「妖魔のいなくなった平和な世界。ルーとシバは静かな夜をボードゲームをして過ごしていました。と、そこへ小さな妖精が窓から迷い込んで来ました。傷つき、とても疲れているようです。話を聞くと、彼女の国が妖魔に襲われ、王女は捕えられ、幽閉されてしまったと言うのです。そして伝説のチャリオットならば妖魔たちに対抗出来ると考え、命からがら国を出て、ようやくここまで来たと言うのです。チャリオットを持つという『ルースターズ』の二人組を知らないか、という彼女の問いには答えず、ルーとシバは屋根へと駆け上がり、伝説の神器チャリオットに飛び乗ると、彼女の国があると言う天空の果てへと旅立ったのでしたのだった。」
妖魔との死闘から数か月後、ルースターズの戦いが再び始まります。倒した筈の妖魔を追い、舞台は天駆けるチャリオットに相応しく天空、そして大宇宙へ。「ルースターズ」からさらにスケールアップした冒険を味わうことが出来ます。
それではシステムを紹介します。チャリオットは横スクロールシューティングで、自機のチャリオットはハンググライダーのような形状をしています。レバーで移動、1ボタンでノーマルショット、2ボタンでスペシャルショットを撃つことが出来ます。ノーマルショットは扇状に広がるが射程が短い「ワイド」と前方のみの射出だが射程無制限で連射も効く「ラピッド」の二種類があります。スペシャルショットは後述のオプションを消費することで撃てる強力なショットで、「ワイド」ならば一点集中のキャノン砲、「ラピッド」ならやや扇形に広がる拡散砲を打つことが出来ます。横スクロールシューティングらしく、様々な地形が配置されていますが、自機がぶつかってもミスにならない親切設計でもあります。
次にアイテムです。道中の宝箱、あるいは敵を倒すことでアイテムが出現し、「ショットアイテム」「ボムアイテム」「オプションアイテム」「シールドアイテム」「得点アイテム」「ハート」の6種類が存在します。
ショットアイテムは色が赤→緑→赤、と変化していきます。赤の時に取れば「ワイド」に、緑の時に取れば「ラピッド」にショットが変わり、同じ色を連続して取ればパワーアップしていき、最大5段階まで強化できます。
ボムは最初は装備していませんが、ボムアイテムを取る事によって、前方に発射し落下する爆弾を投げる事が出来ます。これは2段階までパワーアップでき、地形の死角などをフォローすることができ、案外重要な装備と言えます。
そしてこのゲームで最重要とも言えるオプションは、オプションアイテムを取る事で1つずつ自機の後ろにしっぽのように装備されていきます。このオプションを3つ消費することで先述のスペシャルショットを撃つことが出来ます。しかしこれでオプションが消滅するわけではなく、いわば薬莢がしっぽに残り、時間と共にエネルギーが充填され、再びスペシャルショットを撃つことが出来ます。またオプションはエネルギーがある場合には敵と弾を消したり、ぶつけて敵にダメージを与える事もでき、加えて自機の動きによって自機を防御する陣形を取る事も出来るため、盾としての能力も兼ね備えています(もちろん、敵弾を防いだり、敵にダメージを与えるとエネルギーがなくなり、薬莢状態になる)。このオプションで上手く敵弾をさばくことが攻略上重要になってきます。
シールドアイテムはダメージを一回だけ無効にしてくれる効果があり(この時チャリオットはハンググライダー型からバイク型へ変形してとてもカッコイイ)、ハートは「ルースターズ」同様、100個集めると1UPします。得点アイテムは頻繁に出現しますが、得点での1UPはないので、ハイスコアを狙う時のみ重要でしょう。
さてステージは全部で7面。シューティングとしては十分なボリュームです。それでは詳細をご紹介しましょう。
