今回はFCからナムコの名作アクションパズル「バベルの塔」をご紹介します。このゲームが発売された1986年頃、ゲームソフト1本が4000円~5000円が相場でしたが、しかしナムコは安価で良質のゲームを供給しようという「サンキューシリーズ」を展開しました。これは文字通りソフトが3900円で販売され、なおかつ十分すぎるほど遊べる内容のものばかりという、伊達に木馬を作っていた訳ではないナムコの懐の深さを知らしめるものでした。このシリーズには「ワルキューレの冒険」や「スカイキッド」など、「ホントに3900円でいいの?」と思うラインナップが並びましたが、今回紹介する「バベルの塔」もその中の1本なのです。それではストーリーをご紹介しましょう。
「古代バビロニアの人々は神々が地上に降臨するための「神の階段」として、ジッグラト(聖塔)を建てたという。それがバベルの塔である。そしてバベルの塔の頂上には美しい庭園、いわゆる「バビロンの空中庭園」があるという。考古学者インディはついにバベルの塔を発見し、今、この危険な塔へと挑もうとしている。果たして古代世界の七不思議とされるバビロンの空中庭園は存在するのだろうか…?」
この手の胡散臭さ古代ロマンを扱わせると、ホントにナムコは上手ですよね。「ゼビウス(発端は紀元前12000年)」「ドルアーガの塔(異世界の中世)」「ドラゴンバスター(中世)」「源平討魔伝(日本の鎌倉時代)」などなど、実にまことしやかな説得力のあるゲーム世界を構築してくれます。それではゲームシステムをご紹介しましょう。
ゲームは上下2画面構成の横視点で、全64面です。プレイヤーは主人公インディを操作して、フロアの出口を目指してください。出口はちょっと普通では届かない所にあるので、フロアに存在するL字型ブロックを積み上げて、道を作る必要があります。出口が閉じている場合には、フロアに点在する水晶玉を全て集めて封印を解かなければなりません。またフロアには登り降り出来る「ツタ」や、左右に動く「魔法の絨毯」、上下に動く「雲」が存在します。これらを上手く利用して、出口を目指してください。出口に到達できればそのフロアはクリアとなります。
操作系を説明しますと、まず十字キーでインディの移動を行うことが出来ます。上下はツタの登り降りに使用します。左右で歩くことが出来ますが、インディは自分の身長の半分なら登ることが出来ますが、自分の背の高さは登ることが出来ません。AボタンでL字ブロックを持ち上げる、又は降ろせます。Bボタンで魔法の力を使います(後述)。スタートボタンでポーズがかかり、十字キーでフロア全体を見ることが出来ます。また詰んでしまった時はセレクトボタンを押すことでギブアップ出来ます。
ブロックを持ち上げると、画面右上の「POWER」の数字が減り、0になった状態でL字ブロックを持ち上げると潰されてミスになります。またフロアの最下段は針山になっていますので、これに触れてもミスになります。またL字ブロックを持った状態で一定の高さから飛び降りても、潰されてミスになります。その上フロアには敵が存在し、これに触れてもミスになります。念のため言っておきますが、上から降ってきたL字ブロックに潰されてもミスになります。
さて、このL字ブロックがこのゲーム最大のキモなのですが、バベルの塔の魔力なのか、少々不思議な特性を持っています。適当に積み上げれば、その通りに積みあがりますが、しかしL字ブロックを同じ向きで階段状に積むと、ブロックは宙に浮き、下にブロックが無くとも階段状態を維持することが出来ます。この特性を利用して、フロアに限りあるL字ブロックで出口への道を作らなければならないのです。
出口に到達するには、どのようにL字ブロックを積み上げていくか?逆算とひらめきによって活路を切り開かなければなりません。しかしフロアにはプレイヤーの助けとなる、以下のアイテムが出現することがあります。
・白い壺:インディのPOWERが1回復する。
・王冠:インディの移動速度が少し上がる。
・宝石:一定時間、インディが無敵になり、敵を体当たりで倒すことが出来る。
・魔法のランプ:Bボタンを押している間、L字ブロックをすり抜けることが出来る。そのフロアでのみ有効。
・流れ星:インディの移動速度が著しく上がる。
インディが石を持ち上げるとPOWERが減りますから、「白い壺」は特に重要です。しかし、基本的にフロアスタート時に設定されているPOWERでクリア出来るようになっているので、あくまで救済措置と考えると良いでしょう。
次に敵キャラクターを紹介しましょう。どれもイヤラシイ行動をするものばかりです。どの敵もL字ブロックで潰して倒すことが出来ますが、一定時間経過すると復活します。
・ウル:バベルの塔に棲む亡霊。ひたすらインディを追いかけてくる。
・コウモリ:バウンドするように移動する。
・バベルズ:バベルの塔建設時に使われた土製アンドロイド(?)。L字ブロックを作り出す。
このように次々とフロアをクリアしていきますと、8の倍数の面は「壁画の間」というフロアになります。このフロアは出口に到達するのは非常に簡単ですが、ある行動をすると画面中央に壁画が出現します。全64面ですから、壁画の間は8つあり、したがって壁画は8種類存在します。プレイヤーはこれを見つけ出し、64面クリア後の最終フロアで「ビッグパスワード」として、8つの壁画入力を求められます。これを正しく入力出来れば、晴れてインディは最上階に到達し、伝説の真偽を目にすることが出来るのです。しかしこの8つの壁画、最初のうちは簡単に発見出来ますが、後半になるにつれて恐ろしくむつかしい条件となっていますので、ここでも頭を悩まされることになるでしょう。
と、3900円のわりには異常なまでに練りこまれたゲーム性でありまして、本当に頭を捻らないとクリア出来ない本格パズルゲームとなっています。またグラフィックは簡素ながら遺跡の雰囲気を存分に表現していますし、BGMは軽快ながらも冒険心を煽るようなものとなっています。特に「壁画の間」のBGMはミステリアスな雰囲気抜群で、世界観と見事にマッチした演出と言えるでしょう。現在はWii‐Uのバーチャルコンソールで配信されていますが、まずはこちらで雰囲気を掴んでいただければと思います。
さて、大学生の私はこのゲーム、クリア出来たんですかね?ていうか、なんで大学生がファミコンで遊んでいるんでしょう?それは二回裏でお話ししたいと思います。
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