いにしえゲーム血風録 七回表 「大魔界村(鉄の鎧編)」

いにしえゲーム血風録
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 今回はアクションゲーマー養成機関、カプコンより「大魔界村」をご紹介しましょう。カプコンはご存知のようにどうかしている程の膨大な数のアクションゲームを発表していますが、その中でも「魔界村シリーズ」は高い難易度でありながら、その独自の世界観とシビアなゲーム性、そして何よりも「攻略する喜び」というゲームの根源的面白さ(おおげさ)に満ち溢れていたことから、長きに渡って支持されてきた人気シリーズです。それでは今回もストーリーからご紹介しましょう。

 

 パンツ一丁でプリンセスと墓場でデート大魔王アスタロトを倒し、無事プリンセスを奪還したナイト・アーサーは、新たなる脅威に備えて武者修行の旅に出る。そして3年後、大魔王ルシファー率いる魔族が城を襲い、人々の魂を奪い始めた。慌てて駆け付けたアーサーだったが一足遅く、目の前でプリンセスは怪光線に貫かれ、魂を奪われてしまう。アーサーは武器を取り、プリンセスの魂を取り戻すために、再び魔界へと乗り込んだのだったのだった。」

 

 ということで、前作「魔界村」の正当な続編で、グラフィックやBGMはもちろん、システムやステージギミックは偏執的なまでに練り込まれており、「大」の名に恥じない作品となっております。しかし実は前作ほどの難易度ではなく、きちんとパターンを覚えれば誰でもクリア出来る敷居の低さも兼ね備えているのです。それではシステムを紹介しましょう。

 

 ゲームは任意横スクロールで(一部縦スクロールもあり)、レバーでアーサーを操作でき、レバー左右でアーサーは左右に動き、レバー上下でハシゴの登り降り、レバー下でしゃがみます。ボタン1でジャンプ、ボタン2で武器を投げます。また「レバー上+ボタン2」で真上へ、ジャンプ中に「レバー下+ボタン2」で真下へ武器を投げることが出来ます。

 アーサーは最初鎧を着ていますが、敵に当たったり、敵の放つ弾に当たったりするとノックバックと共に鎧が壊れ、パンツ一丁になります。この状態でさらにダメージを受けると瞬時に白骨化し、ミスとなります。また道中の穴に落ちてもミスになります(当然、ノックバックで穴に落ちることもある)。さらにステージには制限時間が設定されており、これが0になってもミスとなります。残機を全て失うとゲームオーバーとなります。

 ゲームは全5面。各面の最後に待ち受けるボスを倒せばステージクリアで、この時パンツ一枚であれば、アーサーの根性により鎧が復活します。そして5面をクリアすれば普通はオールクリアですが、しかし魔界村シリーズお約束の「2周目」があり、2周目5面クリア時に最強武器である「サイコキャノン(後述)」を持っていれば、大魔王ルシファーの待つ最終面に挑むことが出来ます。首尾良くルシファーを撃ち滅ぼせば、めでたくオールクリアとなります。

 

 さてアーサーの武器は全部で7種類存在します。しかし武器は1種類しか所持出来ないので、それぞれの特性をよく考えて取得しなければなりません。それでは武器の紹介に移りましょう。

 

・ヤリ:アーサーの初期装備。水平に真っ直ぐ飛ぶ。2連射まで可能。

・ナイフ:水平に真っ直ぐ飛び、速度も速い。3連射まで可能。

・ナパーム:足元に落ち、火柱を上げて一定距離前進する。火柱は多段ヒットする。2連射まで可能。

・円盤:地形に沿って地面スレスレに飛んでいく。2連射まで可能。

・オノ:斜め上方に向かって飛ぶ。敵を貫通する。連射出来ない。

・剣:唯一の近接武器。威力が非常に高く、連射も効くが、攻撃範囲が狭い。

・サイコキャノン:ある条件で手に入る最強の武器。射程距離は短いが、敵との距離が近いほど高威力。敵弾も消せる。

 

