さて、今回はタイトー渾身の一発、「ヴォルフィード」を紹介します。昔からタイトーは「珍奇なゲームを作るメーカー」という認識が私にはありまして、言わば「ホームランかデッドボール」という潔いメーカーと考えておりましたが、このゲームはたとえ「『QIX』のリメイクじゃねぇか」と思いつつも、世界観、ゲーム性、ドバクチ性ともに、私の中ではホームラン級の作品でありました。つまり毎日やってました。呆れてくださって結構ですよ。
ではストーリーを紹介します。
「長い宇宙旅行から母星『ヴォルフィード』に帰ってきた主人公。しかし母星は既に異星人に侵略されたあとでした。その時、母星よりかすかなSOSを受信。主人公は単身、異星人の支配する母星へと突入するのでした。」
さて、ここまででどんなゲームを想像します?シューティング?アクション?既にお気付きでしょうが、残念、なんとヴォルフィードはパズルゲームなのです。このあたりが珍奇メーカータイトーの面目躍如と言えましょう。ではゲームシステムをご紹介しましょう。
基本は固定画面のステージクリア型。レバーで上下左右に移動。ボタンで「レーザーカッター」を起動させ、線を引くことが出来ます。画面一杯に敵フィールドが広がっており、あちこち銀色のオベリスクが点在しています。プレイヤーは敵フィールドの端、境界線に位置し、ここから「レーザーカッター」で線を引き、囲むことで自分の陣地とすることが出来ます(正確には「線を引いた後、ボスのいない側が自分の陣地となる」)。以後プレイヤーは境界線上を移動し、陣地を増やしていく事なります。そして自分の陣地が全体の80%を超えればステージクリアとなります。
さて、敵フィールドには敵キャラが存在します。まず自機に向かって弾を撃ってくる巨大ボスと、その小型版と言えるザコがフィールド上を這い回ります。自機が境界線上にいる時はシールド(時間経過によってエネルギーが減り、0になると無効になる)によって守られているので、敵弾や敵に接触してもミスになりませんが、一旦レーザーカッターで線を引こうとするとシールドがオフになり、全くの無防備となります。この時敵弾や敵に当たるとミスです。また、引いている線に敵が触れると爆風が発生、自機を追尾してきます。これに自機が飲み込まれてもミスになります。プレイヤーは敵の攻撃をかいくぐりつつ、陣地を増やしていかなければなりません。
さて、皆さんは「なんで陣取り合戦をしているのか?」と疑問にお思いでしょう。実はストーリーで紹介した例のSOSは地下深くから発信されていたので、主人公は地下へ向かわなければならないのです。だから「フィールドを切り落として」地下に向かっているのです。なんと大規模、かつ大雑把な救出手段。赤城山徳川埋蔵金発掘も真っ青です。え?なんで80%か?そこまで切り落とせば、あとは自重で崩れるんでしょうよ。実際、面クリア時には大爆発するし。次、パワーアップです。
このゲームのパワーアップはフィールド上のオベリスクを囲み、破壊することで出現するエネルギーボールによって行われます(出現するだけで効果が表れる)。自機がべらぼうに速くなる「S」、レーザーでザコを倒せる「L」、敵の動きを数秒止める「T」、シールドエネルギーが一定時間減らなくなる「P」、ザコを一層する「C」。そして隠されたオベリスクを破壊することでボスを破壊出来る最終兵器「惑星破壊砲(命名非公認)」や1UPなどがあります。これらを駆使して、占領率80%を目指してください。
さて、めでたく80%以上を占領するとクリア、占領率に応じてボーナスが貰えます。80.0%は10000点、80.1%は11000点…と、占領率が高いと高得点です。究極の占領率は99.9%で500000点もらえます。このゲームは基本的に得点で残機が増えるので、この500000点は大きい。しかし普通に陣取りをしていっても、巨大なボスが邪魔をして99.9%なんて到底無理です。ここで必要なのが「ボス追い込みテクニック」で、ボスを囲い込むように、隅に追いやるように陣地を取っていくと、ボスがだんだん小さくなり、最後には自機と同じくらいの大きさになってしまいます。ここを狙ってボスを囲んでやれば、先の「線を引いた後、ボスのいない側が自分の陣地となる」ルールにより、ボスを囲んだ外側が全て自分の陣地となり、高占領率を狙うことが出来るのです。この「どのようにボスを追い込むか?」がこのゲームのパズル的要素と言えましょう。しかしボスのランダムな動きにより、パターン化が難しくなっているところがもどかしく、また面白いところでもあり、腹を決めて「エイヤッ!」とバクチを決めて線を引く場面もあり、味わい深いゲーム性となっています。
次にこのゲームの世界観についてお話しします。ゲームは全16面。どの面も趣向が凝らしてあります。その最大の魅力はやはりボス。無機物と有機物がいびつに融合したデザインが、異星人達の異文明を象徴するかのようで秀逸です。1面のヘビ型ロボは序の口で、手の平型ロボやゲンコツ双子ロボ(ゲンコツがぶつかりあうと四方に弾をまき散らす)、カニやアンモナイト、ついには巨大人面ロボが登場し、攻撃も苛烈を極めます。またフィールドも荒野、海、遺跡、機械化地層、そして終盤の意外な風景と、プレイヤーの心を揺さぶり、飽きさせません。そして基本的にこのゲームにはBGMがなく、静寂の中、ボスの機械音とも咆哮とも取れない奇妙なノイズと自機のカッターの「ビューン」というエネルギー音だけしか聞こえません。そんないわば「死の世界」と敵キャラの異形のフォルムは、非常に挑戦的で、魅惑的でもありました。
次はどのような展開が待っているのか?新しい面に入る時にはドキドキしたことを覚えています。大好きなあの娘のことを考えても、ここまで胸は高鳴りません(ゲームバカだから)。このあたりの演出の仕方はいかにもタイトーらしく、ボスのデザインから「ダライアス」を連想してしまいます(「ダライアス」シリーズは私の大好きなゲームですが、有名なのでこのコーナーでは永久に紹介されません)。
今では見られない異世界を見せてくれるゲーム。それが「ヴォルフィード」でした。それでは次回、母星ヴォルフィード奪還の様子をご覧いただきましょう。
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