いにしえゲーム血風録 十六回裏三段ドロップ 「闘いの挽歌(大跳躍編)」

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 ここまで筋書き:FC版「闘いの挽歌」に挑んだハナタレ小僧共であったが、所詮小学生なので全く歯が立たずに撃沈。また所詮小学生なので飽きっぽく、「火の鳥」に取って代わられ、スッカリ忘れ去られてしまう。時は流れて、ボンクラは下宿の近くに桃源郷を発見するが、肝心のハードがなく、ダメ元で後輩に聞いてみたら「持ってます」ってなわけで灯台下暗しだったのだった

 

 

 21世紀というのに意外や意外、何と後輩はファミコンを持っていると言うではありませんか。しかも旧式の「アンテナ端子に繋ぐ面倒くさい方」じゃなくて、「AV端子に繋ぐカンタンな方」とのこと。すぐさまその場で土下座し(土下座とはこういう時にこそするものなのです)、翌日首尾良く借りることが出来ました。いやぁ、優秀な後輩を持って、私はシアワセだ!

 早速下宿に戻ってさっさと接続。実は東京時代に秋葉原で購入したソフトがあったので(ソフトだけ持っててどうするつもりだったんだろう)、テストを兼ねて起動します。すると無事に「沙羅曼蛇」が起動しました。やったぁ!これで火星に行けるナリ好き放題にファミコンが遊べるぜ!私は電源を落とし、喜び勇んでエルドラードへとチャリンコを走らせたのでありました。

 

 その後、後輩が卒業するまで私はファミコン本体を借り続け、いやぁ、遊びましたねぇ、本当に。長年の鬱憤を、いや積年の恨みを晴らすがごとく、中古屋でガンガンファミコンソフトを漁りました。「ポートピア連続殺人事件」の理不尽なフラグに苦しんだり、「スペランカー」の超弩級の貧弱さに腹を抱えたり、「ハイドライド・スペシャル」で完全に詰まったり、特に「ドラクエⅢ」は発売から14年経過しており、「果たしてバックアップの電池はクリアまでもつのだろうか」とヒヤヒヤしながらクリアしたりと、ともあれ伝説のゲームの数々を楽しんだのであります(あと、半分くらいは説明書がなかったため、お約束の「RPGでアイテムや魔法の効果が全然分からない」という事態にも陥り、試行錯誤を繰り返して自力で説明書を作ったりしました)。

 

 さて、その日は図書館のPCで、ネット上のファミコンのソフトレビューの数々を血眼で読み込んでいました。ファミコンでリリースされたソフトの数は…、いや、幾つあるのか分かりませんが、とにかくソフトの量は膨大です。そしてこちらの財力には限界があります。また、ずーっとファミコン本体を借りられるわけでもありません(今思えば本体を買っちゃえば良かったと思う)。

 つまり金と時間に限りがあるので、全てのソフトを遊ぶことは出来ないのです。なので、ゲームバカとしては押さえておきたいソフトの目星を付けておこう、と考え、それでソフトのレビューを見て、面白そうなものをピックアップしていたのです(ちなみに何故図書館のPCを使っているのかと言えば、図書館でネットに接続出来るのを良いことに下宿にネット回線を引いてなかったから)

 それはもう、たくさんのレビューを読みました。「アトランチスの謎」が本当に色々と謎だったり、「アルゴスの戦士」がAC版とまるで別物だったり、「月風魔伝」が「源平討魔伝」への強い憧憬によるものだったりと、ファミコンとは本当に伝説のハードだったのだと思い知る始末です。その伝説に、今、触れることが出来るッ…!(おおげさ)私は夢中でノートに面白そうなタイトルを書き写していきます。

 そしていくつかピックアップが済みますと、そのまま中古屋に直行です。在庫は山ほどありますが、さすがにファミコンソフト全てを網羅しているわけがありませんから、ネットで気になったゲームが置いてないことも当然あるのです。そうなると、再び図書館に行ってPCとにらめっこです。ですから当時は「図書館 ⇔ 中古屋」の往復を半ば日課として、私はファミコンを遊び倒したのです(ちゃんと勉強もしましたよ)。

 

 そんなある日のこと。いつものように目星を付けたソフトを探しに中古屋に向かいます。今回は「女神転生Ⅱ」を探しに来ましたが、カセットがデカいからか、在庫はありませんでした。そしてこの日に限って、他の目星を付けたソフトも見つからず、今日は収穫なしか、と帰ろうとすると、不意に1本のオレンジ色のソフトが目に留まりました。剣と盾を構えた男性と背景には廃墟の街。そう、タイトルは「闘いの挽歌」…!

 一気に私の意識はハナタレ小僧の頃に戻ります。うわぁ、懐かしいなぁ。スゲェむつかしかったっけ。みんな1面とかでやられてたもんなぁ。Dくんは元気かしら。一緒に珍奇な同人誌とか作ってたなぁ…。いや、そんなことはどうでもいい。…コレ、今の私ならクリア出来るだろうか?

