いにしえゲーム血風録 十九回裏「レイフォース(X-LAY編)」

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 レイフォースが発売された1994年と言いますと、私は絶賛ゲーセン小僧中の高校生でありまして、慣れ親しんだナムコ系ゲーセン「キャロット」から遠く離れた高校へバスで通っておりました(バカだったのでそこしか入れなかった)

 当時のゲーセンは風営法だったかの関係でクソガキ共は午後6時頃までしか居座れませんでした。で、私は何しろバス通学ですから、学校が終わっても通学時間を結構取られるわけで、大急ぎで地元のキャロットに戻っても、結局1PLAYするくらいしか時間がないこともありました。

 そうなると自然、学校周辺のゲーセンを探すことになります。と、口で言うのは簡単ですが、不思議なものでパチンコ屋はいくらでもあるのに、ゲーセンとなるとなかなか見つからないものでして(私の地元だけかしら)、結局見つけられたのは通学に利用していたバスに乗っていて車窓から見かけた2軒だけでした。

 1軒はあまりにもこじんまりとし過ぎており(つまり狭い)、実際に中に入ってみても「やけに『上海』が多い」という、いわゆる「おっさんゲーセン」でしたので、すぐに行かなくなりました。

 さてもう1軒はバッティングセンターに併設されているゲーセン「R(仮名)」でした。…勘の良い方はお分かりでしょう。そう、あの頃は何でかバッティングセンターとゲーセンが合体した施設が多かったのです(現在は「ラウンドワン」とかにその系譜が受け継がれていると言える、かもしれない)

 *余談ですが、この手の「アミューズメントスペース」(断言)では「ひたすらバッティングにいそしむヤツ」と「ひたすらゲームに興じるヤツ」の2種類しかおらず、不思議なことに両方ガンガン遊ぶ人種は皆無でありました。で、言うまでもなく、私は後者だったわけであります。

 

 さて、この「R」というゲーセンは非常に珍しいことに、当時大ブームだった「格闘ゲーム」をあまり置かないゲーセンでした。となると何を設置していたかと言えば、パズルゲーム、やっぱり「上海」、しかし天晴れ「シューティングゲーム(STG)」なのでありました。

 これまで血の涙を流しながらお話しましたように、私は格ゲーが全く出来ない(波動拳もムリ)残念なゲーセン小僧でしたので、格ゲー一辺倒でないというだけで、私は大いに気に入りました。

 また「R」はバッティングセンターもあるということで、身体を動かせば腹も減る、というわけで「食い物自販機」も充実しておりました。ラーメン、うどん、そば、ホットサンドなどなどのスナック類が200円前後で食い散らかせるという、まさに産業革命の申し子、ラララ科学の子であります。21世紀の現在ではなかなかお目に掛からなくなり、無くなると逆に恋しくなるのが人情というもので、全盛期の頃よりも過疎った現在の方が大人気というのも皮肉なものです。

 ということで、ゲームで遊べるうえに腹も満たせるアルカディアかつエルドラードとして、私は時間を見つけては「R」に通っておりました。で、「R」の近所には以前の血風録でもたびたび登場している友人であり、猛者であり、剛の者である「二次元大好き氏」が住んでおり、よくここで顔を合わせ、一緒に珍奇ゲームに興じたものであります。

 

 その日も「R」にやってきたボンクラは、やっぱり二次元氏に会います。二次元氏の専門はSTGでした(あとPCのエロゲ)ので、「R」でも一昔前のSTGをよく遊んでいました(格ゲー全盛期にはSTGがほとんど出ていなかったので、一昔前のモノしかなかったのです)。この日遊んでいたのは王道の縦シューであり、パッと見はフツーのゲームに見えました。

 しかし自機らしきものの前方に変なカーソルのようなものがあります。このカーソルに敵を重ねると、「ピコッ」という音と共に敵に丸が付き、即座に二次元氏がボタンを押すと、自機のケツから光線が飛び出し、丸のついた敵へと飛んでいきました。そして爆発。どうやら敵を倒したようです。

