いにしえゲーム血風録 十七回表 「ドルアーガの塔(ジェットブーツ編)」

ゲーム
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 今回はナゾナゾ大好き(あと木馬も大好き)でお馴染みのナムコより、それこそ究極のナゾナゾゲーム「ドルアーガの塔」をご紹介しましょう。と言っても、ゲーム好きの方なら(色々と無茶な点も含めて)よぉくご存知でしょう。アーケードゲームなのに、初見ではまずクリア出来ないという、曰くつきのこのゲーム。ゲームバカの端くれである私にもそれなりに思い入れがありますので、若輩ながらお話しさせていただこうと思います。それでは今回もストーリーからご紹介しましょう。

 

 

 「今ではない時代、ここではない世界の物語。その王国は、ブルークリスタルロッドの加護によって平和な時が流れていました。しかし突如悪魔ドルアーガが出現し、クリスタルロッドを持ち去り、巫女カイを連れ去ってしまいました。ギルガメッシュ王子は黄金の鎧を身に着け、巫女カイの奪還のため、魔物の巣窟である『ドルアーガの塔』に挑むのでしたのだった。」

 

 

 本当はもっと細かいバックストーリーがあるのですが、AC版のデモ画面で語られるストーリーはこんな感じです。敵の根城に乗り込んでいくという、王道のストーリーと言えます。本当にナムコはこういう世界観をこしらえるが上手です。

 さて本作は1984年にAC版がリリースされました。ナムコは前年にゼビウスを発表しており、隠しキャラの走りのゲームでありました。高得点キャラである「ソル」や1UPする「スペシャルフラッグ」など、ハイスコアや攻略に有利なキャラがことごとく隠し扱いになっており、しかしそのような謎が当時のゲーマーに火を点けました。

 またゲーム自体もミニマルなBGMや突如現れるナスカの地上絵など、実に謎めいた雰囲気に包まれておりました。ですからドルアーガの塔は、そんな「謎」を極限まで詰め込んだゲームと言えます。それではシステムに移りましょう。

 

 

 このゲームは残機制、かつライフ制の縦画面横スクロールACTで(RPGと言われる方もおられますが、私は永続パワーアップのACTであると考えています)、画面は上から見たトップビューとなっています。ゲームの目的は主人公ギルガメッシュ(以下ギル)を操って、内部が迷路(横3画面分)となっているドルアーガの塔に潜入し、敵を倒しながら迷路内にあるカギを取り、昇り階段がある扉まで到達すれば1面クリアとなります。各面には制限時間が設定されており、その間に扉に入らなければなりません。そして次々と階層を踏破し、最上階60階にて巫女カイを救出出来ればオールクリアとなります。

 

 次に操作系です。主人公ギルはレバー上下左右で移動、ボタン1で剣を出します。この操作系にはクセがありまして、ギルには2つの状態があり、「ボタンを押さない=盾を構えた状態(通常状態)」と「ボタンを押しっ放し剣を出した状態(攻撃状態)」があるのです。ボタンを押しただけでは少しの間剣を出すだけで、すぐに剣を収めてしまいます。つまり「ボタンを押しっ放しにしないと、剣を収めて防御状態になってしまう」のです。

 

 では「通常状態」と「攻撃状態」の詳しい説明に移りましょう。まずボタンを押さない通常状態のギルは盾を正面に構えており、魔術師などの呪文(一部の敵が放ってくる飛び道具)を防ぐことが出来ます(横や後ろからの呪文は防げません)。

 ただし、盾は呪文を防ぐだけで、敵の攻撃を防いでくれるわけではありません。つまり通常状態で敵に触れてしまうとミス(一部例外あり)になるのです。敵に攻撃しようと近付いて、うっかりボタンを離してしまって剣を収めてしまうと、たちまちミスになってしまうので注意が必要です。

 

 次にボタンを押しっ放しで剣を出した攻撃状態のギルは敵に触れるか、敵を通り過ぎることで攻撃出来ます。基本的に一撃で倒せる敵が多いのですが、例えばナイト族(後述)のような体力のある敵には、何回か通り過ぎて攻撃を繰り返す必要があります。また、盾は左方向に向いている状態になるので、左方向からの呪文を防ぐことが出来ます。

