いにしえゲーム血風録 十五回裏ポテンヒット 「レインボーアイランド(ダイヤモンドロッド編)」)

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 これまでのいろいろ:タイトー直営店「タイトーイン」でダライアス外伝の攻略に勤しんでいたが、何故か設置してある有象無象のレトロゲーム群にときめいてしまい、「レインボーアイランド」の攻略にも着手、意外にもカンタンに最終ステージをクリアするが、まさかの、というかやっぱりバッドエンドとなり、「おのれ魔王!」と見当違いな闘志、いわば「ボンバイエ」を燃やす私だったのだった

 

 …晴れてバッドエンドを拝んだ私は、静かに席を立ちました。さすがタイトー、簡単には完全クリアはさせてくれません。サクサク進みすぎるから怪しいと思ったんだよな…、と負け惜しみ気味に独りごちる私です。

 しかしバッドエンドを回避する方法は分かりました。どうやら7つの島全てでビッグダイヤモンドを取らなければならないらしいのです。これは島のボスを倒した時に出現する宝箱から出てくるのですが、しかし島で小さなダイヤモンド7色を集めていないと出現しないようなのです。…つまり、全ての島で小さなダイヤモンドを集めなければならないということでした。

 私は休憩スペースで、コーラを飲みながらこれまでの経緯を整理しました。そして出た結論は、

 

「いや、無理だろ!?」

 

 でした。虹崩しで敵を倒すとダイヤモンドが出るのは分かりましたが、出てくる色がバラバラで、運の要素が強すぎるように思えました。しかしながら、運でエンディングが左右されるゲームなんてあるわけがないのです(あ、『マインドシーカー』はそうかも)。ということは、必然的に「ダイヤモンドには出現法則がある」と考えるべきなのですが…、しかしこれまでプレイした感じでは特に法則性は見受けられませんでした。

 しかし私だってバカではありません。自分の観察力に全幅の信頼を置くわけがなく、「きっと何か見落としがあるに違いない」と真っ向から自分の知能を疑ったのでした。となると、どなたか第三者にでも自分のプレイを見てもらえば良いのですが、あいにく仲間はみんな「ヴァンパイア」のチェーンコンボに夢中で、ひと昔前のゲームの攻略に本腰を入れてはくれませんでした。

 じゃあ、どうするか。カンタンですね。人様のプレイを観察すればよいのです(2回目)。これならば自分は「プレイヤー(主観)」ではなく「オーディエンス(客観)」としてゲームを研究出来ます。しかもタダ。タチ悪いですね。でも当時の私にはこの方法しかなかったのです(本当はあったかもしれないが)

 

 そんなわけで、私は例の大学生風の男性のプレイを見学することにしました。男性はたまにしかプレイしないのか、前回見た時とあまり腕前が上がっていません(えらそう)。それでも虹崩しで敵を倒す手練は見事なもので、まるで安全そのものです。

 虹崩しで敵を倒すので、次々とダイヤモンドが出現します。黄、緑、青、緑、藍、黄…。やっぱり赤や紫が出にくいようだぞ?するとようやく赤のダイヤモンドが画面左端に出現しました。あぁ、やっと出たな。あとは紫を取れば1UPだな。男性は次々と虹崩しで敵を倒します。そして次々と画面中央にダイヤモンドが出現します。緑、藍、青、橙、黄、藍、橙…。するとまた赤のダイヤモンドが画面左端に出現しました。あぁ、ここは赤じゃなくて紫が欲しかった…。

 

 …?ん?何か引っかかったぞ?赤いダイヤモンド…。さっきも画面の左端で出現した…。左端…?緑は…画面中央…、青も…画面中央…、画面中央…?赤…左端、緑…中央、青や黄はよく出る…画面中央に…?画面中央?左端…?

 

 そうか!分かった!私は思わずクワッと目を見開きました(主観的には)。画面中央には緑や青などのダイヤモンドばかり出現し、やっと出た赤いダイヤモンドは画面左端に出現しました。一度も画面中央に赤いダイヤモンドが出現しないのです。これはつまり「敵の落下した位置によってダイヤモンドの色が変わる」ということなのではないでしょうか?

 より具体的に考えを進めていき、「画面左端に落ちれば赤、そこから右に行くに連れて橙、黄…と変化していく」と私は考えました。それをもとに、再び男性のプレイを見学します。男性が敵を虹崩しで倒します。敵は水色になって画面を飛び回り、画面中央右寄りの所に落ちていきます。…中央より右、だから、えぇと画面左端から「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」の順だから、青か藍が出現するはずだが…?

 果たして出現したダイヤモンドの色は青!当たった!男性がまた敵を虹崩しで倒します。今度は敵は画面右端に落ちていきます。…右端だから、紫?そう、出現したダイヤモンドは紫でした!これで間違いありません!遂にダイヤモンドの出現法則を突き止めました!(この間、男性は見事に7色集めて1UPしました)

 

 程なく男性はゲームオーバーになりました。しかしここで筐体に飛びつくと、なんか「終わるまで待ってました」という感じが強く、失礼な感じがしたので、取りあえずダライアス外伝でクラゲを沈め、意を決してレインボーアイランドの筐体に座りました。さぁ、今度こそエンディングを拝むのです!