 さて、この時の私はこの攻撃について、ごく自然に「あぁ、ホーミングミサイルかなんかだな」と思いました。加えて「便利な攻撃だから、弾数制限のあるスペシャルウェポンだな」と考えたのです。これほど便利な攻撃が弾数無制限で撃ち放題というのはちょっと考えにくいのです。感覚的にはSTGの「ボンバー使い放題」に匹敵するありえなさです。そんなゲームは異様にカンタンか、バランスが崩壊して理不尽にむつかしいかの二択と決まっているのです(極論)

 で、私は「異様にカンタン」だと思い、それなら50円(1PLAY50円だった)を投げ込むこともないなと、二次元氏をそこに残して、お目当てだった「余命検索サービス X-DAY」に向かい、そのあと懲りずに「コラムス」を2時間ほど遊びました(コラムスは本当に「もつ」ゲームです)。

 

 そろそろ帰る時間になり、私は二次元氏の元に向かいました。二次元氏はまだあのSTGで遊んでいます。どうやら何回かやり直しているようです。タイミング良くゲームオーバーになったので、帰る旨を伝えますと、二次元氏はテッカテカの笑顔「いやぁ、今日は500万出せた!」と言いました。

 ここで私は首を傾げました。二次元氏はゲームには一家言のある武士(もののふ)であり兵(つわもの)であり侍(サムライ)です。カンタン過ぎたりむつかし過ぎるゲームは、たとえプレイの途中でも平気で捨てていく(止めてしまう快男児なのです。この男がこれほどまでにテッカテカになるとは、あのゲームは一体なんなのだ?

 私は筐体に張られたインストカードを見ました。タイトルは「レイフォース」。…はて、このタイトル、どっかで見たぞ?どこで見たのか…。アッ!思い出した私は二次元氏に別れを告げ、バスに乗り、家に到着するや、部屋に転がっていた雑誌を拾い上げました。そうです、「ゲーメスト」です!

 

 確か最新号のゲーメストに記事が…、あったあった。っていうか、新作のSTGだったの!?ここに来て衝撃に事実を知らされた私ですが、しかしそこに載っていた記事は「紹介記事」ではなく、「攻略記事」でした。しかもオールクリアまでの全面分の。しかし心配ご無用、やったことのないゲーム全面攻略記事を読んだとしても、ちっともサッパリ少しも全く全然分かりませんので、私の注意は冒頭の「基本操作」の部分に集中させることが出来ました。

 …ロックオンレーザー?これがあの追尾する攻撃なのか。…エッ!?無制限で撃てるの!?しかも最大8発同時発射可能?便利すぎね?…あぁ、自機より低い所の敵しかロックオン出来ないのか。…この照準といい、ゼビウスみたいだな。でも自動追尾してくれるから楽だな。いや、これ、やっぱりカンタンじゃね?ていうか、地上物しかロックオンレーザーで攻撃出来ないって、ゲームとしてどうなの?フツーじゃね?

 

 と、このように、やったことのないゲームを文字だけで理解しようとすると、このような曲解連発となります。結局ゲームは実際にやってみないとわからんちんなのです。しかし記事に掲載されていた綺麗なグラフィックや、何よりも格ゲーに押しやられていたSTGの新作が発売されたのが何よりも嬉しかったのです。これは!やるしか!

 しかし近所のゲーセンに置いてあるでしょうか?格ゲー全盛のこの時代、STGは敬遠されがちで、どこのゲーセンもSTGはあまり多くは置いてくれませんでした。「キャロット」はACT系が多いし、その向かいの「多国籍ゲーセン(メーカー直営ではない店:メーカー不問で様々なゲームを置いてくれる:造語)」は格ゲー寄りだし…。待てよ、そもそもレイフォースはどこのメーカーのゲームなんだ?そこで記事のタイトルの右下のメーカー名をを見ます。ありました、「TAITO」。タイトー?

 

 翌日、私はキャロットからほど近いタイトー直営ゲーセン「タイトーイン」に向かったのでした。

 

 

 

 続きます。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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