Eテレ 「びじゅチューン!」

TV番組
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 今回は珍しくテレビ番組のご紹介をしたいと思います。私はほとんどテレビは見ませんが、NHK、特に教育、つまり「Eテレ」は録画を欠かさないほど見ています。

 というのも、以前「デザインあ」をご紹介した時もお話ししましたが、どうも「Eテレ」というのは公共放送のクセにトンガったことをしでかす放送局らしく、それというもの、みんな大好き「ピタゴラスイッチ」が放送開始になった頃から、何かに憑りつかれたように実験的な、もっと言えば前衛的な番組が増え始めました。そしてそれらが、いかにも「教育」という匂いを感じさせず、フツーに見ていて面白いから困ったものです。

 ということで、以前、私はこの場で「デザインあ」「考えるカラス」などをご紹介をさせてもらったのです。で、今回ご紹介したいのは「びじゅチューン!」という芸術番組であります。とはいえ、この番組が始まったのは2014年のことで、正直「何をいまさら」という方も多いでしょうが、先日の放送を見ていて「あ、オレ、これの紹介してない、紹介したい。」思い立ったが吉日なので、少々お付き合い下さいませ。

 

 さて「びじゅチューン!」は芸術番組と言いましたが、正確には「歌番組」です。というのは、毎回、世界的にチョー有名な美術作品を取り上げ、それを「独自に」解釈した歌とアニメーションを流す、という内容だからです。あ、NHKということで「みんなのうた」のような牧歌的なモノを思い浮かべてませんか?いやいや、そんな平和な代物ではありません。この点を説明するために、まずはこちらの動画をご覧いただきたいとも思います。

 

 

 ~ マチルダ先輩 ~

 

 

 …この作品を作った方が井上涼さんというアーチストの方で、作詞も、作曲も、歌も、アニメーションも、全部やってます。で、え~と、こんなのばっか作ってます。そう、どうかしている人です(褒めてますよ)。この方が世界的にチョー有名な美術作品をテーマに、1分半ほどの歌とアニメーションを作るというのです…。もうイヤな予感しかしません!(良い意味ですよ)

 

 では、これまで取り上げられた作品と、井上さんがどのような解釈をしたかをちょっとだけご紹介しましょう。

 

 

・風神雷神図屏風:一面の金箔をバックに、風神と雷神が勇ましく飛び回っている場面を描いている

 井上解釈:風神と雷神の2人が待ち合わせ場所に駆けつけたように見えたので、2人のデートの歌にした

 出来た歌:風神雷神図屏風デート

 

・鳥獣人物戯画:ウサギやカエルを擬人化し、人間社会の滑稽さを描いている

 井上解釈:相撲や水泳をしている場面を見て、「これはスポーツジムだな」と思った

 出来た歌:鳥獣戯画ジム

 

・真珠の耳飾りの少女:青いターバンに真珠の耳飾りをした少女の姿を描いている

 井上解釈:黒い背景、青いターバンと、ミステリアスな雰囲気から、「彼女は忍者ではないのか?」と思った

 出来た歌:真珠の耳飾りのくノ一

 

・小面:能で使われる面で、若い娘を表している

 井上解釈:小面には「箱入り娘」という意味合いもあるため、引っ込み思案な女の子が思い浮かんだ

 出来た歌:小面の休日

 

 

 …頭のどこを使うとこういう発想が出来るんでしょう。曲調も実に様々で、アップテンポの楽しげな曲から、バラードでメロウな曲まで、実に幅広く作曲していますし、アニメーションのテイストも作品によって変えています。この才能、本当にうらやましい限りです。

 しかし、ご覧いただいてお分かりのように、正直、井上さんは歌が特別上手いワケではありませんし、絵も飛びぬけて上手なワケでもありません。なのに、なんでしょうね、この中毒性は。

 井上さんのどこかヌケた歌声とヘタウマと言って良いのか分からない絵が合わさると、猛烈な化学反応により、強烈に脳髄に刻み込まれ、遥か彼方へと魂を持って行かれてしまいます。まさに「奴はとんでもないものを盗んでいきました」というわけです。しかもこの番組は5分番組ですので、奇天烈な歌とアニメーションに呆然としているうちに番組は終わってしまい、あたかも白昼夢を見ていたかのような「ファンタジー感(あるいはキツネにつままれた感)」を味わうことが出来ます。

 

 ということで、皆様にも一度はご覧いただきたいと思います。が、放送時間は毎週火曜日19時50分という、これまたビミョーな時間帯ですので、ここは手っ取り早く公式サイトに飛んでいただきたいと思います。こちらでは過去に放送された全て作品が見られますし、作品についてのカンタンな(本当にカンタンな)解説もありますので、こちらで飽きるまで試聴していただきたいと思います。でもきっと飽きません。

 なお、いずれかの作品が頭から離れず、日常生活に支障をきたす場合も考えられますが、そこは「自己責任(便利な言葉)」でお願いいたします。かくいう私も既に支障をきたしており、仕事中に急に頭の中で楽曲、およびアニメーションが再生され、ヤケに効率が上がったり、その逆もあったりしてますが、私は元気です。

 

 

 今回は以上!みんな見てね!


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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