いにしえゲーム回顧録 十一回裏 「オーダイン(みゆきちゃん編)」

ゲーム
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 中坊になったばかりの私はまだゲーセン小僧にはなっておらず、主に友達の家に遊びに行っていました。ある日、そこで白くて小さなゲーム機を初めて見ました。そう、PCEです。まず目を引いたのはキレイなグラフィックで、巨大なキャラがグリグリ動いていました。また迫力がありそれでいて透明感のあるBGMにも度肝を抜かされました。私はそこで「源平討魔伝」や「ギャラガ’88」などを遊ばせてもらい、ファミコンとのあまりの違いを噛みしめたのでした。そしてもう一つ、何だか世界観のおかしいシューティングゲームを見かけたのですが、プレイする機会には恵まれず、そのゲームの名前も知ることはありませんでした。

 しばらく後、某百貨店屋上ですっかりアーケード小僧になった私は、近くの商店街にナムコ直営のゲーセンがある事を知ります。早速足を運んでみると、それまで屋上遊園地しか知らなかった私にとっては全くの別世界でした。まず筐体がデカく、操作しやすい(屋上遊園地にある筐体は大抵小さく、操作しづらいがプレイ料金が安い)。そして店内が明るい。しかも屋上遊園地ではなかなかお目に掛かれない大型筐体がモリモリあるのです。「ゲームはやっぱりゲーセンだな」と妙に納得し、ここに立派なゲーセン小僧が誕生したのでした。

 さて店内を見て回ると、やはりナムコ製のゲームが多く設置されています。その中にはあの源平討魔伝がありましたが、とてもむつかしいという印象だったのでプレイはしませんでした。と、その横にはどこかで見覚えのあるゲームが置いてありました。そう、友達の家で見た、あの世界観のどこかおかしいゲームでした。インストカードを見ると「オーダイン」とありました。ここで私は初めてこのゲームの名前を知ることになったのです。

 しかしデモ画面をよく見ると、友達の家で見た物と何か違います。色使いがとてもクリアですし、BGMもとてもポップです。何よりも画面上のキャラクターがすごく生き生きと動いています。実はこれがアーケードの強みでPCE版は発色が少し鈍かったり、拡大・回転・縮小が出来なかったりと、完全移植ではなかったのです(もちろん、それでも高い完成度でした)。しかし中坊の私がそんなことを知る由もありません。ただ「キレイでなめらかだ!」と強く印象を受けたのです。

 私がアーケードの感動に浸っているその時、同行していた友達が「おー、これがあるんだ。一緒にやろうぜ。」と言ってきました。この頃の私はアクション専門で、シューティングには自信がなかったのですが、全く知らないゲームでもありませんし、それに賑やかなゲームの雰囲気に惹かれていました。ですから、まぁ付き合いで、と考えてコインを投入したのでした。

 

 1P(泊博士:赤)が友達、2P(サンデー珍:緑)が私でゲームスタート。するとまず友達が「最初の店までに出てくる編隊は全部倒し、出てくるクリスタルは全部こっちにくれ」と言ってきました。何のことかよく分かりませんでしたが、取りあえずその通りしてみることにしました。

 まず前方から赤い敵が編隊を組んで飛んできましたから、ショットとボムで撃ち落とします。すると「1000」と書かれたバルーンが出現。これがクリスタルなので、友達に譲ります。上から巨大戦艦が迫ってくる中、次々と編隊を破壊し、クリスタルを稼ぎます。そして友達が5000貯めたところで空中INへ入ります。店内でアイテムが売られており、友達は5000の「?」の袋を購入。私は一銭も持っていないのでそのまま退店です。

 さて外に出てみると、友達の自機にはバリアが付いています!しかも敵の弾をモリモリ吸収し、一気に放出して敵を破壊していきます!なんだ、この強力な攻撃は!?早速友達に聞いてみますと「ストックボンバーって言って、敵の弾を吸い込んで攻撃出来るんよ。これがあれば他はいらないくらい強いんだけど、最初の編隊を全部倒さないと最初の店では買えないから、さっき頼んだのよ。」とのこと。つまりいきなり最強装備にするための戦略だったわけです。

