いにしえゲーム血風録 十一回裏 「メダルゲームの愉しみ(破戒録編)」

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 さてジャンケンマン・ジャックポットで間違って50枚獲得してしまい、メダルゲームの味を知ってしまった私でしたが、地元でゲーセン小僧として遊んでいた頃は、やはりビデオゲームを専門として遊んでおり、メダルゲームはその合間に遊ぶ、まさに手慰みでありました。

 その後、東京へと居を移した私でしたが、この時期がまさに(このコラム恒例の)格ゲー全盛期の時代でして、私の好むSTGやACTは鳴りを潜めていました。その代わりに遊んでいたのがメダルゲームという訳で、地元ではゲーム内容は気にも留めず、漫然とメダルが増減するのを楽しんでいましたが、この頃からメダルゲームの基本的な用語や、それぞれのゲームのルールを覚えていきました。そしてとうとうゲーセンにメダルを預けるようにまでなってしまい、いよいよメダル中毒となったわけです。

 そんなわけで、メダルに本腰を入れた(というか、それしか遊びたいと思わなかった)東京時代に遊んだメダルゲームのうち、特に印象深かったマシンをご紹介していこうと思います。まずはスロットからご紹介いたしましょう。

 

 

・スロット:ゴールデンフェニックス(2000年)

 そもそもスロットマシンというのはレバーを引くとリールが回転して、図柄が揃えば当たりとなり、払い出しを受けることが出来ます。が、このような機械式のリールの場合、物理的制約(つまりマシンの内容量)により最大でもリールは5本くらい、入賞ラインもリール内部で機械的に当たりを判定するため、平行と斜めを合わせて5ライン、というのが常識でした(例えば3本のリールそれぞれの側面に穴が開けられ、図柄が揃った時だけ穴が一直線に並ぶように設定し、リール停止時に側面の光を当て、反対側まで光が通れば図柄が揃った、つまり『当たり』と判定される、など)。またレバーを引いたときに蓄えられたバネの力でリールを回転させていたので、出目も限られた物しか実現出来ず、したがって極端に出現確率の低い出目は設定出来ない、つまり「出現確率は低いがモノスゴイ大当たり」も設定出来ませんでした。

 そんな中、1980年代半ばにコンピュータを搭載したスロットマシンが登場します。これまでバネの力によってリールの出目は左右されていましたが、このマシンはステッピングモーターというコンピュータによって任意の出目が表示出来る機構が搭載されていました。つまりこれまでのスロットマシンが「リールが停止するまで当たりかハズレか判定出来ない」のに対し、「スタートした瞬間に当たりかハズレかをコンピュータの計算によって判定し、その結果をリールの出目に反映させる」というものに変わったのです。ですから、確率計算結果を出目に反映させているので、実際の話、スタートボタンを押した瞬間に当たりかどうかは決まっており、その結果をリールの出目として表示しているに過ぎないのでした。

 これがどのようなゲーム性を生み出したかと言えば、バネの物理制約に縛られることなく、どんな出目も出すことができ、しかも出現率も自由に設定出来るのです。つまり極端に出現確率の低い出目も簡単に設定出来るので、出現確率の低いモノスゴイ大当たりを搭載出来るようになりました(パチスロも原理は一緒)。スロットにおけるジャックポットが発明されたのもこの時期と思われます。おかげで過激な一発逆転が可能になり、結果多くの人が熱狂し、虜となりました。また当たり判定もコンピュータで既に計算済みですから、物理的制約を無視した、自由な入賞ラインを設定出来ることになりました。

 そして1990年代後半、CGを用いたスロットが発表されます。CGでリールを表現するのですから、当然のことながら物理的な制約がないのでいくらでもリールを搭載出来ることになります。入賞ラインも思いのままです。結果、多数のリールに多数の入賞ラインが入り乱れる、複雑なゲーム性が可能になり、またCGですので様々な仕掛けも簡単に表現出来るようになり(例えば後述の「ボーナススピン」におけるJOKERの挙動など)、エキサイティングなゲームを楽しめるようになりました。このような「ビデオスロット」は大人気となり、今やゲーセンのスロットと言えばコレだと言えるでしょう。

