春の道満大祭 本祭 「メランコリア 下」

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 さて、それでは、いよいよ、満を持して、春の道満大祭のメインエベントになだれ込むことにいたしましょう。夜はこれからだぜ!

 とはいえ、第一巻である「メランコリア 上」が発売されたのはかれこれ一年も前のお話。どういう話だったか忘れちゃってるナイスガイ&マドモアゼルもいらっしゃるでしょうし、万が一、上巻を読んでないけどこの記事を読んでいる剛の者もおられるでしょうから、ここで今一度「メランコリア」とはなんだったのかを思い出してみましょう。

 「メランコリア」は連作集でありまして、1話が12ページと短い、ショートストーリーであります。内容はタイトル通り、何かしら気分の晴れない人たちを描いています。以前の記事の繰り返しになりますが、引きこもってるうちに世界の終末を迎えてしまった女性や謎の新薬の治験に参加した男性など、どこか鬱屈した想いを抱いた人々の物語でありました。

 さて、このまま陰鬱憂鬱陰々滅々とした人達の話が続くと思いきや、上巻の最後で「メランコリア」と名付けられた彗星が間もなく地球に衝突することが示され、「下巻に続く」となったのでした。

 どう?思い出した?オレも思い出しました。それでは下巻の内容に触れていきましょう。

 下巻では、物語の焦点は鬱々とした人々の物語から、メランコリア彗星接近によって滅亡の危機に瀕した人々の日常へと移っていきます。終末に際し、様々な人間模様が描かれ、やがて彗星衝突の瞬間が訪れますが…。

 しかし本ブログは基本的にネタバレはしませんので、内容に踏み込んだ記述はこれ以上は不可能であります。ですので、今回は物語を読み終えた私が感じたこと、すなわち「本作における伏線」について、感想代わりにお話にしようと思います。

 道満先生は多くの伏線を張り、それを回収して物語を完成させる手法に長けた方です。以前ご紹介した「ヴォイニッチホテル」は「ホテル・ヴォイニッチ」に集まった人々が巻き起こす事件(つまり伏線)を積み重ね、最終的には一つのストリームとなって物語の結末になだれ込む群像劇でした。

 本作もそのような手法が採られ、鬱々とした思いを抱く人々の物語ひとつひとつが伏線となり、彗星衝突の瞬間にダイナミックに合流します。が、この壮大さは「ヴォイニッチホテル」のそれを遥かに上回り、読み終わった直後、誇張でもなんでもなく、私は少々震えていたものです。というのも、本作と「ヴォイニッチホテル」における伏線回収はまるで質の違うものであったからです。

 「ヴォイニッチホテル」における伏線は、作中に散りばめられた謎の答え合わせのようなもので、「あぁ、アレはこういうことだったのか」「あら、コレはああいうことでしたのね」と、各々のエピソードのつながりが読者の腑に落ちるよう設けられたもので、いわばネットのリンクみたいなものだったと思います。

 対して本作の伏線は、「伏線となった出来事の積み重ねによって、最終話で語られた出来事が起こった」という設計になっており、「アレがあったからコレが起こった」が幾層にも積み重ねられ、因果関係が強烈に示されるのです。

 ですから「ヴォイニッチホテル」が平面的な相関図であったのに対し、本作は全てのエピソードが同一ベクトルを持った太い流れであると言え、強いダイナミズムを感じるに至ったと思われるのです。

 実際、作中において「ルーブ・ゴールドバーグマシン」という概念が提示されます。これは現代日本で言うところの「ピタゴラ装置」でありまして、ある行動がドミノ倒し的に連鎖反応を起こしていく機械のことですが、本作の骨子は人々の行動の連鎖反応であり、それはまさに「ルーブ・ゴールドバーグマシン」と言えます。また同時に、複数の登場人物の各々の行動が大きな流れとなっていく極上の「群像劇」であったと言えましょう。

 このように本作はあまりにも複雑な構造を有しているのですが、いやいやどうして、道満先生は相変わらず気負いを見せずに飄々と、いつも通りのギリギリアウトなギャグとポップな絵柄で、私達読者を少しも混乱させずに軽やかに着地して見せてくれます。もゥ…、恐ろしいヒト!

 そんなわけで、詳しい内容には一言も触れませんでしたが、大変な傑作であることは保証します。さぁ、今すぐ買いに行きなさい。そして友達にも勧めなさい。で、道満先生にヴァンパイアハンターの基盤を数億枚買えるくらいの実入りをこしらえようではありませんか。

 いや、ホントに、大変な作品ですよ。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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