 

 結局、私の初プレイは友達に助けられながらも3面の水中面で終了しました。友達はその後も粘りましたが、結局4面でゲームオーバーでした。なんだか友達に上手く使われた気もしますが、しかし友達が敵弾を吸い取ってくれていたおかげで弾避けに気を取られることもなく、じっくりとゲームシステムを覚えることが出来ました。そして何よりも、このゲームの持つ「お気楽さ」に魅せられました。それまでの私のシューティング観は「ハードSF、鬼難易度」だったのですが、オーダインはそんなカタいイメージを取り払ってくれました。つまり「シューティングは楽しい」ということを見せつけてくれたのです。そういうワケで、オーダインはシューティング初心者の私には格好の入門ゲームだったのです。

 

 それから私のオーダイン攻略が始まりました。まずは操作に慣れることからはじめ、それなりに先の面に進めるようになりました。そこで初めて(1面とは桁違いに高い)ストックボンバーを購入し、その威力に大いに戦慄したものです。確かに強い。しかも道中が楽チンです。こうなると最初から装備したくなるのが人の常で、次の課題は1面最初の空中INでどうやってストックボンバーを購入するかということになりました。

 1つの編隊を全滅させると得られるクリスタルは1000。ストックボンバーは5000ですから、5編隊を全滅させなければいけません。が、この編隊が画面の上下に同時に現れるので、両方の編隊を破壊することは1人では大変むつかしいのです。だから友達は2人同時プレイで対応したのです。

 そこでまず私は編隊の出現タイミングを覚えました。つまり画面上部の出現位置に待機して素早く編隊を全滅させ、その後すぐに下に移動してそちらの編隊も全滅させ、しかもクリスタルも回収する、という方法です。敵編隊の出現位置はすぐに覚えたのですが、しかし敵編隊は蛇行して飛んでくるためショットが当てづらく、なかなか上手くいきません。結局クリスタルを集めることが出来ず、バルカンやアフターファイヤーなどの通常装備(とはいえ、これはこれでおもしろいじゃない相当使えるのですが)でその後の展開に挑むことになりました。おかげでガチの弾避けが必要になり、その結果、シューティング攻略に必要な操作技術をある程度身に付けることが出来ました。

 ところが高次面になると敵の攻撃は激しく、地形もいやらしくなり、結局敵の体当たりなどでストックボンバーを削られ、かと言って買い直すだけのクリスタルを集められず、シューティング初心者の私は敢え無く散っていくのでした。

 

 しかしある日、ついに敵編隊を全て撃ち落とし、5000貯めることに成功しました。要はショットとボムを考えなしに垂れ流しにするのではなく、しっかりと狙い撃ちをすれば良かったのです。しかしシューティング初心者がすぐに気が付く訳もなく、結構な時間が掛かったのも当然というワケです。

 ともあれ、これで1面でいきなりストックボンバーを装備することが可能になり、おかげで先の面でバカ高いストックボンバーを買う必要がなくなり、持ち金に余裕が出来ました。お金の余裕は攻略に幅を持たせることになり、例えば結構高価なファイヤーボンブ(30000)によるボス瞬殺パターン(ボスの弱点に着弾させることで多段ヒットを起こし、瞬殺する)などを駆使して、プレイが安定するようになりました。そしてついに6面に到達したのですが、しかしここが私のオーダイン攻略最大の壁となったのです。

 

 6面はボスラッシュ面でした。ボスはストックボンバーが吸収出来る弾での攻撃はほとんどなく、結構なガチ避けが要求されます。それならストックボンバー無しでも良いかと言えばそうでもなく、ストックボンバーの通常弾は非常に連射が効き、また攻撃範囲も広いのでそれはそれで有効なのです。また、たとえ残機ゴリ押しで6面をクリアしたとしても、最終面の7面は開幕からスゴイ弾幕なので、ストックボンバーがないと到底切り抜けることが出来ません。7面でもストックボンバーは購入出来ますが、85000というとんでもない高騰をしています。つまり、6面でいかにストックボンバーを維持したまま切り抜けて7面まで持っていけるか、という話になるのです。

