いにしえゲーム回顧録 五回裏 「アウトフォクシーズ(残り1人編)」

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  当時私はナムコ直営のゲーセンに入り浸ってました。ナムコ直営ですから当然ナムコ製品が多く(恐ろしくレトロなナムコのゲームも当然のようにあった)、アウトフォクシーズも当然入荷されていました。しかしデモ画面を見て抱いた最初の印象は「…なんかごちゃごちゃしているな。」でした。というのも、キャラクター間の距離が近い時は拡大モードとなり、一見普通の対戦格闘ゲームのように見えるのですが、距離が遠くなると縮小モードになり、高層ビルの中を小さなキャラがチョコマカと動いている表現になるため、非常にせせこましい、どこかB級の匂いの感じがしました。

  しかしインストカードを見てこれが「対戦アクション」と知った時、私の脳裏には小学生の時に遊んだ、マリオブラザーズの通称「ころしあい(無邪気な残虐性)」が浮かびました。ステージから蹴落とし、弟を階下のカニの餌食にする兄。下から突き上げ、弟を黒焦げにする兄…!その印象で改めて画面を見ると、なるほど同じような構成であることに気が付きます。が、次の瞬間キャラクターが放ったのはロケットランチャーでした。爆発と共に吹っ飛ぶ相手方、しかし何事もなく立ち上がる相手方…!「これは真剣に作った、相当バカなゲームだ…!」と直感した私は、早速プレイしてみるのでした。

 

  さてキャラクターがたくさんいますが、インストカードによれば「金のためならベビーシッターから革命の指導者まで請け負う男」という触れ込みの、ダルマの絵の描いてあるTシャツを着た男、「ダルマTシャツ」にしましょう、平均的能力らしいから。最初のターゲットのは白いスーツの金髪姉さん、「射撃お嬢」です。ステージは水族館。様々な水棲生物が陳列され、天井には巨大なクジラの模型が展示されていますが、もう前フリにしか見えません。ダルマは下層階、お嬢は上層階に配置され、「Kill your enemy by any means」の掛け声と共に死合い開始です。

 取りあえず目の前の拳銃を拾い、上層階へ向かいますが、そこを狙い撃ちするお嬢はさすがですね。負けずにこちらも偶然拾ったマシンガンで応戦ですが、お嬢ほど射撃の腕が良くないので、銃弾がバラけ、なかなか上手く当りません。結局いいようにお嬢になぶられてしまいますが、偶然拾った日本刀で銃弾を跳ね返す荒業を体得、しかし案外簡単に日本刀が折れてしまい、やっぱり逃げ回る羽目に。

 なんてことをしているうちに、突然の爆音。何故か(というかやっぱり)水槽が爆破され、館内が少しずつ浸水してきます。それに連れて水槽内の凶暴な水棲生物が泳ぎ回り、下手に着水するともれなく襲われます。徐々に足場が無くなり、とうとう水位はクジラ模型に到達。何故か天井から手榴弾が降ってきて、次々と爆発する様は「ひょうきん族」を彷彿とさせます。それでも爆発した手榴弾が運良くお嬢を吹き飛ばし、偶然通りがかったサメに喰われて死合い終了。辛くも生き残る事が出来ました。しかし結構なダメージを食らったために高額の医療費を取られ、儲けはあまりありません。

 

  その後は「タキシード猿」と飛行機の主翼の上で機銃を使った死闘を繰り広げ、「車椅子爺さん」とは戦闘機用ミサイルを素手で投げ合い、「怖い双子」とは嵐の中のクルーザーで偶然流れ着いたロケットランチャーを打ち合い、「イグアナ娘」とは人間大砲の奪い合いの末に象に轢かれ、「鉄拳パンチ」とは暴走機関車の屋根に登ってはトンネルの天井に激突することを繰り返し、ともあれ何回目かのプレイで6人のライバルを葬る事に成功しました。でも医療費も莫大でした。やれやれこれでクリアかと思いきや、依頼主のアクメ氏から呼び出しを喰らいます。曰く「報酬を払うからウチまで来てほしい」とのこと。罠の匂いがプンプンしますが、物語の進行上拒否は許されないので、のこのことアクメ邸へ向かうのでした。

 

  アクメ邸はどこぞの避暑地の別荘みたいな感じですが、玄関入ってすぐの所に大量の猛犬がウロウロしているところ見ると、どうやら殺る気マンマンであることは間違いないようです。犬をかいくぐり、奥のエレベーターに乗り2階へ行くと、大量の木箱が並び、背後には電気ウナギが泳ぐプールがあります。木箱を乗り越えようすると、奥にいるひょろりとした男性が天井から伸びるヒモをひっぱり、便所よろしく天井から水がザー。流れに飲まれて背後のプールに落下、案の定感電。「ひょうきん族」再びです。木箱をぶん投げ、男性を追いかけてエレベーターで3階へ。長い廊下の天井には照明がこれ見よがしにぶら下がっており、もう言わずもがななので割愛。何とかアクメ氏の書斎に到着しました。

  これだけ殺る気マンマンの仕掛けをしておいて、アクメ氏は満面の笑みです。「報酬をお支払いしましょう(なに言ってんだ)」の言葉と共に部屋は暗転。そして銃声。スライディングで何とかかわすも、部屋が明るくなると床一面手榴弾。アクメ氏の姿はなく、代わりに地下へ続く穴があります。堪らずそこへ飛び込むと、ビリビリ放電が襲い掛かってきます。なんでしょう、この周到さ。カプコンでしょうか。ともあれ地下へ尻餅ついて到着すると、奥の階段の上からアクメ氏が手榴弾がポイポイ投げてきます。コンチクショーと階段を駆け上がりますが、途中で坂に変化してそのまま下へズザー。ここでまさかの「ひょうきん族」を重ねてきました。

  それでも何とか坂を駆け上がり、アクメ氏を追ってエレベーターで屋上へ。アクメ氏はヘリコプターで空に舞い上がり、こちらに向かって、よほど好きなのか、ポイポイ手榴弾を投げてきます。爆風だらけの屋上を逃げ回っていると、何か落ちています。…ロケットランチャーです!しかも拾ってみると弾数無制限のスペシャルエディション!

  …こうしてバカ全開の最終決戦の火蓋が切って落とされたのでした。

 

  と、まあ、ナムコのバカアクセル踏みっぱなしのゲームでありまして、しかしハイスコア(預金額)を狙おうとすると途端に高い戦略性が問われたり、対戦では上級者になればなるほど一挙手一投足の読み合いに昇華され、リアルなヒットマン同士の死合いとなる点など、ゲームとしての完成度もなかなか高く、加えて地味に曲も良かったりするのですが、なにぶんテーマが「ころしあい(無垢な残忍性)」なので家庭用には移植されていないところがタチが悪いですね。それでも秋葉原などにあるコアなゲーセンでは、今でもハイレベルな対戦が行われているとか。どこかで見かけたら、是非プレイしてみてくださいね。

 

  それではまた、六回表でお会いしましょう。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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