ガリガリ君 元気ドリンク味

グルメ
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 最近のアイスは「ベルギーチョコ使用」とか、「北海道産生乳使用」とか、「丹波の松茸使用」とか、やけに高級志向が進んでいるようです。昔はアイスは1個50円程度が相場でしたが、今は150円程度のものも珍しくなく、300円を超える、まさに嗜好品が棚を賑わせていることも珍しくありません。

 確かに美味しいものを食べたいというのは人間の根源的欲求ですし、食は人類の文化の極みで万里を越えて一日100万個ですから、長距離トラックの運転手が傾いたラーメン屋を立て直してみたり、食が高じて銀座の一等地に美食倶楽部をぶち上げてみたりしても、ちっとも不思議ではありません。

 

 しかしながら「メロン味」と謳いながら「無果汁」だったり、見た目はカニそっくりだけどフツーのカマボコだったりと、「足りない分は頭で稼ぐ」的な安価な商品も味わい深いものです。例えばインスタントラーメンも最近は高級志向に傾いていますが、私に言わせれば、インスタントラーメンを買う消費者が食べたいのは「チープでジャンクなインスタントラーメン」であって、店で出てくるようなラーメンではないのです(褒めてますよ)

 そういうわけでアイス界の「安いからこそ味わい深い」の代表格、ガリガリ君がこのほど「元気ドリンク味」という、相変わらずどうかしているフレーバーを発売し、先日ネットで知って以来、期待に胸をふくらませ、首を長くして待ち焦がれ、しかしスッカリ忘れ果て、この間たまたま発見し、ようやく食えましたので、その感想をつらつらとお話ししたいと思います。

 

 さて「元気ドリンク味」とくれば、真っ先に思い浮かべるのが「…C」なわけで、この商品はそんな感じをイメージしたようです。余談ですが、昔は「…C」の類似品が大変多くありまして、私が知る限りでは「ビタナミンC」、「ミンナミンC」などがあり、果ては「ボンヌC」というオリジナルのカケラも見受けられない商品もありましたが、味はだいたい同じでした(だいなし)

 話を戻しましょう。さて、この商品、味だけを再現したと思うなかれ、なんと「はちみつ」、「ビタミン」、「アミノ酸」など、疲労回復に効果があるとされる成分を配合してしまい、名実ともに「元気ドリンク味」となり、あの伝説のアイス「クイッククエンチ」を彷彿、再来、いや転生した商品なのであります(おおげさ)

 

 まずはアイスを食べる前の儀式として「ゆだるほど風呂に入る」を行い、汗ダラッダラ、喉カラッカラ、唇シワッシワになります。アイスを食べる時はこうでなければいけません。肉体を極限状態まで追い詰めることが、氷菓子に対する最低限の礼儀なのです(個人の感想です)

 袋を開けてみますと、目に突き刺さるようなレモンイエロゥでありまして(みづらい)、見た目からして間違いなく「…C」であります。一口食べてみます。…むぅ!?確かにこれは「あの味(他に表現しようがない)」であるッ!レモンでもオレンジでもなく(したがって「クイッククエンチ」とは違う)、「あの味」なのです!

 これは大した再現力です。…というか、もしかすると、ひょっとして、はちみつとビタミン(よく考えたら、この「ビタミン」は「A」なのか「C」なのか、それとも「D」なのか)とアミノ酸を混ぜると、もれなくこんな味になるのではあるまいか?…いやいや、天下のAKAGIです。血反吐吐くような試行錯誤の末に、この味に辿り着いたに違いありません。

 食感は歴代のガリガリ君を踏襲し、外は硬めでシャキシャキ、中はカキ氷状でシャリシャリの安定の食感です。なんでしょうね、安心します。「あぁ、日本伝統のアイス食ってるな、オレ」と、深く深く感慨にふけってしまいます。ウマイ…、ウマイなぁ…。これで疲労回復成分まで含まれているなんて、これこそ機能性食品ではないか。キテルな!未来!

 

 しかし私はAKAGIのイエスマンではありません。ここで敢えて苦言を呈させていただきます。すなわち、

 

さわやかすぎる

 

 本家「…C」は飲んだ後、独特の風味があります。薬品というか、人工的というか、少なくとも「自然物ではない」香りがします。それが長く鼻の奥に残るのです。…しかしッ!それがいいッ!それがいいんです!この「無理矢理にでも健康になろう」とでもいうような、いわば「怨念」のような香りがいいのです(だから褒めてますよ)

 しかしこの「ガリガリ君元気ドリンク味」は後味が弱いのです。そもそもガリガリ君はカキ氷をイメージしており、後味サッパリのさわやか3組でなければなりませんから、仕方ないと言えば仕方ないのです。もっとも私は例の20種類のフルーツフレーバーに蝕まれていますから、健康な方には丁度良い後味なのかもしれません。

 とはいえ、私のような「中毒になっちゃったボクら」向けの商品も作ってほしいものです。ですから是非「ガリガリ君リッチ」で「特濃元気ドリンク味」を出してほしいものです。濃厚な後味なら少々お高くても、私買いますよ。

 …アレ?「ガリガリ君リッチ」って、高級志向のガリガリ君じゃないか!今回の冒頭と明らかに矛盾する!でも特濃食ってみたい!でも安いのがガリガリ君の魅力!まさかのアンビバレント!

 

 

 しかし矛盾を抱えているのが人間という生き物です。「ガリガリ君元気ドリンク味」は1本70円ですので、あなたもお手軽に人間の矛盾に直面することが出来ますよ(寝言)。もちろん当たりつきです(私はハズレました)。是非お買い求めください(回し者)。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

コメント

  1. galthie より:
    すっかりサイトを任せきりになり、本当に申し訳ないです。 にやにやしながら、この記事を読んでました。 ちょうど昨日、お父さんがお菓子屋さんをやっていた方と話していたのですが、ガリガリ君は初期はあまり売れ行きがよくなかったようですね。 やはり継続は力なんでしょうか。 「・・・C」は好きな味なので、めちゃ食べたくなりました。 トドメ氏と同じく、店でみかけた際には買ってみようと思います。
  2. todome より:
     どうもお疲れ様です。  任せきりというか、好き放題やらせてもらっていますのでご安心を。ネタもまだまだありますので、全くスッカリ大丈夫ですよ。  にやにや!よしよし、今回はバカのアクセルを思いっきり踏み込みましたので、パロディ、オマージュ、ちょっとしたイタズラなどなど、いつになくフザけております。お楽しみいただけましたでしょうか。  へぇ、当初は売れてなかったんですか。継続というか、長く売り続けて、いつのまにかスタンダードになったもん勝ちってことですかね。あとは新しいフレーバーをジャンジャン出すことかなぁ・・・。  現在は全国のコンビニでイヤというほど見かけますので、ジャンジャン買ってください。そしてあたりを引いてください。そしてあたり棒を私にください。
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