いにしえゲーム血風録 十六回裏魔球スカイラブ 「闘いの挽歌(盾撃編)」

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 いままでの茶番:ついに後輩からファミコンを借り、中古屋でファミコンソフトを貪る可哀想な人は、数年越しに「闘いの挽歌」と再会するも、あの頃からはちっともさっぱり上達しておらず、ボスはおろかザコ敵にまでフクロにされる始末となり、コントローラーを握りしめたまま灰になりかけたボンクラは一念発起、外界へと飛び出したのだったのだった

 

 

 眩しいほどの青空の下、私は走りました。どこにって、そりゃ例の図書館ですよ。ネットで攻略記事を見るのです。…あ、なんですか、その露骨なガッカリ顔は。いいですかみなさん、これまで私が一度だって自力でゲームを攻略したことがありましたか?ないでしょう?(水曜どうでしょう風)ですから今回も至極真っ当な流れと言えますし、事実として私はそのように行動したのです。ここでヘンに脚色して、

 

「寝食を忘れて攻略に没頭し、爪がボロボロになった12日目の朝、それでも私は己の中の可能性をただただ信じていた。数多のゲームに触れてきた自分なら、必ず何かを見出すことが出来る、そしてそれを足掛かりに天高く飛翔出来る、と。

 

 とかなんとか、それっぽいことを書いて、その時は「カッコイイ渋い文章が書けた…ッ」と悦に浸っても、冷静になった数日後、自分の書いた文章を読んでこっ恥ずかしい思いをし、座布団を抱いて床をゴロゴロ転がって「イーッ!」と奇声を発するに決まっているのです。そんな思いはあの中2の秋で終わりにしたいのです(何があったかは察してください)。

 

 それはさておき、図書館に到着し、PCを確保した私は、先に操作方法を調べたサイトに飛びました。このサイトは各面の攻略法も掲載されていたのです(よく考えれば当たり前)。当初、私はそれを閲覧せず、自力で何とかしようと思っていたのですが、何とかなりませんでしたので、見ず知らずの賢者に教えを乞いに来たのです。

 

 …しかし、今考えてみますと、当時はPS2全盛期、よくもまぁファミコンのACTの攻略サイトなんて存在したものです。確かに秋葉原などではファミコンソフトが安価でフツーに流通していましたから、世間的にはレトロゲームはそれなりの市民権を得ていたのでしょう。

 しかし、ドラクエなどのRPGだったら記事にするポイントはたくさんありますし(それこそダンジョンマップとかボス攻略法とか)、また基本的に操作がコマンド入力なので、ACTに比べれば操作の説明も分かりやすく、ネット上で閲覧出来ればこれほど便利なものはないでしょう。

 対して、闘いの挽歌のようなACTの攻略記事なんてのは、各面のポイントを数点挙げるくらいしか書きようがありませんし、何より伝わりにくいものです。例えば、ここで私が初代スーパーマリオの3-1の無限増殖の方法を書いてみますと、

 

「ゴール前の階段でノコノコが2匹降りてくるので、最初の1匹はスルーし、もう1匹のノコノコが下から3段目を降りる瞬間に、真上にジャンプして、ノコノコの首の辺りを踏み、十字キーに触らずにそのまま踏み続ける」

 

 となり、文章で読んでもちっともさっぱり分からないのです(私の文才の問題もありましょうが)。また当時は画像を掲載しているサイトは少なく、当然動画なんて掲載されてませんから、余計に伝わりにくいのです(先のRPGのマップとかはexcel等で作成されていたものが多かった)。

 それでも「攻略記事を書こう」なんて考える方は、これはもうそのゲームに相当な愛を持っている方に違いありません。そしてこの「闘いの挽歌攻略サイト」を立ち上げた方は、間違いなくそんな愛溢れる方だったのです。あぁ、世界は愛に満ち溢れています。

 

 操作方法の説明も大変丁寧でしたが、各面の攻略記事もこれまた実に丁寧でした。やっぱり画像はありませんでしたが、それでも画面上の位置を「画面右の背景のブロックのあたり」と示したり、ボスの攻撃パターンを「自機に近づく → 棍棒を2回振りまわす→ 自機から離れる(以後繰り返し)」とルーチンとして示してくれたりと、画像が無くとも伝わるように腐心してくださっているのがよく分かりました。

 私は心の中で感謝の合掌をし、各面とボスの対処法をノートに控えました。やはりザコ敵の挟み撃ちは危険なようで、「敵出現、即撃破」が基本のようです。またボスは基本「待ち」のようで、ボスの攻撃をやり過ごしてから反撃に転ずるのがセオリーのようでした。…そういえば、Pアイテムとかハートとかはちっとも出てきませんでしたが、それもそのはず、隠しアイテムだったようで、特定の場所を斬りつけなければ出現しないのでした。私はその位置も控え、最後の小技のコーナーに移りました。そして大変な衝撃を受けるのです。

 

 そこには攻略が有利になる小技がいくつか紹介されていました。…いや、私に言わせればそれは大技でした。曰く、

 