 私は導かれるように闘いの挽歌を購入し(500円だった)、家に帰って即起動、と言いたいのですが、説明書が付いてなかったので、再度図書館のPCでストーリーや基本的な操作方法を調べます。時は世紀末…なのか。アタック、ジャンプ、盾防御。マンホールの下には隠し部屋が!なるほど、Pアイテムを取ると攻撃力が上がるのか。靴は大ジャンプで…、あ、ボールを喰らうと丸裸になるのね、知らなかった。一通りの操作方法とアイテムをノートに書き写し、私は今度こそ家路に着き、闘いの挽歌を起動させたのです。

 

 まずは全体マップ(らしい)ものが表示され、マップの左上に剣を振り回しているキャラがいます。多分、これがオレ。で、道なりに進むと右下にドクロを掲げたヤバそうな門があります。ここが剣王とやらのラスボスの城だな。そしてステージ1開始です。

 まずは廃墟の街を進みます。すると痛そうな鉄棒を持った輩がワラワラとやってきますが、こちらの斬撃で簡単に撃破出来ます。つまりザコですね。しかし前後から次々とやってきますので、油断すると挟まれてボコにされます。そう、油断したところでクリボーに激突するなんてよくあることなのです。ここは1体ずつ確実に倒していき、しばらく進むと赤い人がナイフを投げてきます。

 チョイコザイな、と盾でガード。すると続けて光るボールを投げてきました。あッ!コレかッ!と慌ててしゃがんでやり過ごします。フ~ゥ、装備を剥ぎ取られるところだったぜ。と、安心したのも束の間、先程の鉄棒野郎に囲まれてフクロにされます。いかん、殺られるッ!と慌てて目の前のマンホールに飛び込みます。

 

 BGMが変わり、赤い服のパンクな人が飛び回っています。中ボスかしら?ていうか、昔やった時、こんな人いたっけ?(単にマンホールを落とし穴と勘違いしてスルーした)戸惑う私を尻目に、パンク野郎は白い物体を投げてきます。ここも盾でガード!しかし画面内を大きくジャンプして飛び回り、攪乱してきます。私はバカみたいに彼奴を追いかけて、あっちへウロウロこっちへウロウロしますが、画面のどちらかの端で待ち構えれば良いことに気付き、待ち伏せして斬撃連打。首尾よく撃破です。

 さてこの部屋から出ようと思いますが、ハシゴの位置が高くてジャンプしても届きません。と、左端にピカピカ光る靴が。これが大ジャンプ出来る代物か。早速ゲットしてジャンプしてみますと、それまで腰の高さくらいまでしかジャンプ出来なかったのに、今度は画面最上部までジャンプ出来ます!ドクター中松もビックリです!このジャンプ力を生かして、一気に地下室から脱出です!

 

 地上に戻り、先に進むと窓からダイナマイトを投げつけられる世紀末的風物詩に出会いますが、ガン無視。やがてスクロールが止まり、ビルの中程に斧を持った2人組が待ち構えています。いよいよボスか!まずは右側の斧野郎が飛び降り、斧を投げてきます。これは盾でガード出来ますが、しゃらくさいことに上段と下段に投げ分けてきます。ここはどちらも盾でガード出来ますが、しかし彼奴に近づくことも出来ません。

 仕方なく、下段攻撃はジャンプで飛び越し、一気に距離を詰めて斬撃コンボ(そんなシステムはないが)。1人目を葬ると、今度は左で待機していた斧野郎2号が襲い掛かります。が、攻撃パターンは同じなので、同様に撃破!ステージ1クリアです!

 

 …が、次の面も同じような廃墟の街。どうやら2部構成のようです。1面後半戦も鉄棒野郎が襲ってきますが、すぐに目の前のマンホールへ避難。今度はサムスのモーフボールよろしく、床をゴロゴロ転がる野郎が登場。転がっている最中に攻撃しても効き目がないので、ジャンプで避けるしかありません。

 そして急に起き上がると、いきなり口から火を放ってきます。さすが世紀末、なんでもアリですね。っと、感心している場合ではありません。とにかく転がっている時はジャンプで避け、起き上がったところをすかさず攻撃。ちまちまとダメージを与えてようやく撃破。また靴が置いてあるのでゲットして地上に戻ります。

 再び窓からダイナマイトを投げつけられつつ、スクロールがストップ。両腕が異様にパンプアップした輩が登場!今度こそボスのようです。いきなりノーモーションからロケットパンチが放たれ、堪らず被弾。今度は下段からロケットパンチを発射!今度はジャンプで避けますが、パンチは後方で方向転換し戻ってきまして、自機の後頭部にストライク!

 

「ウボーッ!」

 

 という声と共にミスとなりました(本当に「ウボーッ!」と言っているかは分からないが)。再度ロケットパンチ野郎に挑みますが、どうしても攻撃モーションが読み切れず、何度も「ウボーッ!」「ウボーッ!」となり、ゲームオーバーとなりました。

 

 そんなこんなで初プレイ終了(厳密には初ではないが)。…これは面白い!でもむつかしい!ただ昔ほどむつかしくは感じなかったな。しっかりと敵の攻撃を見て、防御をすれば何とかなりそうだ!そうさ、あの頃のオレとは違うんだ!そう言い聞かせて、私は再トライに挑んだのです。

 

 数日後。2面半ばでゲームオーバーとなり、頭を抱えている私がいました。この時、頭をよぎった言葉は「多勢に無勢」。そうです、こっちは1人なのに、向こうはジャンジャン敵が出てきます。出てくるだけならまだしも、前後からの挟み撃ちですから、前の敵を倒し、後ろの敵を倒し、また前の敵を倒し…、と繰り返すばかりで、なかなか先に進めません。

 かと言って、後ろから来る敵を引き離そうとしても、すぐに前からの敵の攻撃で足止めを食らい、後ろの敵が追い付いてフクロにされてしまいます。これはどうしたもんじゃろう…?私は真っ暗なブラウン管を見つめながら、腕組みをして唸っておりました。

 …しかし、これまでのゲーム遍歴から考えて、次に私が取る行動は決まっているのです。みなさんも、もうお分かりでしょう。そう、私は外へ駈け出したのです!

 

 

 すみません、まだ続きます。


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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

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