最近は「ゲーム=FPS(「ファーストパーソン・シューター」、一人称視点のSTG)」と言えてしまうほど、実に多くのFPSがリリースされています。例えば「HALO」や「CALL OF DUTY」なんかが有名ですし(やったことはない)、「GTA」のようなオープンワールドも広義のFPSと言えると思います(やったことはない)。またアーケードの「ガンシューティング」もよく考えたらFPSと言えますから、実はなかなか歴史のあるジャンルであると言えましょう。今回はそんなFPSの始祖ともいえる伝説のPCゲーム「DOOM」をご紹介しようと思います。まずはストーリーからご紹介しましょう。
「火星でひそかに行われていた瞬間移動実験により、不幸にも地獄への入り口が開かれてしまった。押し寄せる地獄の住人たちの前に、研究所の警備兵達は成す術もなく殺され、ゾンビと化した。ただ一人生き残った名もなき兵士は、わずかな武器を手に研究所からの脱出を試みたのだったのだった。」
プレイヤーはこの運が良いのか悪いのかビミョーな主人公となり、パンチとピストル一丁で火星脱出を試みるのです。それではシステムの紹介と参りましょう(なお、操作系は私がプレイしたPS版を参考にしております)。
このゲームは面クリア型の3D探索シューティングです。十字キー上下で前進・後退、左右で左旋回・右旋回が出来ます。またL1・R1ボタンで平行移動が出来ます。少々の段差であれば登ることが出来ますが、あまりにも高い壁は乗り越えることは出来ません。ボタン1で攻撃、またはアクション(扉を開ける、スイッチをONにする)を行います。ボタン2を押しながら移動でダッシュ出来ます。またL2・R2ボタンで使用武器(後述)を切り替えることが出来ます。さらにオートマッピング機能があり、スタートボタンを押すと、これまで踏破してきたマップを見ることが出来ます。
主人公には「残弾数」、「アーマー」、「体力」の3つのパラメーターがあります。「残弾数」は文字通り、使用武器の残り弾数を示し、使用武器によって所持出来る残弾数は異なります。「アーマー」は主人公の着用している防御装備を示し、敵の攻撃を喰らったりダメージゾーンを通過したりすると値が減ります。「体力」は主人公の生命力で、これがゼロになるとオダブツとなり、ゲームオーバーとなります。
ここで注意したいのはダメージを喰らった時、まず「アーマー」の値が減り、これがゼロになってからはじめて「体力」が減るという点です。ですから「アーマー」がゼロにならない限り、攻撃喰らって即死、ということにはなりません。しかし逆に言えば、アーマーがゼロになったらいよいよヤバイ、と考えた方が良いでしょう。なお、これら3つのパラメーターはアイテムを取得することで回復することが出来ます(後述)。
さてFPSですから闇雲に攻撃するのではなく、ある程度敵を狙って撃たなければなりませんが、本作はFPSの始祖だけあって、照準が非常に簡単になっています。つまり画面中央に主人公が銃を握っているグラフィックが描かれているのですが、このグラフィックと敵の縦軸とが大体合っていれば、高度は関係なく攻撃はヒットするのです。ですから高台にいる敵でも、銃のグラフィックの縦軸と大体あっていれば撃ち抜くことが出来るのです。
乱暴に言えば、画面の中央に敵が来るようにしてから攻撃すれば、まず間違いなくヒットする、ということなのです。また想像以上に射程距離があるので、かなり遠くからも狙い撃つことが出来ます。ですから敵には無暗に近付かず、遠くからチクチクと攻撃すれば安全です。
さて面クリアの条件ですが、ステージ上のどこかにある「ゴールスイッチ(今命名)」を押せばクリアとなります。ステージ上の敵を全滅させる必要はありません。何故って目的はあくまでも「火星から脱出すること」なので、逃げるが勝ちなのです。
しかしながらステージは非常に複雑な立体迷路になっており(しかしポリゴンではなく、2D描画で立体迷路を表現したというから驚きです)、しかもあちらこちらに敵がわんさか待ち受けています。そしてこの迷路の中にはロックされた扉もあり、赤、青、黄のいずれかの色が塗ってありますから、対応したキーが必要になります。…もうお気付きですね?このキーを敵が人海戦術で守っているワケです。結局敵を確実に屠り、安全を確保して前進するしかないのです。退路なんてもうないんです。
さて主人公だっていつまでもパンチとピストルだけで戦っているわけにはいきません。ゲームを進めるにつれ、強力な武器を入手することがあります。頑張って取得して、一気に形勢を逆転し、そして逃げましょう。武器は全部で8種類、以下のものがあります。
・パンチ:初期武器(?)。目の前の敵を殴る。しかし威力は決して低くはない。
・ピストル:初期武器。パンチよりマシ。これ以降に入手出来る強力な武器までのつなぎ。
・チェーンソー:近接武器。目の前の敵をぶった切る。スゴイ音で切る。スゴイ血が出る。そして威力は結構高い。
・ショットガン:攻撃範囲が広い武器。敵が近ければ近いほど高威力となる。前半のメインウェポン。
・チェーンガン:というか、ガトリングガン。猛烈な連射が可能。なのですぐ弾切れを起こす。かなり強力。
・ロケットランチャー:敵や壁にヒットすると爆発する強力武器。たまに自分も巻き込まれるから注意だ!