・通常、移動中に攻撃すると足が止まってしまいますが、移動の際、上ボタンも押しておくと、移動したまま攻撃出来ます。これにより、後ろから来た敵を引き離すことが出来ます

 

 なにィィーッッ!?本当かぁッッ!?それなら挟み撃ちされる事はなくなるではないか!事実上、難易度が激減する技と言えます。またこんなことも書いてありました。

 

・盾は防御に使用しますが、実は盾にも攻撃判定があり、敵に重なるように盾を出すと攻撃出来ます。特にゴブリンは飛び込んで来たところを盾を上に構えると、盾に食い込んで連続ダメージを与えることが出来ます

 

 なんだってェェーッ!?…ていうか、あのパンク野郎はゴブリンというのか。ぴょこぴょこ逃げ回るので、待ち伏せしてダメージを与えていましたが、これなら瞬殺ではないか!もはやゴブリンは敵ではなくなった!また一歩クリアに近づいた!サルまん風)

 ということで、軽い気持ちでとてつもない情報を手に入れてしまった私は、「これでクリア出来るぜ~」というボンクラでポンコツな感想よりも、むしろこのサイトの作者に対し、深い憧憬と畏怖の念を抱いたのでした。大昔のゲームをここまで掘り下げ、あまつさえ無報酬で世に公開するとは…。恐ろしい漢よ、誰よりも(闘いの挽歌に対する)愛深きゆえに…ッ!

 そして私は鼻歌混じりにチャリンコを漕いで家路に着いたのでした(ボンクラ)

 

 帰宅して早速「闘いの挽歌」を起動。ステージ1開始です。まずは「歩きながら攻撃出来る」という技を使ってみましょう。えぇと、移動の時に上ボタンも押すわけだから、右に動く時は右上を押しっ放しにしていれば良いのだな。上がジャンプである関係上、最初無意味にジャンプしますが、着地するとそのまま右に歩いていきます。そこへ前方からザコ敵がやってきますので、攻撃してみますと、なんと足を止めることなく斬撃を出せました!そして後ろからもザコ敵が出現しますが、前進しながら攻撃しているので、グングン引き離すことが出来ました。

 …おぉ、これで後ろから来る敵を完全に無視することが出来るようになった!つまり前方にだけ注意を集中していれば良いので、乱暴な話、難易度が半分になりました(いいすぎ)。さて、次はマンホールに飛び込み、隠しアイテムであるハートを取りに行きます。

 マンホールの中には例のパンク野郎、じゃなくて、ゴブリンが飛び跳ねています。…そうだ、ここで盾アタックも試してみよう!取りあえず画面左端で待ち構え、ゴブリンがこちらに飛び込んで来たところで、盾を上に構えます。するとゴブリンは盾にめり込み、「ガッ!」「ガッ!」「ガッ!」「ガッ!」と連続ダメージ、あっという間に撃破出来ました!

 …これは強力過ぎないか?ぼーっと突っ立っていて、飛び込んで来たら盾を構えるだけで良いというお手軽さ!これでもうゴブリンは敵ではありません。私はメモした位置を斬りつけ、難なくハートをゲットし、靴を取って大ジャンプで地上に戻りました。

 

 さて1面後半です。ここのマンホールの中にはPアイテムがあるようです。これは攻撃力が2倍になるアイテムらしく、例えば普通なら攻撃するとダメージは1ポイントしか与えられませんが、Pアイテムを取っていれば2ポイント与えられることになります。つまり手間が省ける!その上ミスするまで有効という強力アイテムです。しかもどうやら全面通して2つ出現するようで、ミスすることなく2つ取ると、攻撃力がなんと3倍に跳ね上がるという界王拳もビックリな威力です。

 クリアする上で、これは取らねばなるまい…。しかし威力が威力だけに、ハート同様に隠しアイテムとなっていて、特定の位置を斬りつけないと出現しません。が、私にはサウザー賢者の加護があるので全く大丈夫です。マンホールの中には例のゴロゴロ転がる人がいましたが、落ち着いてジャンプでかわして撃破。メモした位置を斬りつけると、出ました出ました「P」アイテムです!

 早速ゲットすると、画面右上に「P」の文字が。しかし何かを攻撃してみないと威力が分かりません。なのでとっとと地上に出ますと、前方からザコ敵が走ってきます。さぁ、試し斬りです!エイヤッと攻撃して倒しますが、コイツは元々1発で倒せるので参考になりません。要らぬ殺生をしてしまった。続いてあの変なボールを投げてくる赤い人が来ます。おぉ、コイツは2発攻撃しないと倒せないのだ!まさに試し斬りに最適。エイヤッと斬りつけると1発で撃破!ホントだ!オレ強くなってるゥ!

 おかげで1面ボスの「ロケットパンチ野郎」もカンタンに撃破。2面の山岳地帯も十字キー右上押しでガンガン突き進み、途中変なヘリ野郎が爆弾を落としてきますが、これは確実に盾で防御でOK。結果あれほど苦労した道中も難なく踏破。ボスはあのゴブリンだったので、瞬殺です。あぁ、遂に壁を突破した!サウザーさんありがとう!