 これらの武器は道中に隠された宝箱(後述)か敵を倒すことで手に入れることが出来ます。しかしランダムで出現するため、狙った武器がなかなか手に入らない、という場合もあります。

 

 次に宝箱についてです。宝箱は道中のあるポイントを通過することで出現し、各面に複数個隠されています。中身は「マジシャン」、「武器」、「鎧」、「黄金の鎧」のいずれかが出現します。武器は先述の武器のどれかが出現しますし、鎧はパンツ一丁の時に出現し、パンツ一丁状態から回復することが出来ます。

 マジシャンは敵の一種で、魔法弾を放ってきます。これを喰らうとダメージはありませんが、老人やアヒルなどに変えられてしまいます。一定時間経てば元に戻りますが、操作性が格段に悪くなるため、まず無事では済まないでしょう。

 黄金の鎧はアーサーが鎧を着た状態でないと出現しません。これを取得すると武器ごとに設定された忍法魔法を使うことが出来ます。黄金の鎧を装備すると画面下にゲージが現れるので、ボタン2を長押しし、パワーが最大まで溜まった時にボタンを離すことで発動します。魔法発動中は無敵なので、ある意味緊急回避にも使えます。魔法には以下の種類があります。

 

・ヤリ:雷の魔法:アーサーの真上から雷が落ち、左右に稲妻が走る。

・ナイフ:分身の魔法:アーサーの分身を1体出現させる。分身はアーサーと同じ行動を取る。一定時間で消える。

・ナパーム:火球の魔法:アーサーの左右に火球が2個ずつ出現し、回転しながら画面上を飛び回る。

・円盤:盾の魔法:アーサーの前に光の壁が出現する。一定数のダメージを喰らうか、一定時間後に消える。

・オノ:竜の魔法:アーサーの左右斜め上方に雷の竜を飛ばす。竜は画面上方へ向かい、またアーサーへと戻る。

・剣:爆発の魔法:アーサーを中心に爆発を2回起こす。

 

 なお、サイコキャノンには魔法が存在しませんが、この武器自体が魔法みたいなものなので仕方ありません。魔法は何回でも使えますが、ダメージを喰らうと一気にパンツ一丁になってしまうので、調子こかないようにしましょう。また唯一の防具である鎧、黄金の鎧は宝箱からしか出現しませんので、宝箱の位置をよく覚えておくことがクリアへの近道です。

 

 以上のアクションと武器を駆使して、前作を上回るスケールの魔界を踏破しなければなりません。ここで各ステージの紹介をいたしましょう。

 

・1面:墓場、森、崖

 毎度おなじみ墓場からのスタートですが、今回はゾンビではなく死神が襲い掛かってきます。しばらく進むとギロチンが並ぶ猟奇的ゾーンに突入。タイミングを誤るとギロチンの餌食になってしまいます。墓場を抜けると森に突入。猛烈な風の中、カマイタチの突撃をかわします。崖で待ち受けるオークや何だかよく分からない植物を抜けると、自分の首を振り回すボス「シールダー」が待ち受けています。

・2面:廃墟、蟻地獄、炎の街

 魔物に破壊された街をバックに坂道を登ります。すると亀型モンスターがバウンドしてくるので、軌道を先読みして避けましょう。風車小屋の中は蟻地獄になっており、落ちると抜け出すのに一苦労です。その後、宿敵レッドアリーマーキングと初対面となり、ここを抜けると炎に包まれた街に到着。上下から炎のコウモリが襲いかかってきます。そして街の中心の塔の前には地獄の番犬「ケルベロス」が怪気炎を吐いています。

・3面:塔、魔像の谷

 塔の中に入ると床が上昇し、強制スクロールの始まりです。ゴブリンが石を投げてくるので、上手くかわして撃ち落としましょう。また迫りくる天井に挟まれないよう、迅速な対応が求められます。塔を抜けると魔物の像が並ぶ谷に辿り着きます。像の口から伸びるを伝って、上手く谷を越えましょう。わずかなミスで谷底に転落してしまうので細心の注意が必要です。谷の向こうには雲形モンスター「ガスト」が不気味に揺らめいています。

