いにしえゲーム血風録 九回表 「源平討魔伝(八尺瓊勾玉編)」

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 今回はゲームと言えばこのメーカー、木馬でおなじみのナムコより「源平討魔伝」をご紹介しましょう。この作品が発表された1986年、つまり1980年代は「ナムコ黄金期」と呼ばれ、文字通りナムコは後世にまで語り継がれる傑作を次々と、それこそどうかしているペースで発表し続けた時代でもあります。

 いや、本当にこの頃のナムコはどうかしていまして、例を挙げますと、80年「パックマン」、81年「ギャラガ」、82年「ディグダグ」、83年「ゼビウス」「マッピー」、84年「ドルアーガの塔」、85年「ドラゴンバスター」、86年「源平討魔伝(本作)」、87年「ドラゴンスピリット」、88年「スプラッターハウス」、89年「ワルキューレの伝説」と、皆さんもこれらタイトルのいくつかは耳にしたことがあったり、あるいはプレイしたことがあるかと思います。それほどの有名タイトルを毎年毎年開発し続けたのは、いやはや本当にどうかしていたとしか言えません。

 そして本作「源平討魔伝」も黄金期の名に相応しい傑作アクションゲームです。まずはストーリーからご紹介しましょう。

 

 「平安時代末期、源頼朝は平家討伐のため魔族と契約し、闇の力を手に入れる。対する平家は成す術もなく、壇ノ浦に沈んだ。かくして日本は統一されたが、しかし魔族が跋扈する闇の国となってしまった。これを憂いた天帝は地獄の渡し守、安駄婆に命じ、平家の者より特に腕の立つ剛の者を地獄より蘇らせた。その名を平景清。景清は頼朝を討つべく、壇ノ浦より鎌倉へと目指したのだったのだった。」

 

 …と、源平合戦の後日談という内容です。闇の者を祓うため、亡者が刀を振るう。何とも浪漫溢れる内容ではありませんか。果たして景清は頼朝を討つことが出来るのか?それではシステムの紹介に移りましょう。

 

 このゲームは基本的に横スクロールアクションゲームですが、小さい景清がアクロバティックな面を攻略する「道中モード」大きな景清がデカい中ボスと戦う「タイマンモード」、トップビューで複雑な迷路を踏破する「探索モード」の3種類の面構成があります。レバーで移動しますが、「道中モード」、「タイマンモード」では左右移動、「探索モード」では8方向に移動します。ボタン1で斬撃攻撃、ボタン2でジャンプしますが、これは全モード共通です。

 景清はまず地獄(道中モードとタイマンモード)から出発し、その後壇ノ浦の近くの「長門」に復活し、ここから日本各地を踏破して鎌倉を目指します。1つの面が1つの国を表し、「道中」、「タイマン」、「探索」のいずれかの面構成となっています。各国の最後に出現する鳥居をくぐればステージクリアとなります。ただし道中モード、探索モードの国では鳥居が複数ある場合があり、ステージが分岐することになります。

 

 ゲームはライフ制で、ライフは画面左下のロウソクによって表示されます。1本のロウソクが体力10を表し、初期値はロウソク5本(つまり体力50)。敵の攻撃を受けるとロウソクが短くなり(つまりライフが減り)、全て無くなると景清が四散してゲームオーバーになります。また「道中モード」に存在する穴に落ちると、ゲームオーバーにはなりませんが、「黄泉」に落とされます。黄泉の最後に出現するつづらを開け、「生」が出ればゲーム続行ですが、「死」が出ると即ゲームオーバーとなります。 

 この他にも景清には以下のパラメーターが存在します。

 

・剣:景清の攻撃力。紫の玉(後述)を取ると上昇するが、要石などの硬いものを攻撃すると減少する。

・銭:持ち金を表す。お金は様々な状況で使うことが出来る(後述)。

 

 さて道中には様々な敵が存在しますが、これらを倒すと玉が出現することがあります。玉にはいくつかの種類があり、以下の効果があります。なお、それぞれの増加量は取得時の漢数字によって表されます(つまり「四」と出たら4ポイント取得)。

 

・緑:銭が増える。銭は後述の道中アイテム取得に必要。

・青:体力が回復する。最大値以上は増えない。

・茶:体力の最大値が上昇する。最大99まで上昇する。

・紫:剣の値が上昇する。最大99まで上昇する。

 

 また道中には様々なアイテムが配置してあり、基本的に銭を払うことで取得することが出来ます。アイテムには以下のものがあります。

 