 

 その中でも特に人気なのが「ボーナススピンシリーズ」でしょう。動画サイトでこれでもかと大当たり動画がアップされています。このスロットは9つのリールが3×3に配置され、横3ライン、縦3ライン、斜め2ラインの計8ラインが入賞ラインとなっています。ライン上に同一図柄が揃うか、9つのリールに4つ以上同一図柄が停止すると当たりとなります。

 そしてこのゲームの最大の特徴が「FREE GAME」で、センターリールにJOKER図柄が停止すると、規定回数のFREE GAMEを獲得出来ます。FREE GAME中はJOKERがセンターリールに固定されます。JOKERはWILD(オールマイティ図柄)なので図柄が揃いやすいですし、「センターにJOKERが止まる」こと自体が1倍役なので、FREE GAME中はWAGER分のメダルを確実に獲得することが出来るのです。そして幸運にも出目に恵まれれば、数千枚のメダルを獲得することが出来ます。

 …しかし、もちろん、そう簡単にセンターJOKERは止まってくれません。センターJOKER出現確率は1/100前後と言われていますが、200回プレイしても止まらない時もあれば、連続で停止することもあります。また止まり方もビタッと停止したり、空白図柄かと思ったらヌルリとリールが滑ってきたりと、リールが完全に停止するまで油断出来ません。

 またDOUBLE UPも搭載しており、上部に1リール、下部に3リール配置され、まず上部のリールが停止し、そのリールの図柄よりも強い図柄が停止するリールを下部の3リールから選ぶのですが、これも上手いこと当て続ければ獲得枚数は数万枚まで跳ね上がり、加えて下部3リールで図柄が揃えばスペシャルボーナスも貰えるという、高いギャンブル性を持った大人気機種です。このような多彩なフィーチャーも、CGを使ったビデオスロットならではと言えるでしょう。

 

 …が、今回紹介するのはそんな大人気機種ではなく、ボーナススピンの後にリリースされた機種、「ゴールデンフェニックス」です。このゲームはボーナススピン同様、3×3の9リール、8ラインの機種となっていますが、FREE GAMEは搭載されていません。代わりに「ゴールデンフェニックスフィーチャー(そのまんま)」「タマゴフィーチャー」という斬新なボーナスゲームが搭載されています。まずは基本的なゲームの流れを追っていきましょう。

 

 まずBETボタンでメダルを賭け、スタートボタンを押すとリールが回転します。しばらくするとリールが停止し、ラインに同一図柄が3つ並ぶと配当が得られます。ボーナススピンのように、9つのリールに同一図柄が複数出現しても、ライン上に並ばなければ当たりとなりません。運良く当たりましたら、DOUBLE UPに挑戦できます。ルールはボーナススピンと同様で、下段3リールで図柄が揃えばスペシャルボーナスが貰えます。そして以後繰り返して、ひたすらメダルが増やしていくゲームです。

 

 それではまず、「ゴールデンフェニックスフィーチャー」についてご説明しましょう。このフィーチャーはセンターリールにWILD図柄(小さいフェニックス)が停止すると開始します(WILD図柄はセンターリールにしか存在しない)。大抵は停止しただけで終了しますが、時折モーフィングを始めてゴールデンフェニックス図柄(以下GF)に変化しようとします。多くはWILD図柄に戻ってしまうのですが、ここで見事GFに変化しきれば、ボーナスゲームの開始です。

 GFもまたWILD図柄なのですが、ボーナスゲームに突入すると、センターにWILD図柄を残して、周辺の8つのリールを回っていきます。そして各リールに停止した際に役が成立すれば、その分の配当を得ることが出来ます。…勘の良い方はもうお気付きでしょう、GFがWILD図柄で、センターにもWILD図柄があるならば、移動したGFの対角線上のリールに何かしらの図柄が停止していれば当たりとなるのです。

 つまりGFが出現したゲームでリールに出現した図柄の役は全て取得出来ることになります。この時高配当の絵柄が出現していれば大量のメダルを獲得することが出来ます。こうして全てのリールを廻ると、GFは画面外へと飛び去っていき、ボーナスゲームは終了となります。