・4面:水晶の洞窟、凍土、食虫植物

 緑色の水晶の囲まれた美しい洞窟ですが、尖っているので触れるとダメージになります。天井にもびっしり生えてますから、不用意なジャンプは禁物です。途中壁から何だかよく分からないヘビ型生物が出てきます。油断するとあっという間に囲まれ、逃げ道がなくなってしまいます。その後凍土を滑り降り、食虫植物の森を抜けると巨大な蟲「オーム」が静かに横たわっています。

・5面:魔王の城

 いきなりレッドアリーマーキングとの連戦となり、広いエリアを上へ下への大立ち回りとなります。その後トラップだらけの城内を走り抜け、シールダーやガストとの再戦に突入。ついでに前作ボスのアスタロトとも再戦という総力戦となります。そして大魔王ルシファーの扉の前に待つのは蠅の王「ベルゼバブ」です。

 見事ベルゼバブを倒すと、なんか高貴そうなおじさま(多分、天使)が「今の装備では無理だから、戻って武器を探してこい」と言われ、何故かプリンセスからアドバイスが貰えます。そう、2周目の始まりです。先述のように、2周目道中である条件を満たせば、最強武器サイコキャノンを入手できます。そして2周目5面クリア時にサイコキャノンを持っていれば、最終面「ルシファーの玉座」に辿り着くことが出来るのです。

 

 このように、本作は前作魔界村からとんでもなく進化しています。例えば上ショットが出来るようになったことで3面の塔のような縦スクロール面が成り立ちましたし、魔法攻撃を導入したことで攻略方法にも幅が出来ました(例えばみんなの宿敵レッドアリーマーを魔法で瞬殺とか)。そしてそれらに対応するように、敵配置や敵攻撃パターンは非常に練り込まれたものになっており、1度や2度のプレイでは容易には突破出来ないような設計になっています。

 しかしながら先述したように、本作は決して理不尽にむつかしい内容ではなく、適切な対処法を編み出せば確実に抜けられるようにも設計されています。ですから繰り返しプレイすることでプレイヤーは確実に上達し、それは「先の面へ進める」だけでなく、「難所をより楽に抜けられるようになっていく」という目に見える形で感じることが出来るのです。

 また進化はグラフィックやBGMにももちろん及んでおり、前作以上に緻密ながら、しかしどこか丸みのあるグラフィックは、却って魔物達の息づかいが感じられるようです。BGMは広さを感じさせる音使いになり、それはどこか寂寥感すら感じさせます。いわば前作が「局地的緊急事態」を思わせる曲調であったのが、本作では魔界の広大さ、つまり「人間VS魔族」の対立を感じさせ、ひいては敵の強大さを、そして人間の無力さを感じずにはいられないのです(特に2面のBGMは出色の出来です)。だからこそ、独り奮闘するアーサーの姿が印象深く感じられるのでしょう。

 

 以上のように、大魔界村はシステム、グラフィック、BGM、そして難易度までが非常に上手く調整され、それら全てが巧妙に絡み合い、絶妙なバランスのゲームとして完成しました。実際、前作のあまりのむつかしさに敬遠していたプレイヤーも、大魔界村は喜んでプレイしたり、また本作で魔界村の魅力に憑りつかれた方も多いようです(もちろん私もそうです)。

 現在はPS2かPSPでプレイ可能とのことですので、アクションが苦手な方も、また魔界村と聞いて「げっ」と思う方も是非プレイしていただきたいと思います。まずは試しにこちらで雰囲気を感じていただければと思います。

 

 

 さて、私が中坊であった頃は、くどいようですが格ゲー全盛期です。どうして一昔前のゲームをプレイすることになったのでしょう。まぁ、あの店長のしわざなんですが。ということで七回裏に続きます。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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