・米俵:銭10と交換で体力を10回復出来る。

・刀:銭10と交換で剣の値を3増加出来る。

・地蔵:銭10と交換で500点獲得出来る。が、得点によるエクステンド等はないので、雰囲気。

・つづら:攻撃すると蓋が開き、重なれば取得できる。中身は銭、剣、体力のいずれかが上昇する効果がある。銭は消費しない。

・巻物:「道中モード」では衝撃波を放てる「波動剣」が、「タイマンモード」では剣をグルグル振り回す「旋風剣」が使用出来る。銭は消費しない。

・ロウソク:体力を全回復し、体力の上限を10上昇させる(つまりロウソクが1本増える)。銭は消費しない。

 

 ゲームは基本的に「道中モード」が続き、合間に「タイマンモード」が入ります。「探索モード」は数面しかありませんが、非常に広大、かつ複雑な迷路になっているので、これはこれで苦戦するでしょう。ここで「タイマンモード」で出現する中ボスを紹介しましょう。

 

・源義経:スピードタイプのボス。遠距離からは小刀を投げ、近付くと空中回転切りなどの斬撃を放ってくる。守りが硬く、無暗に攻撃しても刀で受け止められ、景清の剣の値が減少してしまうので注意。

・武蔵坊弁慶:パワータイプのボス。巨大な鉄球が付いた棒を振り回して攻撃してくる。動きは遅いが、一撃が非常に重く、2、3発喰らうとやられてしまう可能性があり、大変危険。鉄球を攻撃してしまうと、景清の剣の値が減少してしまう。

 

 いずれのボスも、倒すと紫の玉が出現するので攻撃力アップのチャンスとも言えますが、油断すると返り討ちに遭うので細心の注意が必要です。もう1体「琵琶法師」が出現することがありますが、こちらは鳥獣戯画の兎や蛙を放ち、これを切ると毒キノコに変わって、取るともちろんダメージを喰らいます。また画面右に向かって逃げていきますが、絶対に追いつくことが出来ませんので、ひたすら攻撃をかわし続けるしかありません。

 

 さて景清は鎌倉を目指していくわけですが、しかし敵は闇の力を手に入れた魔王です。普通の武器では到底太刀打ち出来ません。そこで日本各地に隠された三種の神器を集める必要があるのです。三種の神器には以下の効果があります。

 

・草薙剣(くさなぎのつるぎ):剣の値が減らなくなる。

・八咫鏡(やたのかがみ):雷攻撃と竜巻攻撃が無効になる。

・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま):毒が無効になる。

 

 これら三種の神器を全て集めないと、たとえ鎌倉で頼朝に対峙しても絶対に倒すことが出来ません。三種の神器は非常に巧妙に隠されており、しかもノーヒントなので、発見するためには繰り返しプレイする必要があるでしょう。

 

 以上のように、本作は「道中モード」でアクションゲームの軽快さを、「タイマンモード」で格ゲー並の緊張感を(当時はまだ格ゲーはなかったが)、「探索モード」では昔ながらの迷路アクションを味わうことが出来るという、非常に欲張りな仕様となっているのです。

 しかしながらなかなか歯ごたえのある難易度で、特に「道中モード」でのジャンプアクションには少々のクセがあり、上手く制御しないとカンタンに穴に落ち、黄泉へ直行、「死」を引いてハイ、オシマイ、という、なかなかシビアなゲームバランスでした。また「タイマンモード」での巨大キャラ同士のチャンバラは非常に迫力があり、でも下手を打つと簡単に討死してしまうという、やっぱりシビアなゲームバランスでもありました。

 しかしそのような少々むつかしめのゲームバランスを吹っ飛ばすほど、このゲームの演出は素晴らしいものでした。まず、舞台が鎌倉時代の日本だけあって、グラフィックは純和風のテイストが前面に押し出されています。特に「タイマンモード」の月の表現は非常に美しく、その下で切り合う巨大キャラは、まるで歌舞伎でも見ているかのようでした。

 それに反してBGMは現代的なロックサウンドが下敷きとなった非常に印象的な楽曲群で、「道中モード」の軽快さと哀愁を感じさせるメロディーや、「タイマンモード」での果し合いを演出するようなテンションがモリモリ上がる楽曲は、今なお名曲として語り継がれています。

 

 現在はPSの「ナムコミュージアム」かPS3のゲームアーカイブス、あるいはWiiのバーチャルコンソールでプレイ可能となっています。しかし文字だけの説明だと今ひとつ本作の迫力が伝わりませんから、こちらでナムコ黄金期の輝きをご覧ください。出来れば大音量で視聴していただくことをお勧めします。

 

 さて、本作は1986年の作品です。この頃の私はまだゲーセン小僧になっていません。ではどこでこのゲームをプレイしたのでしょう?またあの店長の企みでしょうか?ということで九回裏に続きます。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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