いにしえゲーム回顧録 九回裏 「エスケープキッズ(決勝編)」

ゲーム
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 さていつものナムコ直営ゲーセンです。相変わらず訳分かんねぇ基準でゲームを次々と入荷する魔窟で、知らぬ間に「ダライアス2」の大型筐体がデーンとカウンター脇に置かれているくせに、ピンボールコーナーには何故か相当古い作品「プレイボーイ」が設置され、バンパーが跳ねる度に「アハン、ウフン」と桃色吐息でエロス全開です。そんな中でもそのゲームはさらに輪をかけた訳の分からなさでした。

 

 まずデモ画面ではキャラクター紹介がされますが、全員原色の全身タイツを着ており、そのクセなんかイケメンです。その後キャラクターが地平線をバックに爆走し、ついにチャンピョンが黒の全身タイツで登場。時折顔がドアップになり、ドヤ顔をキメて魅せます。そしてゲーム画面が登場し、全員が一斉にミニ四駆コースを走り回ります。が、その際全員が「ワンツー、ワンツー」と体育会系よろしく、しかし甲高い号令を発しています。そしてコース上では大爆発したり大地震が起こったりと、大混乱のままレースが続きます。

 …なんだこれ。すっげぇチープな画面だし、内容もコースをぐるぐる走り回るだけじゃないか…。しかしなんだこの異様なテンションの高さは!?さてはなんかキメてるな!?分かった、オレも仲間に入れてくれ!という訳で、ろくにインストカードも見ずにコイン投入、タイトル画面でコナミと知る始末です。

 

 まずプレイヤーは100ドルを持っています。しかし入園料としていきなり70ドル取られます。えぇー!?(画太郎風)しかし某ランドの1日フリーパスが7000円と考えると案外妥当な料金かもしれません。さて、中に入るとタンクトップでボインの金髪チャンネーが天使の微笑みでお出迎え。しかし逆に近未来SFのゼロサムゲーム(バトルランナーとか)の匂いがするのは何故でしょうか。

 続いて3つのグラフが並んだコーナーへ移動。レバーでグラフを選択すると上部にイラストが出ます。どうやら能力値を買え、ということらしいです。一番左は天を仰ぎながら大ジャンプしています。どうもここ一発で使うものらしいので、多分ターボみたいなもんでしょう。なに?5ドル?高いな。後にしよう。隣は片手を地面につけて体を傾けています。曲がる時に有利なのかしら。デモ画面ではコースが結構曲がりくねっていたから、これは必要かもしれない。買っておこう。と、ボタンを押すとピュピュピューンとグラフが急上昇。しまった買い過ぎた!ボタン効きすぎ!まぁ、いいや!次は地面から立ち上がろうとする漢の姿。これは転んだ時にすぐ起きられるんだな。買っとこう。ピュピュピューンとグラフが上昇。最後はガッツポーズの姿。…根性?取りあえず有り金全部はたこう。ピュピュピュンとグラフ上昇。端っこの「EXIT」を選択すると画面が切り替わり、さあ出ました、ミニ四駆コースの登場です。

 

 コースはフィールドアスレチックのような赤土剥き出しで、緩やかな坂道が連続する内容です。と、唐突に号砲一発。いきなりレーススタートとなり出遅れてしまいます。慌ててボタンを連打。「ワンツーワンツー」と気のない掛け声ですが、結構速く走れます。カーブでは気持ちよく曲がることができ、どうやらさっきの売店での買い物が役に立っているようです。たちまちトップに躍り出ました。しばらくするとコース上に様々なアイテムが出現します。なんだあの「P」は。でも取りに行くと遠回りだからいいや。これはコインか。・・・金か!これは貰う!で、爆弾?あ、赤い人が取って爆発した。ワナか。そして順調にファイナルラップに突入。えーと、あの黒い人より早くゴールすれば良いのよね?このまま行けば楽勝だな。と、黒い人、さっきの「P」を取りました。すると「パッパラプー!」という間抜けな音と共に猛ダッシュ!えぇー!?(画太郎風)加速装置なの!?黒い人がすぐ背後までやってきました!が、何とかかわしてゴール!1位です!