・プラズマガン:プラズマを発射する超強力武器。しかも連射性能に優れる。別名「宇宙破壊砲」。
・BFG9000:巨大なプラズマ球を発射出来る極強力武器。発射に時間が掛かるが、着弾すると周囲の敵全てにダメージを与えることが出来る。別名「惑星破壊砲」。
以上の武器は敵を倒すことで出現するか、ステージの隠し部屋で取得することが出来ます。かと思えば、フツーに通路の真ん中に置いてあることもあるから油断なりません。そして先述のように、これらの武器には弾数制限があります(当然パンチは除く)。残弾数はステージ上に落ちているマガジンを取得することで回復しますが、各武器専用のマガジンが存在し、強力な武器ほど出現するマガジンは少ないので、上手いこと温存しないと「攻撃手段=パンチのみ」という憂き目に遭うので注意しましょう。この他に、以下のアイテムが存在します。
・アーマー:アーマー値を回復する。緑は100まで、青は200まで回復する。取らないと死ぬが、取りに行って死ぬこともある。
・ヘルメット:アーマー値を1回復する。結構かたまって落ちているので、結構な回復量になる。
・救急箱:体力値を10回復する。そこそこ出現する。
・ポーション:体力値を1回復する。ないよりはマシ。
・黒救急箱:体力値を100まで回復し、パンチ力が激烈に増す。でもパンチで戦う猛者は少ないので、趣味の人向け。
・キー:ロックされた扉を開けるためのカギ。最初はカードキーだが、そのうち頭蓋骨みたいなのになる。悪趣味。
・耐放射能スーツ:ダメージゾーンを無傷で通過出来る。気休め。
・赤玉:一定時間自分が透明になる。敵に見つかりにくくなる。
・緑玉:一定時間無敵になる。右も左もブッ殺せ!でも目の前が見えにくくなる副作用がある。
・青玉:体力値が100回復する。いわば仙豆。
・白玉:アーマー値、体力値ともに200まで回復する。いわばエリクサー。
このように様々なアイテムがありますが、それでも地獄の悪魔の前では心許ない。そんな敵悪魔の皆さんの一部をご紹介します。なお、一部名称は私が正式名を忘れて勝手につけたものですので、参考にしないでください。
・ゾンビ:主人公の元仲間。ピストルやショットガンで攻撃してくるが、それほど耐久力はない。
・インプ:茶色の悪魔。火球を放ってきたり、パンチしたりしてくる。単体ではそれほど強くないが、徒党を組むと脅威。
・デーモン:桃色の悪魔(エロいな)。近接攻撃メインなので、遠くから攻撃すれば比較的安全。意外とチェーンソーが効く。
・鬼火:炎を纏った頭蓋骨。高速で体当たりしてくる。大量に出現する場合が多く、厄介。
・赤丸:赤くて丸い一つ目の肉の塊。火球を放ってくる。耐久力もあり、面倒な敵。
・巨大牛:二足歩行の牛型悪魔。波動拳を撃ってくる。硬くて強い、かなりの強敵。
・メカ巨大牛:巨大牛にサイコガンが付いた強化版。ミサイルを撃ってくる。スゴク硬い。なかなかの宿敵。
…なかなかキテるデザインの悪魔もおりますが、どいつもこいつも厄介です。しかしどの悪魔も必ずクセや隙がありますから、その見極めが生き残りを左右すると言えましょう。とはいえ敵の数が尋常ではないので、少々のダメージを覚悟して、惑星破壊砲などでゴリ押しするってのもアリです。突撃か狙撃か撤退か、それはプレイヤー次第なのです。
このように簡単操作、簡単照準、多彩な武器、不気味な敵、派手なエフェクト(スゴイ血飛沫とか)はそれまでにないゲーム体験をプレイヤーに与え、大人気を博しました。しかもオンライン対戦も対応していたので、寝る間も惜しんでオンラインプレイをする輩が続出しました。当時はまだネットが大容量回線ではなかったので、オンラインプレイに処理を取られてネット全体の機能が低下したり、寝る間を惜しんじゃったので実生活がマズイことになった人も大勢いた、と聞きます。
これを受けて「DOOMⅡ」が発表されます。ストーリーは「前作で間違って地獄の最深部まで迷い込み、成り行きで地獄の王を倒し、命からがら地球に戻った主人公だったが、地球は既に地獄の悪魔たちに占領されちゃってた」というある意味ボンクラで絶望的な内容ですが、ゲーム内容は前作以上に不気味で凶悪な悪魔が登場するわ、ショットガンが2連装の「ダブルバレルショットガン」にパワーアップするわ、マップは一層ややこしくなるわで、とてつもなくパワーアップし、これまた大人気を勝ち取りました。
その後メーカーである「id software」はDOOMのプログラムソースを公開しました。これがどういうことかというと、一般プレイヤーが好きなマップを作ることが出来るということで、実際多くの自作マップがネット上に公開され、現在の「スーパーマリオメーカー」的な盛り上がりを見せました。メカ巨大牛ばっかりなのに武器はチェーンソーのみとか、撃つと爆発するドラム缶がやたら配置されていたりとか、ある種「みんなの夢」を叶えてくれる計らいだったと言えるでしょう。
現在はPSとSSでプレイ出来ますが、元祖であるPC版とは若干内容が異なります。が、「右も左もぶっ殺せ」は健在なので、見かけたら是非プレイしてみてください。「そんなソフトどこにもねぇよ、ていうかハードもねぇ」という方は、こちらでFPSの始祖の暴走っぷりをご堪能ください(PS版です)。あ、3Dですからいわゆる「3D酔い(DOOMでは『宇宙酔い』)」にご注意くださいね。私も1時間プレイして30分宇宙酔いで寝込んだことがありますから。
それではまた、九回表でお会いしましょう。
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