さてさて、これまで色々なレトロゲームをご紹介し、私の七転八倒をお話ししてきましたが、私がこれらゲームをやっていたのは10年以上前の話でありまして、つまりは過去の私のゲーム遍歴であります。では今現在の私は何をしているのか?散々ゲームをやり散らかしたおかげで、すっかりゲームから卒業してしまい、休日はどうでもいいワイドショーを見ながら尻でも掻いているのでしょうか?
いえいえ、私のゲーム脳はそんなに軽度のものではありません。一生モノに決まっています。ということで、現在の私もゲームをやり倒しています。とはいえ、遊んでいるのはもっぱらWii-Uのバーチャルコンソール(VC)、やっぱりレトロゲームなのでした。
VCはWii-Uの1つ前のマシンであるWii、3DSから導入されたエミュレーション機能で、過去の任天堂作品はもちろん、様々なハードでリリースされたレトロゲームがお手頃価格でダウンロードして楽しめるものです。対象となったハードはFC、SFC、N64、MD、PCE、果てはAC版まで網羅し、今はプレイ困難となった名作(一部迷作)をプレイ出来るのです。
で、私はWiiやWii-UのソフトはそっちのけでVCばっかり、というかVCしか遊んでません(歴代の「ゼルダ」はやった)。そこでちょっと趣向を変え、「いにしえゲーム見聞録」と題しまして、現在の私が遊んだレトロゲームのお話をしよう、と画策した訳です(「見聞録」とはフツーのタイトルですが、案外「録」が付くイキな言葉って無いものなんです)。
ということで今回はハドソンよりPCEで発表されたRPG、「邪聖剣ネクロマンサー」であります。…よく考えたら「いにしえ~」シリーズでRPGを取り上げるのは初めてですね。きっとクリアして気が動転しているのでしょう。それでは始めましょう。
邪聖剣ネクロマンサーは1988年、ハドソンより発売されたPCE初のRPGで、キャッチコピーである「夜、1人では遊ばないでください」は非常に有名です。現在は「ホラーRPG」という位置づけになっておりますが、その点はおいおいお話するとして、まずはストーリーからご紹介いたしましょう。
かつて、神と悪魔の戦いがあった。神は戦いに終止符を打つため、神の加護と悪魔の力を秘めた『邪聖剣ネクロマンサー』を作り上げる。この武器を使い、神は見事に勝利を収めたが、しかしネクロマンサーの力は神すら持て余すものであった。神はネクロマンサーを封印し、そして長い年月が過ぎた。
ある日、悪魔の1人である「魔空王アザトース」が復活し、魔物が地上に溢れ出す。人々は恐怖に打ち震えたが、魔物を次々と倒す旅の勇者が現れる。勇者はランダメリア王国を訪れ、「アザトース討伐のため、邪聖剣ネクロマンサーを探せ」という王の遺言を聞く。勇者はランダメリア王国の腕利き5人のうち2人を仲間とし、ネクロマンサー探索の旅に出たのだったのだった。
…と、まぁ、ファンタジーRPGの王道とも言えるストーリーです。それでは本作の詳細に移りましょう。
このゲームはコマンド入力式の2DマップRPGです。ドラクエタイプってことですね。ゲームの大まかな流れもやはりドラクエよろしく、「街で情報収集&装備の充実 → ダンジョンなどの探索 → キーアイテムの入手 → 次の街へ」という感じです。で、合間に戦闘やら、ボスやら、イベントやらを挟み、邪聖剣ネクロマンサーを探し出し、魔空王アザトースを討てばクリア、となるわけです。しかしネクロマンサーは封印されたブツでありますから、そう簡単には見つかりません。ですから世界各地を巡り、情報やアイテムを集めることになります。
さて、上へ下への珍道中冒険の旅は主人公の勇者とランダメリア王国の家来2人を加えた3人パーティーとなります。が、先述のように家来は5人おり、そのうちの2人しか連れて行けず、しかも途中で入れ替えも出来ません。まさに一蓮托生。ここで5人の特徴を簡単に紹介しましょう。
・ライム:魔術師。攻撃魔法を得意とする。MPが高く、HPが低め
・カオス:魔術師。回復魔法を得意とする。MPが高く、HPが低め
・バロン:戦士。パワータイプ。HPは高いが、魔法が全く使えず、素早さも低い
・マイスト:戦士。スピードタイプ。素早さが高いが、他はフツー
・ロミナ:一般人。特出した能力はないが、終盤になると…?
