さて今回は、もはや当ブログの準レギュラーと言っても過言ではない、チープ氷菓界の首領、赤城がまたやってくれました。「ガリガリ君リッチ タマゴ焼き味」の登場であります。
近年ことごとくどうかしている味を、フレーバーを次々とリリースしている赤城乳業ですが、今回こそはどうかしております。何ですか、「たまご焼き味」って?しかも細かいたまご焼きが中に入っているというではありませんか。それはお菓子じゃなくておかずでしょうに。どうしてしまったんだ、赤城…。
ですからスーパーのアイス売り場でコヤツを見つけた時は、赤城ヘビーユーザーである私もさすがに「…?」となんも言えなくなってしまい、さらにはガリガリ君が醤油とケチャップを掲げてキメ顔をしているPOPの存在に気付いたころには、動画サイトとかで食べ物をオモチャにしているけしからん輩と同じ匂いを感じ取ってしまい、少々腹が立ったことも、ここでは包み隠さずお伝えしておくことにいたします(加齢による激昂化)。
さてアイス売り場でガリガリ君に向かって殺さんばかりの凶悪な視線を飛ばしていた私を、果たして周囲の人間がどのような目で見ていたかは分かりませんが(知らぬが花)、しかしここで私は自問するのです。
「これまで出してきた珍奇フレーバーの中で、ホントの本気で不味かった代物があったか?」
「大泉くん、ぼくらが一度だって君にウソをついたことがあるか?」
「ないだろう!?」
(そういえば「水曜どうでしょう」の最新作がこの年末に放送されますねぇ。「はじめてのアフリカ」みたいにならなければいいけど。出来れば「試験に出るどうでしょう」的なのが見たい。ていうか大泉さんの無理矢理な語呂合わせが見たい。あと「マン・イン・ザ・ミラー」。)
ですから私はにわかに沸き立った怒りを鎮め、むしろ赤城への信頼を今一度噛みしめ、ていうか「話のタネに買ってみるべぇ」と明らかにブログのネタにしようという下心から、気が付けばいつも通り、「たまご焼き味」を持って居間で正座している自分を発見するのです(夢中遊行)。
さて、ボーッとガリガリ君を床の間に向かって掲げていても埒があきません。お菓子は食べるものですから、食べてみようと思ったので、食べてみました(無駄な文章)。で、開口一番「はぁぁあぁぁあ!」と、縁日のチンケなお化け屋敷でやっすい人形に驚いたおなごのような叫び声をあげてしまいました(わかりにくい)。
なんとまぁ、意外なことに、美味しいのです。正直、もっと露骨なまでの「たまご焼き感」が前面に出てきて、「これはやっぱりおかずではないのかしら」とモヤモヤするであろうと身構えていたのですが、優しい甘さとはかない後味が間違いなくお菓子、いや、上等な氷菓でありました。
なんだろう、これは何かに似ているぞ、と二口、三口と食べていますと、突然ボカ~ンとわたくしめの松果体が輝きまして、すなわち「これはアイスクリンではあるまいか」と悟ったのであります。
アイスクリンとは江戸時代に日本人が海外留学の際に食べたアイスクリームを再現した氷菓であり、牛乳(多くの場合は脱脂粉乳)、砂糖、卵で作られたものです。アイスクリームに比べて淡白な味わいが特徴で、卵の風味を存分に楽しめるものであります(アイスクリームには卵が使われていないので)。昔、オカンの田舎でアイスクリンを食べたことがあり、アイスクリームとはまるでベクトルの違う味わいに驚き、今でも時たま食べたくなる、どちらかと言えば(良い意味で)キッチュなお菓子であります。
この「たまご焼き味」はまさにそれ。考えてみればこの「たまご焼き味」はガッツリ卵をフィーチャーしているのですから、当然そういう味になるわけです。素直に「アイスクリン味」にすればまだ抵抗はなかったのかもしれませんが、しかし恐らく、赤城は「本当にたまご焼きが入っている」ことにこだわりたかったのでしょうね。
実際、この細かいたまご焼きが妙に心地よい歯ごたえを演出しており、ただの棒アイスなのに、やけに手の込んだお菓子を食べているような錯覚に陥ることが出来ます。ですから食べ終わると決して濃厚なものではないのに、なんだかとてつもない満足感を得ることが出来るのです。
てなわけで、恐るべし、赤城。是非多くの人に食べていただいて、レギュラーとまではいかなくとも、年の一度のお楽しみ的なポジションのなってほしい傑作でありました。どうぞお試しください。あ、公式サイトを見ましたら「粉末醤油も配合」とありましたが、そんなの全然分かりませんでした。まさに隠し味ですなぁ。
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