 攻撃の際、敵の攻撃力に応じてギルの体力が減っており、敵を倒すか、アイテムを取ることで回復します。また面クリアすることで体力は全回復します。ただし、ギルの体力、および敵の体力は画面上には表示されません。ですから闇雲に敵を攻撃すると、ギルの体力が底を尽き、結果ミスとなってしまいます。戦闘は最低限に抑える必要があるのです。

 

 

 ここでミスの条件をまとめますと、「通常状態で敵に触れる」、「呪文が直撃する」、「敵との戦いでギルの体力が0になる」、「各階の制限時間が0になる」とミスになります。ミスをすると残機が減り、残機が0になるとゲームオーバーです。

 

 

 ではここで、塔の中で蠢く敵をご紹介したいのですが、何しろ、それはもう、たくさんおります。しかし敵モンスターはいくつかの種族に分けられますので、ここではその種族と特徴を簡単にご説明したいと思います。

 

 

 塔の怪物たち

・スライム:饅頭みたいな敵。基本的に動き回るだけだが、中には呪文を放ってくるモノもいる。一撃で倒せる。

・魔術師:魔法使い。何もない所に突然現れ、呪文を放って消える。中には壁を壊す呪文や、火柱に変わる呪文、貫通する呪文を放つヤツもいる。一撃で倒せる

・ゴースト:幽霊。迷路内をフラフラ移動し、壁を通り抜けてくる。また呪文も放ってくる。剣を収めた状態で触れてもミスにならない。特定のアイテムを持っていないと姿が見えない。何度か攻撃しないと倒せない

・ナイト:騎士。迷路内を歩き回ったり、ギルを追いかけてきたりもする。基本的に体力が高く、結構攻撃しないと倒せない

・ドラゴン:竜。ギルの気配を感じると、迷路の壁を壊して追ってくる。射程距離の異様に長いブレスも吐いてくる。相当攻撃しないと倒せない

・ローパー:触手生物。迷路内をさまよう謎の敵。剣を収めた状態でもミスにならないが、ギルの体力が最低になる。結構攻撃しないと倒せない

・ウィスプ:火の玉。制限時間が少なくなると出現。最初から出現している場合もある。触れると基本的に即死。倒せない

 

 

 さて、先述のようにこのゲームの面クリア条件は「カギを取って扉に入る」ことであり、「敵の全滅」ではありません。ですから極端な話、敵から逃げ続けて面クリアすることも可能なのです。しかしそれではオールクリアは出来ないのです。というのも、59階には宿敵ドルアーガが出現するのですが、コイツを倒さないとカギを取って扉に入っても、前の面に戻されてしまい、クリアにならないからです。

 ドルアーガは攻撃力、体力ともに高く、初期状態のギルでは全く歯が立ちません。しかしこのゲームは「敵を倒して経験値を貯めてレベルアップ」なんてシステムはありません。ギルのパワーアップはアイテムを取得することでのみ可能なのですが、このアイテムは宝箱の中に隠されており、しかし宝箱は最初から出現しておらず、特定の行動をすることで出現するのです。

 これが本作を(色んな意味で)伝説にしたシステム「宝箱システム」であります。宝箱は基本的に各階に1つずつ隠されており、中身は各階ごとに決まっています。しかし取得出来るアイテムには「クリアに必要なもの」や「クリアに有利になるもの」や「クリアに不利になるもの」があります。またアイテムの効果は基本的にゲームオーバーまで有効なのですが、中には「その階だけ有効」だったり「特定の階の宝箱を出す時に有効」だったり「特定のアイテムを取った時に有効」もあります。

 アイテムは非常に、尋常じゃなく、異常な量がありまして、全てを紹介すると夏が過ぎ去ってしまいますので、ここではその一部をご紹介しましょう。なお、取得したアイテムは画面下部にストックされます。

 

 

 宝箱の中身

・カッパーマトック:迷路の壁を壊すことが出来る

・ジェットブーツ:ギルの移動速度が上がる

・キャンドル:ゴーストの姿が見えるようになる

・レッドラインシールド:呪文を防げる範囲が広がる

・ブックオブライト:暗闇を明るく出来る

・ポーションオブパワー:ギルの体力を回復させる

・グリーンネックレス:レッドネックレスの入った宝箱を出現させるのに必要

・レッドネックレス:火柱を通過出来るようになる

・ポーションオブエナジードレイン:ギルの体力が減る

・ポーションオブデス:制限時間の減り方が速くなる

・バランス:特定アイテムの呪いを解く(正確にはアイテムの真偽を確かめる)

