BSプレミアム 「世界入りにくい居酒屋」

TV番組
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 以前もお話ししましたが、私はたいそう酒好きでして、家飲みはもちろん、かつては毎日のように街に繰り出しては、居酒屋でせっせと稼ぎを酒に変えていました(江戸っ子)。私は居酒屋が大好きなのです。そうですとも、大好きなのです。

 (遠い目をして)居酒屋…。そこは文字通り溢れんばかりの酒とステキな肴がズズズイと顔を揃える、まさに泥酔のワンダーランド(古舘伊知郎風)。聞いたこともない酒を片手に、知らん国の料理に舌鼓どころか「ウマイウマイ」とポンコツ感想と共に食い散らかす瞬間はとてつもなく愉快で、つまり私にとっての居酒屋とは「新たな味覚に出会える場所」でありました。

 しかし最近は居酒屋とはとんとご無沙汰です。というのも、この頃の居酒屋はチェーン展開に拍車が掛かったのか、どこに行っても同じ酒、どこに行っても同じ料理となってしまい、新奇なステキ料理を出してくれるイキな居酒屋は、ネットを駆使した上、路地の奥の奥へと足を踏み入れた挙句に、何かしらの天啓を得なければ見つけられなくなってしまったからです(誇張)

 おかげで私は家飲みに傾き、2リットル売りの安ワインを炭酸で割り、ポテチをサクサクする日々となってしまいました(しかしそんな飲み方も嫌いではない、というかむしろ趣深い)。そんな私の飢餓渇望を癒してくるステキ番組が、今回ご紹介する「世界入りにくい居酒屋」なのであります。

 

 この番組は文字通り、世界各地を飛び回り、現地ガイドから胸倉掴んで聞き出したガイドブックには決して載らない、観光客はちょっと入りにくいような「地元民が知る人ぞ知る名店(ヘンな日本語)」殴り込み訪ね、その土地ならではの酒や料理、そして何よりも店に集う人々を取り上げようという、なかなかむこう見ずな「分かっている」番組なのであります。ではそれぞれ細かくご紹介しましょう。

 

1:天の酒

 日本に日本酒がありますように、世界各地にはその土地ならでは酒があります。一般的な例ですと「ドイツならビール」、「西欧ならワイン」、「中南米ならテキーラ」というわけです。しかし一口にビール、ワインと言いましても、同じ国でも地方によっては原料や製法が変わり、味わいも変わってくるわけで、酒関連の番組がそうであるように、番組でもこの点を取り上げています。

 しかしこの番組は「地元民しかやらないような飲み方」も紹介してくれます。「ビールに焼酎とコーラを混ぜて一気飲みする」とか、「スパークリングワインにブランデーやらレモンスカッシュやらをぶち込んで飲みやすいけど泥酔」とか、「甘口ワインにパインアイスを乗っけてザクロジュースを注ぐ」とか、どう考えても口当たり良さだけを優先した、いかにも酒飲み天国な珍奇アルコールの数々を拝むことができ、思ったよりも作り方が簡単なので、酒飲みの端くれとしては是非やってみたくなります。

 

2:地の料理

 いわゆる「ご当地料理」というのは、地元で採れる食材を使うのが一般的です。が、この番組で紹介される料理は地元食材を使用することはもちろんですが、加えて「徹底的に美味く食ってやろう」という執念、あるいは怨念、あるいは妄執にまみれています。実にステキです。

 例えば韓国は「チゲ」が有名ですが、番組では韓国でリーズナブルな食材「サンマの缶詰」をぶち込み、キムチと魚介の相性の良さを前面に押し出した料理「サンマのチゲ」として紹介しています。またカンボジアではアヒルが日常的に食べられていますが、番組では具体的な料理法として、南国らしく「ココナッツミルク」「赤唐辛子」、同時に近隣国である中国の食材「八角」「甘草」も使用した、皮がパリパリの「アヒルの丸焼き」を紹介しています。正直、味の想像がつきませんが見るからに美味そうです。

 

3:そして人

 そして忘れてはならないのが、店に集う愛すべき飲んだくれたちです。酒あるところは万国共通、陽気な声や賑やかな歌声に溢れています。が、この番組ではさらに一歩踏み込んだディープな野郎どもが目白押しでして、もはや誰が誰の酒を飲んでいるのか全く分からないカオスがそこにはあります。

 飲んでいる最中に突然敬礼をする元軍人仲間、「ゼルダの伝説」をモチーフに新作カクテルを作るバーテンダー、厨房に入り勝手に料理を食べる常連客、逆に勝手に料理をテーブルに運ぶ常連客、などなど、酒によっていろいろと解放された人間の姿がそこにはあります。

 しかしどいつもこいつも爽やかで気持ちのいいナイスガイとマドモアゼルばかりで、心から酒を愛し、料理を愛し、地元を愛し、人を愛しているのです。そしてその愛は、良い酒と良い料理、そして良い人たちに囲まれることで、さらに輝いています。新橋駅前の中継で悪ふざけをしてダダスベリしている輩などとはもはや異次元、聖なる酔っ払いなのであります。

 

 

 このように、世界各地のステキ居酒屋を濃厚に取り上げたこの番組、一応ナレーターとしてゲストが2人登場しますが、基本画面下部の字幕をそのまんま読んでいるか、美味そうな料理に「ゥワーッ!」と歓声を挙げているかだけなので、全く邪魔にならないどころか、同じ酒飲み視聴者として妙な連帯感を感じることが出来るナイスな進行です。

 一応、番組冒頭と最後に店の場所が示されますが、極端な遠景カットと雑な地図だけなので、本当に現地に行かないと分かりません。まぁ、地元民の憩いの場ですからね、本気で行きたいと思う人だけが辿り着ければそれでいいのでしょう。

 

 

 「世界入りにくい居酒屋」はBSプレミアムにて、毎週木曜日23時からの30分番組です。詳細情報はこちらの公式サイトでご確認ください。手元にショボイつまみしかなくても、この番組は結構な肴になりますよ。是非ご覧くださいね(回し者)。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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