1面は大気圏。眼下に見える地上を背景に、復活した妖魔を迎え撃ちます。「ルースターズ」で登場した敵が飛行形態で登場したり、雲に姿を変えた妖魔達が襲い掛かります。この面でオプションやボム、スペシャルショットの使い方をマスター出来るような親切な面構成となっています。ボスは巨大な雲「エアロス」。雲形の子分やブレスで攻撃してきます。
2面は宇宙へ飛び出し、月面です。前半は箱型の奇妙な機械が上下左右から襲い掛かり、オプションによる防御が試されます。後半は小型の月型妖魔が無数に登場に、レーザーと通常弾の複合攻撃が初見プレイヤーを無慈悲に撃墜していきます(2面がむつかしいのはやはりカプコンです)。ボスは月型メカ「ヒプノス」。その装甲の奥に邪悪な妖魔が脈動しています。
3面は宇宙空間。様々な星座を横目に、魔法使いの召喚攻撃や、レトロフューチャーな宇宙船の攻撃が待っています。その後「ルースターズ」で登場した鉄板型の中ボスが大量に現れ、その硬さから戦略的なルート選択を迫られます。ボスは双子座「ジェミニ」。美しい双子姉妹の容赦無い挟み撃ちは冷静な弾避けが必要となります。
4面は宇宙に浮かぶ不思議な楼閣。複雑な地形に配置された砲台が、執拗に自機を狙ってきます。また突然の縦スクロールも相まって、先手を撃って砲台を潰していかないと、たちまち追い詰められてしまいます。ボスは蟹座の「キャンサー」。泡や投石などトリッキーな攻撃が多く、油断出来ません。
5面は再び宇宙空間。背景に彗星が流れる美しい面ですが、小惑星のラッシュが自機を襲います。その圧倒的な物量にはこれと言った攻略法はなく、アドリブでの対処が求められる高難易度の面です。ボスは射手座の「サジタリウス」。その名の通り弓矢の三連射で襲ってきますが、これに加えての通常弾と誘導弾の複合が非常に避けづらい難敵です。
6面は妖精の国に到着。しかし妖魔に襲われたため、半ば廃墟になっています。複雑な地形といやらしい配置の敵が続き、積極的に攻撃しにいかないと逃げ場を失ってしまいます。非常に良く練られた構成の面で、周到な攻撃が特徴のカプコンの面目躍如と言えます。ボスは「ルースターズ」の参謀として登場した敵の強化版「アルカザール」。針を飛ばしたり、突然の体当たり攻撃をしたりと、攻撃パターンを知り尽くさなければなりません。
そして7面。眼下に星々を望む妖魔の城へと到達しました。これまでのボスが再び登場し、耐久力は減っているとはいえ、連戦は精神的に消耗しますので、ちょっとした油断によるミスが頻発します。そして最後に待ち受けるは妖魔の大ボス「ラー」。恐ろしいまでの静寂の中、天空の中心ともいえる存在との一騎打ちです。
と、非常にバリエーションに富んだ面構成となっており、またなかなかの高難易度でもあるため(特にちょこちょこ出現するデカイ銃を持った中ボスが地味に強い)、シューティング好きの方には堪らない作品となっています。加えて「ルースターズ」から引き継がれている錬金術的な世界観はより磨きがかかり、それはかつて人間が思い描いた宇宙、即ち「空気がある宇宙」とでも言いましょうか、実に神話的な宇宙観、つまり太陽に顔が描かれているような擬人化された宇宙観を表現しています。そしてBGMもそのような神性溢れる天上の雰囲気を存分に感じさせる名曲揃いです。特に2面の月面シーンの書き込みは圧巻ですし、4面のノリのいいBGMは痛快ですらあります。また6面の画面とBGMの見事なシンクロは先の錬金術的、神話的宇宙観を完全なまでに描き切ることに成功した、非常に稀な例と言えましょう。この世界の表現はルースターズを遥かに越えるものであり、間違いなく一見の価値があります。どこかで見かけたら是非プレイしてみてくださいね。
・・・え?ドンプル?数回プレイしましたよ。そこそこ面白かったんですが、ルースターズやチャリオットに比べると、ちょっと地味だったかな、と。あ、でも面白かったですよ、ホントに。
それでは、次は七回表でお会いしましょう。
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