 

 次に「タマゴフィーチャー」についてご説明します。これも時折センターリールに停止します。そして割れたり閉じたりを繰り返すのですが、割れた時に数字が表れます。この数字は2や3や5、10や50なんてのもあります。そうです、倍率です。最終的に「表示された数字×WAGER」がそのゲームでの獲得枚数となります。2や3の時はそれほどの喜びはありませんが、50が出た時には、正直震えます。それが大量のメダルが賭けられている時なら…!夢広がります。

 また、このタマゴからWILD図柄が出現することがあります。そしてもちろん、GFに変化することもあるのです!このタマゴにいくつか種類があり、無地よりも水玉柄のタマゴの方が高倍率、あるいはWILD図柄が出現しやすいようです。

 

 さてこれら2つのフィーチャーは、恐ろしいことにDOUBLE UPゲーム中にも出現します。例えば通常ゲームで100枚獲得し、DOUBLE UPに挑戦した場合、普通に勝てば200枚獲得です。しかしここでタマゴが出てみてごらんなさい、しかも中身が「50」だったら…?もう大変なことになってしまいます。あるいはWILDが停止し、これがGFに変化してごらんなさい、WILDを残して他のリールに移動するのですから、どう考えても図柄が揃ってしまい、スペシャルボーナスが獲得出来てしまいます!

 

 そんなわけで、WILDがGFに変化するかどうかのスリル、GFが9リールを周遊して当たりをごっそりいただく快感、そしてDOUBLE UP中のタマゴとGFの大暴れっぷりと、ボーナススピンにも劣らない出玉性能と演出を搭載したマシン、だったのですが、人気は今ひとつでした。原因はいくつかあります。私が思い付く限りを挙げてみましょう。

 

・1:通常ゲームで図柄が揃いにくい

 何だか知らないが、全然図柄が揃わない。だからDOUBLE UPも出来ない。したがってメダルは増えない。ジリ貧。

・2:通常ゲームでWILDが出にくい気がする

 何だか知らないが、WILDがセンターリールに全然止まらない。正確には知らないが、確率は1/150にしか思えない。だからGFフィーチャーにもなかなか発展しない。ジリ貧。

・3:GFになりにくい気がする

 WILDがGFになる確率は、正確には知らないが1/20くらいじゃないかと思う。つまり合算して…1/3000?…だからメダルも増えない。ジリ貧。

・4:GFになっても、残り8リールにろくな図柄が出ない気がする

 やっとの思いでボーナスゲームに入るも、低倍率の図柄や空白図柄ばかりとかで、トータルの払い出しは100枚も越えなかったりもする。ジリ貧。

・5:タマゴが「2」か「3」ばっかりな気がする

 「50」なんて1回しか見たことがなく、そういう時に限ってWAGERは1だったりする。そしてDOUBLE UPに挑んで失敗する。ジリ貧。

 

 …と、まぁ、図柄がガンガン揃って、GFにガンガン変化して、タマゴからガンガン「50」が出たら店が破産しますし、ハンパない一発逆転がありますから、こんなもんなんでしょう。つまりハイリスク・ハイリターンを地で行くマシンでした。

 でもその分、GFになった時は胸躍りましたねぇ。まぁ、そういう時に限ってWAGERは1なんですけどね。その上、さっきも言いましたけど、図柄も低配当ばっかりなんですがね。で、DOUBLE UPも安定の失敗なんですよ。

 でもGFの周遊見たさに、もうサルのように遊んでました。どう遊んでいたかというと、大人気のボーナススピンで一財産(数百枚)築いてから、ゴールデンフェニックスに突っ込んでオシマイ、という流れでした、それも毎回。「ボーナススピンはあくまでも前座」というくらいこのマシンは大好きでした。

 

 さて文字だけではこのマシンの内容がちっともさっぱり分からないと思いますので、こちらで通常ゲームを、こちらでボーナスゲームをご覧ください。なかなかトンチキなシステムですが、こういう胡散臭さこそがゲームの醍醐味だと思います。

 

 

 さて、まだまだご紹介したマシンがありますが、それは次回といたしましょう。

 続きます。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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