 次の瞬間。天空にそびえ立つ5本のパイプを伝って、巨大な便器に乗った参加者達がせり上がってきました。便器には順位が記されています。便器の上昇と共にBGMのテンションも上がります。

 ♪テテレテテレテレテレテテ、ヘイ!テテレテテレテレテレテテ、ヤァ!

 オレも「ィヤァ!」そして黒い人が頭上の水洗装置のヒモを引っ張りますと、私以外の全員が便所に流されました。そして私は靴をブラブラさせながら決めポーズをかまします。足元にはトロフィーと30ドルが置かれています。…やった!金だッ!

 

 そして再びお買いものコーナー。レースの疲れからか、グラフが短くなっています。再び能力を買い足せ、というコトで、今度も旋回性能を上昇させ、残りのお金で他の能力を少々と、あとジャンプも買ってみます。

 今度のコースは水曜スペシャルよろしくジャングルで、怪しいトーテムポールやほったらかしの金魚鉢のような濃緑の池が広がっています。再び号砲一発、今度は出遅れません。「ワンツーワンツー」と鼻に掛かった掛け声のもと、ジャングルを疾走します。やがて池に飛び込むと猛クロールで前進です!あッ「P」だッ!今度はゲットし「パッパラプー!」とモーターボートのように加速!しかし速すぎて操作が難しい!それでも後続と結構な差をつけて池から上がり、余裕があるので試しにスーパージャンプを発動。「ィヤッフゥー!」と前方へ高速猛ジャンプ!足元のコインを取り損ねたけど、こいつぁ楽しいや!そしてそのまま難なく1位ゴールとなりました。

 再び便器登場。便器上昇と共にBGMのテンションも上昇。

 ♪スッポコポコペンスッポコポコペン、バンザーイバンザーイ!

 オレもバンザーイ!で、私以外の全員が便所に流されました。で、決めポーズ。トロフィーと30ドルゲットです。

 

 そのまま第3戦(インチキメカニカル)も1位でクリア。ライバルを便所に流したところで、ファンファーレが鳴り、どうやら3回1位を取るとチャンピョンになれるようです。そしてボーナスステージへ突入。粗いドットのプレイヤーがチャリンコにまたがり、ベイエリアを疾走です。すると目の前にコインが飛んで来ます。ウヒョー、金だ金だ!眼の色変えて必死にかき集めているとゴミバケツに激突!しかし中からやっぱりコインが無数に飛び出してきてヒャッハー!酒池肉林だぜ!ボタンを押すとビヨヨーンとジャンプ出来るけど、あんまり意味ないぜ!でもチャリンコジャンプは漢の夢さ!

 

 再びお買いものコーナーに戻り、旋回能力を強化して第4戦へ。今度はサボテンが生えた荒野で、なんだかウエスタンな雰囲気です。号砲一発スタートしますが、狭いコースなのでランナー同士がぶつかり合います。すると我が分身は「ノゥ!ノゥ!」と叫び声を上げ、スッ転んでしまったではありませんか!…あれか!根性か!そういえば根性は買ってなかった!その後他のランナーにぶつかっては「ノゥ!」とスッ転び、結局チャンピョンの後塵を拝したままゴール。…負けた。

 …あれだけ晴れ渡っていた空は、今は暗雲が立ち込め、BGMもいかにも「負けましたね、アナタ」みたいなものになっています。便器は無情に上昇し、1位の頂点便器には黒い人、チャンピョンが立っています。その手が水洗装置のヒモに伸ばされます…!イヤァー!ヤメテェーッ!そしてチャンピョンの高笑いを聞きながら、私は便所に流されたのでした。

 

 ていうか、これはどんなテーマパークか。でも楽しかったからまた来るぜ!てな訳で、その後結構頻繁にプレイすることになりました。が、どうやらエンディングとかがない、ループゲームだったようで、高次面におけるチャンピョンの異様なスピードとフットワークはもはや人間技ではなく、見ていて逆に愉快でした。家庭用に移植されて、連射装置とかで遊んだら…、いや何でもないです。とにかくコナミの(色んな意味での)本気を見せ付けられた作品ではありました。

 

 おや、牽制アウトですね。サヨナラのランナーだけに惜しかったですねぇ。九回裏無得点で、延長戦に突入です。

 それでは十回表でお会いしましょう。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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