 

 こうして「右上押しアサルト術(今命名)」により、サウザー様の適切な解説により、3面のニセモノは斬り捨て、4面のカギを拾い集め、5面の爆弾地帯もヒョヒョイと通過し、ありがたいことに難なくクリア!更にもう1つのPアイテムも取って、晴れて無双状態と相成りました。いよいよ剣王アキレスの住む城に突入です!

 

 石造りの回廊を進むと、ザコが次々と出現し、またゴブリンが高台で待ち構えていて、攻撃しながら執拗に追いかけてきます。が、こちらには「右上押しアサルト術」があるので、全てをガン無視して突き進みます。そしてニセモノが再び登場しますが、こちらの攻撃力が3倍になっているので、難なく撃破。多分「右上押しアサルト術」とPアイテムが無いと、ザコに囲まれて大変なことになっているのでしょうが、両者の威力のおかげで最終面前半なのにカンタンに突破出来ました。

 さぁ、後半戦です。前後からザコが湧いてくるのは同じですが、今度は山岳地帯で見かけたヘリ野郎が爆弾を落としてきます。むぅ、ここは確実に盾で上方向を防御しなければならない。盾を使う時はどうしても足を止めなければならないので、ここはアサルト術が使えないではないか!つまり正攻法で上と左右の攻撃を捌かなければなりません!

 前の敵を倒し、すぐに後ろの敵を倒し、合間に落ちてくる爆弾を盾で防ぎ、直後後ろの敵を倒して、前の敵を…。あれ、なんだ、結構捌けるよ?どうやらここに来てようやく操作に慣れたようです。長かったなァ!ともあれスクロールが止まり、どうやらボスの模様ですが…、誰もいないよ?

 と思ったら、壁がボガーンと崩れて、鉄球持ったデカい人が登場!壁の破片でダメージを喰らってしまいましたが、懐に飛び込んで斬りつけるとあっさりと撃破。さすがは3倍界王拳です。でも敵の体力ゲージがまだ半分残っています。…あッ!後ろにも同じような壁がある!嫌な予感を感じでそそくさと距離を取ると、やっぱりボガーンとデカい人登場!でも撃破!するといきなり画面が切り替わります。

 

 画面中央にデカいイスがあります。どうやら玉座のようです。ということは、ここが剣王アキレスの部屋?すると稲妻と共に赤くてデカい人が登場し、マントをムンズと脱ぎ捨てます。遂に最後の闘いです!

 アキレスは大上段に剣を構え、スゴイスピードで剣を振ってきます。正直見えません。ただ下段攻撃のようなので、しゃがんで盾を構えます。するとカキンカキンと音がするので、どうやら防御は可能なようです。…が、これだけ速い剣捌きだと隙が全くありません。まさに剣王!一片の隙も無し!

 

 さて、ここでポーズして攻略メモを見ましょう(ずるい)。えぇと…?

 

・ジャンプで懐に飛び込み攻撃する。直後盾で防御。以後繰り返し。

 

 …終わり!?やけにカンタンじゃない?とにかくポーズを解除して試してみます。ジャンプ飛び込みで攻撃。あ、防がれた。すぐに盾で防御。おぉ、剣王の攻撃で後ろに下がってしまう。…あ、自機が最初の位置に戻った。あぁ、だから「以後繰り返し」なのか。とにかくこれを繰り返すのだ!

 飛び込み攻撃、ヒット!防御で後ろに下がる、と。飛び込み攻撃、防がれた!防御で後ろに下がる、と。飛び込み攻撃、ヒット!防御で後ろに下がる、と。飛び込み攻撃、ヒット!あッ!剣王を吹っ飛んだ!勝った!え?本当にこれで良いのか!?

 

 剣王の城は崩れ去り、エンディングメッセージが表示され、カーテンコールよろしく、敵キャラオールスターズが登場です。私はエンディングを見ながら呆然としていました。…3倍界王拳とはいえ、あんなにカンタンに倒せるものなのか?…いやいや、最初に対峙した時、全く隙が無くて途方に暮れたではないか。私はインチキをしてクリアしたのだからカンタンに思えたが、ガチで攻略したら絶望以外になかったじゃろうて…。ここで私は改めて聖帝サウザー様に感謝したのでした。

 

 その後、私は時間があれば闘いの挽歌を遊びました。何しろ慣れると15分で全面クリア出来てしまうので、良い気分転換になったのです。とはいえ、油断してPアイテムを無くすと阿鼻地獄でしたが。あとは敢えて剣と盾を失う「徒手空拳バトル」をしたり、アサルト術無しのガチプレイをしたり(これらはフツーにむつかしかった)と、存分に楽しんだのでありました。

 それから数年後、PS2より「カプコンクラシックスコレクション」という、まぁ「ナムコミュージアム」のカプコン版が出まして、これにAC版の闘いの挽歌が収録されていました。早速購入してプレイしました。グラフィック、BGMともに、それはもうFC版とは比べ物にならない美しさでしたが、…全く歯が立ちませんでした。

 

 教訓:インチキは後で響いてくる

 

 

 

 それではまた、十七回表でお会いしましょう。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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