 結局、ボスの攻撃を覚えて避ける、という従来のシューティングらしい攻略となりました。そしてなるべくボス戦で手間取らないように、ファイアーボンブを温存し、一撃で決められるような方法を模索するようになりました。パターン構築なんて、何だか本格的なシューターになった感じですが、実際はファイアーボンブに頼りっきりの攻略だったので、まだまだヌルいものでした。しかしヌルいながらも安定して6面を攻略出来るようになりましたが、それにはなかなかの時間が掛かったのでした。

 

 そして最終7面。これでもかとばかりの地形ギミックが襲いかかってきました。回転する地形、巨大なピストン、迫りくるブロック、変なトンカチ状の物体。そこへ容赦ない弾幕ですから、本当にストックボンバーがないと残機がいくらあっても足りません。実際、何度も地形にぶつかってストックボンバーを剥がされましたが、その時の私のヘタレ対処法は「買い直す」でした。

 なに?先にあれだけ「高騰していて買えない」とか言っていただろうって?確かに「高騰している」とは言いましたが、7面の回転地形地帯まで到達した頃の私には「買えないこともない」状況になっていました。実はドリームコルテットが目押し可能であることに気が付いたのです。つまり参加料の2000ほど支払えば、確実に100000か欲しいアイテムをゲット出来る…!ですから私は最終面に備えて、ドリームコルテットから搾り尽くしました。実際、最終面で残金が200000を超えていることがマストという雑な攻略だったのです。ともあれ金に物を言わせたゴリ押し攻略で、何とかオーダインをクリア出来たのでした。

 

 その後も私はオーダインを遊び続けました。ザコ一機にファイヤーボンブを投げ込むお大尽プレイや、出来るだけアイテムを買わない節約プレイなど大道芸もやりました。その後、シューティングに目覚めた私は、他の様々なシューティングに挑んでいくことになり、結果オーダインからは遠ざかることになりました。

 しかし正直、シューティングの基本はこのゲームから教わったと言えます。ですからオーダインをプレイしたからこそ、後にバースで熱い攻略が出来たと思っているのです。そしてグラディウスやダライアス、R-TYPEなどの名作に触れることが出来たと思っています。

 

 さてそれから数年後、私はPSの「ナムコミュージアム」で再びオーダインを遊んでいました。相変わらずの「金ゴリ押しプレイ」で全く進歩はありません。さてPS版にはデジタル設定資料集が付いていたので、それを閲覧していますと、

 

「あ、空中INのあの娘は、みゆきちゃんっていうのか…。」

 

 それでは十二回表でお会いしましょう。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

コメント

  1. galthie より:
    todome氏がオーダインをやっていたことは以前ちらっと聞いた覚えがありますが、まさかシューティングにはまるきっかけになったとは知らなかったです。 PCEといえば、R-Typeの移植の完成度は評判高かったですよね。 ゲームセンターのゲームが完全移植される時代はもうちょっと後だったので、ゲームセンターでのゲームは一味上の印象でした。 グラディウスやR-Typeがこのコラムに出ないのは知っていますが、超番外編で書いて欲しいなぁ。
  2. todome より:
    オーダインでシューティングの味を知り、ダライアス外伝で本格的にハマることになったんです。それだけに最近のゲーセンは、私にとっては寂しくなりました。 この頃のコンシューマはアーケード移植を売りにしたものが多かったですね。R・TYPEや最後の忍道は良く出来ていました。しかしその後コンシューマがオリジナルゲームの開発に向かったのは良いことでした。やはりメーカーは線をなぞるのではなく、線を自ら引く存在でなくてはなりません。 で、有名ゲームですが・・・。このコラムが役目を終えた時に、新シリーズとしてやるかもしれません。
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