いにしえゲーム血風録 二回裏ビデオ判定 「バベルの塔(壁画の間)編」

いにしえゲーム血風録
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 前回までのあらすじ:説明書もないままに「バベルの塔」を始めたが、暗中模索ながらも操作方法を学習し、しかし依然謎のアイテムに首を捻りながらも、8面の「壁画の間」に到達するが、その異様な雰囲気も早くも飲まれ、昨夜の飲みすぎもたたってか、若干の吐き気を覚えたような、むしろ便意だったかもしれなかった私なのだったのだった。

 

 やけに耳に残る特徴的、かつミステリアスなBGMを聞きながら、私は漆黒の背景のステージを見つめました。盾と槍を持った人物の壁画があり、対してL字ブロックは一つもありません。床は平坦で、道なりに右へ進めば出口に到達できます。クリアという意味ではこれ以上簡単な構成はないですが、しかしだからこそ、ここは特別なステージであることを示しているように思えました。

 …しかしどういう意味があるのでしょう?この盾と槍を持った人間が、何かの暗号なのでしょうか?人間は右向きが3人、左向きが3人描かれています。試しに十字キーを右3回、左3回入力してみますが、何も起こりません。それでは槍が上を向いているので十字キーの上でしょうか?それとも盾はボタンを意味していて、これまで意味が分からなかったBボタンのことなのでしょうか?どちらのボタンも押してみますが、やはり何も起こりません。単なる幕間の意味しかないのかもしれない。そう思った私は、仕方なく右へ進み、そのまま出口に到達。クリアしました。

 

 二回表でもご説明しましたように、8の倍数面は「壁画の間」と呼ばれ、ある条件を満たすことで背景に絵が浮かび上がります。壁画の間は全部で8つあり、そこで得られた絵は「ビッグパスワード」として、最終面で入力を求められます。正しく入力されない限り、塔の頂上には辿り着けないのです。

 …という情報は、実は説明書に書いてあるのです。しかしクドいようですが、この時の私には説明書がありませんでした。ですから壁画の間の重要性について全く知らず、この時は気にも留めなかったのでした。しかし16面、次の壁画の間で少々認識が変わったのです。

 

 16面もまた漆黒の背景のステージでした。今度は2本の柱が左右にそびえ立っています。L字ブロックが1つだけあり、1段高い所に出口があります。これまたクリアするだけなら至極簡単な構成になっています。しかし何か引っかかります。全部で何面あるか知りませんが(説明書がないので、分からない)、わざわざこんなステージを作るからには、何か意味があるに違いない。そう思った私は、L字ブロックを右端に置き、腕を組んで考え始めました。

 …ここには柱が2本立っている。しかしさっきの盾と槍を持った人間の壁画には意味がなかった。…いや、意味はあったけれど、解釈を間違えたのか?とにかく、柱が2本あるのだから、「2」という数字に意味があるかもしれない。では何が「2」なのだ?L字ブロックは1つしかないし、ステージ上には2を表すものはなさそうだ…。

 そうなると考えられるのは、8面の壁画の間と同様に、「何かの操作を「2」回行う」ということしか考え付きません。Aボタンを2回、Bボタンを2回、ABボタン同時押し…。どれも何も起きません。十字キーを2回入力でしょうか?しかしどの方向に?完全に分からなくなった私は、半ば自棄気味になって十字キーをあちこち入力し続けました。その時、背景の中央に絵が浮かび上がりました。しかし、

 

「コレ…なに?」

 

 そう、説明書がなかったために、これが「ビッグパスワード」であることすら分からなかったのです。しかし私はなんとなく、この絵が重要なものである気がしました。ですから、私は意味が分からないなりに、首を傾げながらも、その絵をノートにメモしました。

 実は結論から言えば、「2」という数字は無関係でした。が、デタラメな操作が偶然条件に合致し、絵が出現したのです。ですから私は「何故絵が出現したのか」が全く分かりませんでした。しかし、とにかく何かすれば絵が出現するらしいことは理解したのでした。

 

 その後、ステージ構成は大量のL字ブロックが配置されるようになり、また左右に動く「魔法の絨毯」や上下する「雲」まで登場し、L字を担いで、ステージを上へ下への大移動が展開されるようになりました。出口は当然のように閉じられ、ステージのあちこちに配置された水晶玉を回収しなければならず、大変な手間を必要としました。またクリア方法も非常に綿密にL字ブロックをマネジメントする必要性が生じてきており、そこへ敵キャラが延々と邪魔をする、という高いパズル性とシビアなアクション性が同居する事態となりました。

 しかしどのステージも非常に趣向が凝らされており、私はすっかりこのゲームに魅了されていました。幸い背景に格子があったので、出口からの逆算は比較的容易でしたが、敵に追いかけられながらとなると落ち着いて考えることも出来ません。ですからステージ開始と同時にポーズを掛け、十字キーでステージ全体を俯瞰しつつ、「アレがこーなって、ココがこーなって…、あ、ブロックが足りん!」と頭を悩ませ、しかしそれが非常に楽しく感じられたのでした。

 やがていくつかの壁画の間に到達しました。巨大な老人の横顔の壁画の間、キメラの壁画の間、一対のグリフォンの壁画の間…。何かをすれば絵が出現するのでしょうが、しかし様々な操作を行っても、隠された絵は出現しません。背景の壁画がヒントのようにも思えますが、何も読み取ることが出来ません。ですから次第に「あの隠された絵はあまり意味がないのかもしれない」と思い始めていました。

