今回お話するのは、STGの修羅、アイレムより1988年発売の「イメージファイト」であります。アイレムは「R-TYPE」をはじめとして異常にむつかしいSTGの老舗でありますが、本作もやっぱりむつかしい、特に後述の「補習ステージ」は下血ものの凶悪さ、私は一瞬で散りました。それはさておき、まずはストーリーからご紹介いたしましょう。
20XX年、東西陣営の競争が激化する中、突然西側の月面基地が爆発、正体不明の敵による破壊活動が開始された。一気に緊張する世界情勢。事態の収拾を図るべく、西側は最新戦闘機「ダイダロス」を月面基地に派遣することを決定する、しかし肝心のパイロットの訓練は未だ終了していなかった…。
以前の血風録「出撃の刻」でもご紹介しましたが、このパイロットの訓練からゲームは始まり、現在でいうVRで行われる、という設定なのです。だから「イメージファイト」というわけで、1988年に尖った設定をぶち上げてくれたものです。カッコイイ!
それではゲームシステムの紹介です。このゲームは縦画面STG、レバーで自機の移動、ボタン1で前方ショット、ボタン2で自機の速度を4段階まで変えることが出来ます。変速時に自機の後ろからバックファイヤーが吹き上がりますが、なんとこれにも攻撃判定があり、敵を倒すことが出来ます。
さて、本作は自機自体はパワーアップしませんが、道中のコンテナを破壊すると「ポッド」と「ヘッドパーツ」が出現し、これを取ると攻撃力がアップします。
ポッドは自機と同じショットを撃てるオプション兵装で、自機の左右と後方の最大3機を装備することが出来ます。ポッドには青と赤の二種類があり、青は前方のみに、赤はレバー入力と逆方向に(レバーを上に入れれば下方向に)ショットを撃つことが出来ます。またポッド自体に攻撃判定があり、敵に触れることでダメージを与えられますし、ボタン1とボタン2を同時押しすることで、ポッドを前方へ飛ばす「ポッドシュート」を行うことが出来ます。また、ヘッドパーツは全部で9種類あり、ホーミングミサイルやレーザー、バリアなどを装備することが出来ますが、通常のショットは撃てなくなります。ポッドと違い、ヘッドパーツは敵や敵弾に触れると破壊され、通常状態に戻ります。
ゲームは全8面+1面の2周エンド。1面から5面はVR空間における訓練であり、6面以降は実戦となります。さて、1~5面は訓練ですから、ここできちんと上達していなければ実戦に投入されるわけがありません。具体的には1~5面で敵破壊率が集計され、平均破壊率90%を越えなければなりません。これを越えないと実戦である6面には進めず、代わりに地獄の「補習ステージ」に送りこまれてしまいます。
それでは簡単に各面の紹介をいたしましょう。
VR訓練
・1面:海洋、森林地帯上空 初歩的な戦闘訓練が行われ、自機の基礎的な操作が学べる
・2面:対巨大戦艦 初級レベル戦闘訓練が行われ、ポッドの基礎的な操作が学べる
・3面:鉱山 中級レベルの戦闘訓練が行われ、自機及びポッドの応用的な操作が学べる
・4面:メカ基地 上級レベルの戦闘訓練が行われ、自機及びポッドの高度な操作が学べる
・5面:生体洞 自機及びポッドのポテンシャルを最大限に引き出すことが求められる
・補習ステージ 一切の装備が剥奪され、無数の敵機を破壊し続けなければならない
実戦
・6~8面:…どのような事態が起こるかは予測出来ない
さて、本作は名作「R-TYPE」の後に作られたのですが、開発者曰く、「『R-TYPE』をクリアしたプレイヤーへの挑戦状である。」とのことで、相当むつかしい内容となっています。その最たるは赤ポッドの操作性であり、16方向に射撃可能でありながら「レバーと逆方向に射撃する」という、なんとも言えないクセがあります。が、これに慣れて的確に射撃に出来るようになると、これ以外に操作方法はないと思えてくるから不思議です。
また開発者曰く「反射神経の限界への挑戦である」としており、実際初見殺しのギミックが満載。ある程度パターンを覚えれば対処は出来ますが、一部のボスの攻撃はランダム性が非常に強いため、開発者の意図の通り、反射神経の鍛錬が必要となり、しかし繰り返せば確実にクリア出来る絶妙な調整となっています。
しかしながら本作は「R-TYPE」から続く暗めのグラフィック、特に自機が変速すると形を変えるなどの芸の細かさには目を見張るものがあります。またサウンドもドラムが印象的な1面をはじめ、アイレム節とも言える軽快な楽曲がゲームを盛り上げてくれ、特に実戦編で最初である6面のイントロは鳥肌が立ったものです。
ということで、アイレムの名に恥じない名作である「イメージファイト」。詳細はこちらのプレイ動画でご確認ください。
さて、1988年といえば、私はまだ小学生。ゲーセンに入り浸るには早すぎですが…。どのような経緯でプレイしたのかは、次回、二十二回裏といたしましょう。
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