 しかしダイヤモンドの出現法則は分かったものの、世の中そんなに甘くはありません。つまり「ここに敵を落とせばこの色になることが分かっている」ことと「ここに敵を狙って落とす」ことは別問題なわけで、なかなか上手く狙った位置に敵を落とすことが出来ず、欲しい色のダイヤモンドを出現させることが出来ません。というのは、敵を倒した時にどのように画面を飛んでいくのかがまるで分からなかったからです。

 ですから虹崩しで敵を倒したところで、ほとんどの敵はアサッテの方向へ飛んでいき、画面端でバウンドし、結果的に画面中央に墜落します。つまり緑や青のダイヤモンドとなるわけです。なるほど、こういう理由で緑や青のダイヤモンドが出現しやすかったのです。

 しかし何度か敵を虹崩しで倒していくうちに、敵の吹っ飛び方にも法則があることが分かりました。分かってしまえばカンタンで、実は敵を倒した時、その敵が向いている方向へ放物線を描いて吹っ飛ぶのです。ですから赤いダイヤモンドが欲しい時は、左端に墜落するように仕向ければ良いわけで、したがって敵が画面中央にいて左を向いている時を狙って虹崩しで倒せば、敵は左方向へ飛んでいき、丁度画面左端のあたりに墜落するのです。結果赤いダイヤモンドが出現するのです!

 もちろん、地形には高低差があるので、想定外の地点に落下して意図しなかった色のダイヤモンドが出現することもありましたが、しかし当初の運任せよりははるかにマシです。しかも何度か虹崩しで敵を倒すことを繰り返すうちに、敵を倒した時の放物線が読めるようになってきました。こうなるともう、どんなダイヤモンドの色も自由自在です。

 

 こうして自由にダイヤモンドを錬成出来るようになった私は、面白いように1UPを繰り返し、ビッグダイヤモンドを次々とゲットしていきました。そして7つ目の島のボス、ドラゴンを倒すと、宝箱の中から紫色のダイヤモンドが現れ、それを取ると7色の「COMPLETED!」の文字と共に、7色のビッグダイヤモンドが輝きました!さぁ、何が起こるんだ!?

 画面は全体マップに切り替わり、7つ目の島の北西方向に、更に3つの島が浮かび上がりました!この島にあの手紙の主が捉えられているのかしら?ともあれ、8番目の島「魔法の島」に上陸します。

 

 騎士や魔法使いが飛び回り、ケーキのような地形をポップなBGMが彩る楽しげな島です。しかし神父さんみたいな敵キャラが小っちゃい分身を出したり、オバケみたいなのが突進して来たり、爆弾を持ったオッサンがバーサークしていたりと、なかなか敵の攻撃が激しいです。その上足場は狭く、虹を使わないと登れない地形になっており、あっという間に追い詰められてミスしてしまいます。

 そうしてあれよあれよと、あれだけあった残機はモリモリ消えてなくなり、敢え無くゲームオーバー。…さすが隠し面、むつかしさがハンパねぇぜ。しかし、ゲーム終盤はこうでなくてはいけません。私はむしろ闘志(ボンバイエ)を燃やし、明日の再戦を誓って席を立ったのでした(ポリシーとしてコンティニューはしない)

 

 ビッグダイヤモンドを安定して集めることが出来るようになり、私は何度も隠された島に挑戦しました。しかし敵の強さと地形の意地悪さに、どうにも先に進むことが出来ません。やはりミスをするとそれまでのパワーアップが全部なくなってしまうことが痛手で、ミス直後は足は遅い、虹は単発と貧弱なために、立て続けにミスをしてしまいます。

 これはアレか、コナミの「途中で死んではいけない」っていう、アレか?それなら慎重に進もうと心掛けますが、今度は時間を掛けすぎ、下から水が迫ってきて溺れてしまいます。「慎重に、でも急いで!」という、見事なアンビバレント、「すごいよ!!マサルさん」の「ボスケテ」でもこうはいきません。

 はてさて、どうしたもんじゃろうと、その日はプレイする前に休憩スペースでコーラを飲みながら作戦を練ります。しかし私は基本的に「敵の出現位置をなかなか覚えられないバカ」なため(STGなら比較的覚えられる)、毎回毎回出たとこ勝負となり、満足な作戦を立てることが出来ません。せいぜい敵キャラごとの対処法を考える程度なのです。

 

 結局、何度もプレイして身体で覚えよう、というポンコツな結論に至った私は、早速レインボーアイランドの筐体に座ります。ゲームスタート、虹崩し、ダイヤモンド狩り、ビッグダイヤゲット…。

 と、4つ目の島「おもちゃの島」のボスを倒し、緑のビッグダイヤをゲットしますと、いつもなら全体マップが表示される所なのに、画面が暗転して、妙なメッセージが表示されました。今回も全て英文で、英語が苦手な私には一読では全て理解出来ませんでしたが、いくつかの単語だけは拾って読むことが出来ました。それは、

 

「HINT」

「DIAMONDS」

「RED、ORANGE、YELLOW…」

「SECRET DOOR」

「BOSS ROOM」

 

 …でした。これはなんだ?どういう意味なんだ?ヒント?ダイヤモンド?赤、橙?扉?

 しかし意味を考える間もなく、ゲームは続行されます。私はゲームを続けながら、一体どういう意味なのかを考えたのでした。ただ人間は2つのことを同時に出来るほど器用ではありません。当然のことながら私はダイヤモンドを集めそこない、再びバッドエンドを眺めたのでした。しかし心はバッドエンド画面にはありません。あの謎めいた英単語だけが頭の中を埋め尽くしていたのでした。

 

 

 

 すみません、続きます。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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