 

 そして64面。8つ目の壁画の間に到達しました。最初の壁画の間のように、盾と槍を持った人物が描かれています。しかし今度は10人で、右手に5人、左手に5人描かれています。もはや壁画の内容に何の期待もしていない私でしたが、一応「10」という数字や「5と5」という組み合わせで、様々な操作を試しましたが、やはり何も起こりません。完全に諦めた私はそのまま出口に向かい、クリアしました。

 ところが、次の画面はこれまでとは違いました。画面中央に8つの「?」が並び、画面上方には

 

「THE BIG PASSWORD FOR LAST ROOM」

 

 とありました。そしてインディが風船にぶら下がって、最初の「?」の上で待機しました。首を傾げならがら十字キーを押すと、絵が表示され、十字キーを押すたびに切り替わります。そしてそれらの中には16面の壁画の間で見た絵が混じっていました。

 ここで私はようやく全てに気が付きました。あの壁画の間はここで入力する絵を示す場所だったのか!しかし気付くのが遅すぎました。手元に記録した絵は1つしかなく、それが2番目の「?」に入ることしか分かりません。恐らく同じ絵は2回使われないと思いますが、それでも総当たりしようとするにも組み合わせの数が多すぎます(1つは分かっているので「7×6×5×4×3×2×1」で5040通り)。

 

 仕方ないので、テキトーに入力してみますが、インディの風船が割れて墜落。ゲームオーバーです。私は呆然としました。恐らくここが最終面なのでしょう。しかしここに来て最大の難関に直面してしまいました。

 が、幸いにもこのゲームは面毎にコンティニュー用パスワードが存在するので、ここまで来た私には全ての壁画の間の面のパスワードをノートに記録しています。ですから、壁画の間をプレイするのは簡単です。問題は「絵の出し方」なのです。

 私は絵を見つけることが出来なかった壁画の間を片っ端から調べ始めました。8面、24面、32面…。そして幸いにも3つの絵を出現させることに成功しました。しかしどれも全くの偶然だったので、やっぱり「何故絵が出現したか」が分からず、したがって絵が出現する条件の傾向も分かりません。すっかり手詰まりになった私は、恥を忍んでソフトを貸してくれた友人に聞いてみました。

 

「あの絵って、どうやったら出るの?」

「適当にやってると出るよ。」

 

 …ノーヒントか~!となると最後の手段しかありません。総当たりです。一応4つまで絵は分かったので、「4×3×2×1」で24通りまで減りました、これなら総当たりも可能です。早速ノートに考えられる組み合わせを書き出し、それらをひとつひとつ試してみました。

 入力、墜落、入力、墜落の繰り返し。そして何度目のトライだったでしょう。そのパスワードを入力すると、インディは空へ昇って行きました…!ついに頂上です…!

 

 こうして私のバベルの塔攻略は終わりました。伝説の真偽を確かめ、簡素ながら印象的なエンディングを眺めました。いやぁ、歯ごたえのあるゲームだったな…、と感慨に耽っていると、最後にこんなメッセージが出ました。

 

「PLEASE CHALLENGE BABEL-PRO」

「INPUT DATA WITH KEY UP# DOWN# RIGHT# LEFT# IN TITLE MODE」

 

 ウワァ、裏面だ!アレ、この展開どっかで見たことあるぞ!?あッ!「ドルアーガの塔」だ!そういやコレ、ナムコじゃんか!ノーヒントの謎解きといい、裏面の存在といい、やっぱりナムコだ、コンチクショー!

 

 …そして私は裏バベルに挑戦しました。が、全く歯が立たなかったことは言うまでもありません。

 

 そして数年後、PS2を買った私は、ナムコの往年のファミコンリメイクシリーズ「ナムコアンソロジー」を購入することになります。何故って、バベルの塔がリメイクされるっていうんですから、買わない手はないじゃありませんか!それほど私は、スッカリ「バベル中毒」になっていたのでした。しかも「アンソロジー」では懐かしのオリジナル版もあり、リメイクですから当然、新作のステージもガッツリ収録されていました。今度は少々のヒントはあるにしても、壁画の間の謎再び、なのですが、それはまた別のお話といたしましょう。

 

 それではまた、三回表でお会いしましょう。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

コメント

  1. galthie より:
    少し忙しかったので、コメント出来ずにすみません。 説明書って大事だったんですね。 当時はなおさらかもしれません。 今だとネットに頼ってしまいますが、色々とわからずに試行錯誤するって、ゲームの面白さの大きな部分だってことをあらためて思いました。 こういう要素ってレトロゲームにはふんだんにありましたよね。 「たけしの挑戦状」しかり、むちゃが許されるいい時代でもあったのかもしれないと感じました。
    • todome より:
       コメント、お気になさらずに。気が向いたらいただければ幸いです。  そーなんですよ!説明書とても大事よ!特にレトロゲーは攻略に支障をきたすレベルなんですよ。加えて、私説明書大好きなので、いずれまとめてお話出来れば、と思います。  確かに「家庭用だから」ということで、結構無茶な謎解きが多かったように思えますね。結局は少ない容量でどれだけ長くもたせるか、ということとは思いますが、やはり理不尽な(あるいはノーヒント)謎は勘弁です。  そこいくと、最近のゲームは親切ですが、少し物足りなく感じるのは贅沢でしょうね。
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