 

 

 さて、先述のように宝箱を出現させるためには、特定の行動をしなければなりません。コレが本作のキモであり、本作をベラボウにむつかしくさせている要因であり、本作最大の魅力でもあります。アイテムの数だけ宝箱の出現方法はあるわけで、当然その数は膨大ですから、ここではその一部をご紹介します。

 

 

 宝箱の出現方法の例

・グリーンスライムを3匹倒す(1階)

・扉を通過する(4階)

・呪文を歩きながら3回防ぐ(5階)

・敵を倒さずに扉を開ける(20階)

・しばらく動かない(21階)

・スタートボタンを押す(31階)

・剣を出した状態で呪文を受ける(38階)

・特定の順番で敵を倒す(44階)

・特定の地点を順番に通過する(58階)

 

 中には理不尽な出現方法もありますが、さらに恐ろしいことに、これら宝箱の出現方法は1階と2階の出現方法は小冊子に掲載されていたようですが、それ以外の出現方法は全くの謎、ノーヒントでしたその上アイテムの効果も謎だったらしく、苦労して宝箱を出してアイテムを取っても、効果がよく分からない、ということがザラだったようです。

 それでも世のプレイヤー達はひたすら試行錯誤を繰り返して宝箱の出現方法を模索し、アイテムの効果を探ったそうです。ゲーセンノートによる情報交換をしたり、遠くのゲーセンまで遠征したり、逆に仲間内だけの秘密にしたり、プレイ画面を隠したり、それはそれは大変な情報戦だったと聞きます。

 そして、いやぁ、いるんですね、猛者ってのは。自力で60階まで到達し、オールクリアが達成されたのはリリースから1か月も経たなかった頃だったらしいです。どういう頭の構造をしているのでしょう。あるいは剛運の持ち主でしょうか。いずれにしても早すぎです。当時のゲーセン小僧たちには畏怖の念しか感じません。

 

 しかし世の中このような猛者ばかりであるわけがなく、なかなかクリア出来ない方々が続出。ナムコには質問の嵐が殺到します。結局、リリースからかなり経ってから、ナムコが全ての宝箱の出現方法を記した攻略冊子をゲーセンに配布した、と聞きましたが、現物を見たことがないので、これも本当がどうかは分かりません。

 ともあれ、宝箱の出現方法が出回り、これでフツーのACTとして遊べる、と誰もが胸をなで下ろしました。…と思いきや、実は本作はACTとしてもなかなかの、というか、かなりの難易度でして、ワンコインクリアは容易ではありませんでした。

 

 本作は宝箱の出し方が注目されがちですが、実際、ACTとしての面白さはかなり高く十分な歯ごたえがあります。それなりの修練を必要としますが、プレイを重ねるたびに確実に敵をさばけるようになり、上達の喜びを知ることが出来ます。

 またグラフィックとBGMも相当凝っています。ギルや敵キャラのアニメーションもなかなか細かく、アイテムのグラフィックのドット絵は職人芸とも言えます。また軽快で勇ましいメインBGMや、ドラゴンが出現する階の不気味なBGM、そして最終60階の神秘的なBGMなど、印象的な楽曲が花を添えます。

 結果、宝箱の出現方法が公開された後も、しばらくは安定した稼働が続いたようです。正直、宝箱の出現方法を知った上で遊んで、初めて本作の面白さが感じられたのではないか、とも思います。

 

 

 ということで、結果として大人気を博した本作は、様々なゲーム機に移植されます。FC、MSX、GB、PCE、などなど。もちろん、あの「ナムコミュージアム」にも収録されております。現在はスマホで「小さくリメイク」されてプレイ可能のようです。みなさん、何らかの形でプレイ画面をご覧になったことはあるでしょうが、念のため、こちらでプレイ動画をご覧になれます(宝箱の出現方法付き)。

 

 

 さて、本作のリリースは1984年。私はまだゲーセン小僧ではありません。…ということは、アレですね。本シリーズで何度も出てきたアレです。ということは、当然音を上げて、例の方法に走るんでしょう。えぇ、走りましたとも。

 

 

 

 ということで、続きます。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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