さて、システムの紹介に移りますが、そこはドラクエタイプですから、コマンドも通常時は「はなす」や「さがす」、「まほう」や「そうび」とかですし、戦闘時は「こうげき」や「まほう」、「ぼうぎょ」や「どうぐ」や「にげる」といった王道のもので、HPがなくなれば死亡、魔法を使うとMPが減る、敵を倒すとEXPとお金が手に入る、という感じですので、割愛。本作ならではのシステム、通称「邪聖剣システム(今命名)」のみご紹介します。
邪聖剣システム
・魔法使用者と賢さ
このゲームには多数の魔法が存在し、レベルアップで覚えるわけではなく、基本的に街で購入することになります。が、魔法にはそれぞれ使用出来るキャラが決まっています。また魔法には必要最低INT(賢さ)が設定してあり、これに達していないと、購入しても使用出来ません。加えて、くどいようですが、バロンは魔法を使用出来ません。
・恐怖度
キャラクターが死亡したり、戦闘で「にげる」を選択してばかりいると、この「恐怖度」が上昇し、最悪、仲間の2人が勝手に逃げてしまうようになる(ただし、恐怖度は「つよさ」などで確認することは出来ない)。
・素早さの影響
自キャラの素早さが敵キャラクターよりもある程度高いと、通常攻撃が連続攻撃に変化する。最大3連撃まで可能。素早さを上げる魔法は存在しないが、敵の素早さを下げる魔法はあるので(重ねがけ可能)、上手く使うとラク。しかし逆に敵キャラの素早さが自キャラよりも高い場合、こちらの攻撃がまるで当たらないので注意が必要です。
以上が邪聖剣ネクロマンサーの特徴です。結構独特のシステムですね。それではどうにかこうにかクリア出来た私のプレイ雑感をお話することにいたしましょう。
・敵がスゲェ強い
スタート地点であるランダメリア王国からちょっと離れただけなのに(およそ30歩くらい)、カンタンに全滅出来る強さの敵にぶち当たります。ていうか、開始10分で全滅しました。街で最高の装備を手に入れ、死線を彷徨ってレベル上げをして初めて、敵と対等に戦えるようになります。が、橋を渡って次の地方に進むと、またカンタンに全滅出来る強さの敵しかいません。さっきまで50ダメージとか与えてたのに、急に1ダメージくらいしか与えられなくなります。この「死にかける → 装備&レベルが充実 → 戦力的に対等になる → 次の地方に進む → 死にかける」の流れはクリアまで続きます。
・敵にスゲェ遭遇する
どういうわけか、平均10歩ほど歩くと戦闘になります。エンカウント率が高すぎます。基本的に次の街に進むにはHP、MP共にスッカラカンになる覚悟で臨まなければなりません。そのくらい敵にガンガン遭遇します。これはダンジョンでも同様で、戦力的に今ひとつの時にうっかり深入りすると、怒涛のエンカウントにより消耗、全滅必至となって帰れなくなります。もっとも、高いエンカウント率のおかげでお金は貯まりやすく、装備品を買いやすいのですが、それを差っ引いて余りあるエンカウント率と言えます。
・後半、仲間がすぐ逃げる
先の「恐怖度」の影響なのでしょうねぇ。序盤で散々死亡してしまったおかげで恐怖度が上がってしまい、結果、後半で仲間がシッポ巻いて逃げる事態が多発します。プレイ中は「敵の特殊攻撃じゃろうか?」と思ってましたが、クリア後、攻略サイトを見て合点がいきました。しかし「つよさ」とかで確認出来ない隠しパラメータなので、現在どのくらいの恐怖なのか分かりませんし、しかも下げる方法は無さそうです。
・ホラーと言えばホラー
少々ネタバレになりますが、シナリオ上、特にホラーの要素はありません。一応「ホラーRPG」という触れ込みなのですが(公式ホームページにはそう書いてあった)、これは後年付けられたのかもしれませんねぇ。しかし敵の内臓系なグラフィックや、敵にとどめを刺すと血がブシャーと吹き出るエフェクトや、先の「恐怖度」とかもホラーと言えばホラーですが。あ、次の地方に初めて足を踏み入れた時の敵の強さに対する絶望感は、ある意味リアルにホラーかもしれません。
他にも「薬草がHPを300くらい回復出来て終盤まで重宝してしまう」とか「MP回復アイテムがなくてダンジョンでジリ貧」とか「終盤の謎解きがほぼノーヒント」とか「VCの電子説明書がテキトーで魔法やアイテムの効果がよく分からない」とか(最後のはハドソンのせいではない)、まぁ、色々と荒削りな点が多く、つまり古き良きRPGというわけなんですが、妙に強く印象に残りました。というのも、
・ちょっと油断するとカンタンに全滅する緊張感
敵の強さといい、異常なエンカウント率といい、このゲームは本気でプレイヤーを殺りにきているんですが、その分、生き残った時の安堵感は凄まじいものがあります。一応その地方で購入できる最強装備を揃えれば、まず全滅することはなくなりますが、しかし運が悪いと(つまり敵が全体攻撃を連発してきた時など)、やっぱり全滅しますので、全く安心出来ません。しかしこのようなヒリヒリするようなデッドオアアライブが、終盤で手に入る邪聖剣ネクロマンサーの無茶な強さ(ほとんどのザコ敵が一撃という強さ)を引き立てていると思います。
・素朴ながら味わい深いグラフィックとBGM
さすがにPCEだけあって発色が良く、色使いがキレイです。草原や海の色も美しいですが、それよりもダンジョンのジメジメした暗さが秀逸です。ただでさえダンジョンの敵は強いのに、視覚的にも不安を煽っていて、この部分もなかなかホラーです。そしてBGMは粒ぞろいで、特にフィールドの曲とダンジョンの曲は名曲と言えましょう。魔物に支配されつつある世界の閉塞感を上手く表現出来ていると思います。
・そして伝説のエンディング
話には聞いていましたが、いやぁ、本当にイヤなエンディングでした。動画サイトなどでエンディングは簡単に見ることが出来ますが、しかし(良い意味で)無茶なバランスを乗り越えて、実際にクリアした後に見ると、このエンディングは実に味わい深いです。特に最後のテキストとSEは、むしろ現在の最新技術では出せない余韻を醸し出していると言えます。
…ということで、結構文句をタラタラと書いてしまいましたが、とても面白かったです。現在はVC、PS3のゲームアーカイブス、スマホとかでもプレイ出来るようです。取りあえず雰囲気を味わいたい方はこちらをご覧ください。是非一度、往年の破天荒RPGをプレイしていただきたいと思います。でも「もう一回クリアしろ」と言われてもちょっと無理です(この点もホラーだ)。
それではまた、十七回表でお会いしましょう。
*おまけ
フィールドの曲をイキにアレンジしてる動画があったので、お時間があればこちらもどうぞ
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