカムを望めない、アイデア勝負の時代になっていたからです。ですからカプコンもこの時代に発表されていた「ゼビウス」や「スターフォース」に負けないようなアイデアが要求されていたのです。
その結果カプコンの取った戦略はバルガスから続く「周到な攻撃」に、より磨きをかけると言えるものでした。つまり単純にプレイヤーを狙って弾を撃ってくるだけでなく、右から敵が出現するとワンテンポ置いて左から敵が出現、即攻撃というように、プレイヤーを包囲していくようなアルゴリズムでした。この傾向は「エグゼドエグゼス」で顕著になり、やがてカプコンを代表するシューティング「1942」ではプレイヤーは常に逃げ道を確保しながら敵を攻撃するという、なかなかむつかしいダブルタスクを要求されるようになるのです。そしてこのスタイルは後の「ファイナルファイト」のようなベルトスクロールアクションや「ストⅡ」のような格ゲーに昇華されていくのですが、それはまた別の話です。
さてストⅡが発表されたことで、それまでシューティング主体だった市場に劇的な変化が訪れます。いわゆる「格ゲーブーム」の到来で、どこのメーカーもこぞって格ゲーを作りました。そして他方、シューティングはマニア向けのむつかしいゲームとして、あるいは長時間プレイされるインカム率の悪いジャンルとして、プレイヤーからも店側からも敬遠される傾向になっていきました。そんな中、格ゲーを一大市場に押し上げた当の本人であるカプコンも何か思うところがあったのでしょう、シューティングで身を興した者としての矜持なのか、一つのシューティングを発表しました。結果的には全く話題にならなかったのですが、それが今回のゲーム、バースなのです。
それでは今回もストーリーを紹介したいのですが、私の記憶ではデモ画面にもゲームスタート時にもインストカードにも、どこにもストーリー説明がなかった気がします。事実、これを書いている今、ストーリーを全く知らない自分を発見したくらいです。ネットでも見つからないので(そもそもネットでなかなか見つからないゲームを紹介するコラムなので当たり前)、「強大な敵に挑むオレ達だったのだった。」で手を打ちましょう。多分、大体そんな感じです。
次にシステムの紹介です。自機はヒコーキ、ショットとボムで進むオーソドックスな縦シューですが、そこはカプコン、一筋縄ではいかないのです。それは「ポッド」という一対のオプション兵装の存在です。このポットはなんと敵弾を防いでくれます。防げないのは青色のレーザーと火炎放射と敵の体当たりくらいのもので、大抵の敵の攻撃は防いでくれます。R・TYPEのフォースみたいですが、着脱は出来ません(ただ、ゲーム開始時はポッドなしの丸裸なので、急いでポッドアイテムを取り、装着しないと非常にマズイが、それはそれで恩恵もある)。そのかわり、ゲームスタート時にポッドの配置を二種類から選ぶことが出来ます。一つは自機の周回を浮遊し、自動で敵弾を察知、防御してくれる「ファジーポッド」、一つは自機の前方に固定される「フロントポッド」です。このポッドで積極的に敵弾を処理することがこのゲームの最大のキモと言えるでしょう。
それでは自機のパワーアップを見てみましょう。自機には「ワイドショット(扇形広範囲攻撃)」、「マシンガン(前方連射攻撃)」、「レーザー(前方集中攻撃)」の三つのメインショットと「ホーミング(数発の誘導ミサイルを発射)」、「ミサイル(数発の直進ミサイルを発射)」、「ナパーム(近距離の高威力の炸裂弾を投下)」の三つのポッド攻撃があり、それぞれ対応アイテムを取る事で使用武器を切り替える事が出来ます。メインショットはカプコンお馴染みの「POW」を取る事でパワーアップし、最大レベル8まで強化されます。そしてボムはメインショットの種類によって効果が変わり、ワイドショットなら集中型キャノン砲、マシンガンならホーミングショット、レーザーなら全画面を覆うライトニングボルトを放つことが出来ます。また使用中は自機が無敵になるというスグレモノです。このボムの面白いところは、使用するとボムストックにゲージが表示され、一定時間経過してゲージが満タンになると、ボムが補充されます。つまり事実上ボム使用は無制限。ヤバくなったら即使用というのが鉄則です。
さてこのゲーム、全30面です。「長ッ!」とか思ってはいけません。カプコンのシューティングは代々長いんです。それに1面あたりは短いですし、一つの面の80%まで到達すれば次の面に進める安心設計ですから、文字通り安心してください。舞台は廃墟、港湾、都市、火山、渓谷、砂漠、海など、非常にバリエーションが多く、素晴らしい書き込みで表現されています。 また舞台にマッチした美しく透明感のあるBGMも印象的です(ちなみにサントラは激レア)。そんな中を襲い来る敵機も飛行機、戦車、潜水艦、浮遊砲台に、何だか良く分からない火炎放射マシンと、こちらも多種多様で、攻撃方法もあの手この手で確実に自機を追い詰める周到さは、まさにカプコン。最近の弾幕系シューティングとはまた違った敵の猛攻を味わうことが出来ます。
そして数面ごとに出現するボスは巨大、かつ地響きのするような猛攻で、敵ながらホレボレします。多砲戦車「スパイダー」、グルグル回転砲台「サテライト」、爆炎巨大戦闘機「ドラゴンフライ」、復活砲台上等空母「クローバー・フォー」、爆走弩級火炎弾「スティール・ゴーレム」、レーザー乱舞可変ヘリ「ブラッディー・ホーク」と、どれも癖のある攻撃をしてくるのでボムがいくらあっても足りません。しかも硬い。ちょっと油断するとやられます。まさにボスにふさわしい緊張感が味わえます。
またこのゲームは隠れキャラが豊富で、カプコンお馴染みの「モビちゃん」やストⅡの「リュウ」もこっそり出ています。実はこれら隠れキャラが非常に重要な役割を持っているのですが、それは三回裏でお話ししましょう。
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